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今だからこそ、びわ湖のために石けんについて学び推進する事業 /愛のまちエコライフ

事業の概要

私たちは1981年から食廃油を回収し、石けんづくりの活動を実践してきました。この事業ではリサイクル石けんについて学び、体験講座を開催することで使い捨てではなくリサイクルを大切にする心を広めるとともに、資源循環型社会の実現に向けて推進を図り、人と自然が共生できる社会を目指します。

愛のまちエコライフ 活動写真

2014年7月7日、愛のまちエコライフの皆さんの拠点である、あいとうエコプラザ菜の花館(滋賀県東近江市の愛東地区)を訪問しました。この日はすぐ近くにある愛東中学校の1年生の総合学習でせっけん作り体験が行われたのです。

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愛のまちエコライフの設立は1993年。もう20年も活動を続けてこられました。
せっけんづくりが始まったのは更にさかのぼった1975年だとのこと。「琵琶湖の水をきれいにしたい」という思いが発端となりました。リサイクルせっけんづくりの活動は、単に愛のまちエコライフという一団体だけの取り組みではないことがわかりましたので、少し町全体のゴミのリサイクルの歴史を紹介させていただきます。

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1960年代に琵琶湖の赤しおが問題になり、せっけん運動が一大ムーブメントとなった時、合併前の愛東町でもせっけん運動が始まりました。1981年には「愛の田園あいとう消費生活学習グループ」が、家庭から出されるゴミの減量化を目指して、ビン、アルミ缶と合わせて廃食油の回収を始めました。1986年には、それが月1回の回収になり、回収品目も、ビン(色で分ける)、缶(アルミ、スチール)、廃食油、乾電池と増えました。自治会と環境活動団体そして行政が協力しあう「あいとうリサイクルシステム」が確立していったのです。更に現在では食品トレーや牛乳パックなどの回収品目が増えています。

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地区内の自治会単位で集めた資源を集積するストックヤードが、このあいとうエコプラザ菜の花館にあります。分別回収資源は、ここから専用業者の手に渡り、業者がリサイクルしていきます。上の写真は廃食油の回収ボックスです。
この町では30年以上前から廃食油は焼却ゴミにせず、せっけんにリサイクルしてきたのです。

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愛のまちエコライフの活動を見学する前に、あいとうエコプラザ菜の花館の中を案内していただきました。正面玄関を入ったロビーです。いろいろなエコエネルギーのパネルが展示してあります。

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そのうちのひとつが、バイオディーゼル・フューエルです。よくBDFと略して呼ばれることが多い、廃食油から作ったディーゼルエンジン用燃料のことです。
このパネルでは、その作り方が図解されています。手前に置いてあるのはその過程、過程での油の実物見本です。だんだんサラサラとしたきれいな油になっていくのがわかりますね。

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BDFを使って走るカートも展示されています。このカートの排気ガスは、てんぷらのにおいがするそうですよ。

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こちらはロビー奥にあるBDF作りの部屋です。

このタンクで回収された廃食油の不純物を沈殿させて取り出すということです。


これは食用菜種油をしぼる搾油機です。地区で農家が育てた菜種を搾っています。

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こちらは菜種専用のコンバインです。

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こちらは愛東地区で収穫した菜種を選別しているところです。
菜種を搾って菜種油として販売もされています。それを使った後は一般の油といっしょに回収され、BDFやエコせっけんとして使うわけです。しっかりとサイクルができているんですね。

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館内をぐるっと案内していただいた後は、いよいよ愛のまちエコライフの活動を見せていただきます。上の写真は廃食油から作るせっけんの作り方のパネルです。回収された廃食油から沈殿した不純物を取り除き、上澄みの油を利用します。
それを釜に入れて火に掛け、水と苛性ソーダを混ぜ合わせたものを3回に分けて加え、絶えず混ぜながら乾燥させます。

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この過程を代表の堤さんが説明してくださいました。
「この釜ではガス火に掛けながらせっけんを練っています。熱いので気をつけてください。よく乾くように扇風機で風を当てています。」
「リサイクルせっけんは、油汚れや泥汚れをきれいに落とします。それに何も加えていないので人にも環境にもやさしいと評判なんですよ」と、まるで手塩にかけた我が子について語るかのように誇らしいお顔でした。

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では、釜の中のせっけんの変化を写真でお見せしましょう。これが最初の頃です。粘土か小麦粉の生地のように粘っています。

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だんだん乾燥して、ゴロゴロした塊になってきました。

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それからしばらくすると、粘り気はなくなり粒が小さくなっていきました。

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ここで、事前に作っていたせっけんを見せていただきました。

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さっきの釜の中に、最後にソーダ灰を入れて熱し、ここまで細かくなったら火から下ろすそうです。これを紙袋に入れて、しばらく乾燥させておきます。

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細かくなったとは言うものの、製品として売るには、もっと細かくしなければなりません。そこで機械にかけて粉砕します。穴の空いたリングを回し、それを通して細かく粉砕するそうです。

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そこへ愛東中学校の1年生がせっけん作り体験にやってきました。男子が先ほどの粒状せっけんを粉砕機に入れる作業をまじめに取り組んでいます。

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機械から出てきたせっけんは粒状から粉状になっていました。ほこりのように舞い上がります。

粉砕後が左のボウル、粉砕前が右のボウルです。こんなにキメが違うんですね。

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こうして細かい粉状になったせっけんは、ラベルを貼った容器に入れて計量して販売します。

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この作業も中学生が体験します。せっけんを入れる容器もリサイクルのペットボトル。さすが!徹底していますね。

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舞い上がる粉せっけんに時折むせながらも、みんな黙々と熱心にボトル詰め作業に取り組んでいます。
このせっけん「愛しゃぼん」を知っていますか?と質問したところ、周囲の中学生の半分が知っていました。「家では使っていないけど、学校で使ったことがあるので知っています」という人も。地元に浸透しているのは、長年の活動の成果ですね。
毎年、愛東中学校では1年生の総合学習で地元を知ることをテーマとして、まずはお話しを聞く学習を済ませて、別の日に実際に訪問して体験し、また別の日にまとめの時間を取るのだそうです。
自分たちが使った後の油が、どこでどのようにしてせっけんにリサイクルされるのか、それを学ぶわけです。更にその作業の一端に関わることで、地元の大人たちが長年取り組んできた環境活動の現場と熱い思いに触れることができる、活きた学習です。

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あいとうエコプラザでは、菜種油「菜ばかり」とともにリサイクルせっけん「愛しゃぼん」も販売されています。500ミリリットルボトルに300グラム入って140円、下の写真は1リットルボトルに1キロ200グラム入って480円でした。

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愛のまちエコライフのメンバーの皆さんは、毎月、都合のよい日を調整して集まり、ボランティアでせっけんを作っておられます。
20年もの長きに渡り継続する間には、きっと様々な困難に直面されてきたことでしょう。困難を乗り越え、次世代に琵琶湖のきれいな水環境を手渡すために、地区の皆さんとともにこれからも長く取り組んでいただきたいと思いました。

あいとうエコプラザ「菜の花館」
滋賀県東近江市妹町70番地
TEL:0749-46-8100
http://www.city.higashiomi.shiga.jp/nanohanakan/index.html

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