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市民共同発電所「おひさま発電所」設置施設と共に進める環境学習 /認定特定非営利活動法人 きょうとグリーンファンド

事業の概要

地域の保育園や幼稚園など21か所に環境学習の拠点として作ってきた「自然エネルギーおひさま発電所」。その発電所の施設設置と合わせ、環境学習を継続させることで、子どもたちへの学習効果が高まると同時に、職員の環境意識の向上やスキルアップもでき、関心の低下を回避できると期待しています。

きょうとグリーンファンド活動のようす画像

2017年11月2日、認定特定非営利活動法人きょうとグリーンファンド「市民共同発電所『おひさま発電所』設置施設と共に進める環境学習」の活動に伺いました。
 きょうとグリーンファンドでは、持続可能な社会の実現を目指し、再生エネルギーの地域への普及や省エネルギーに関する事業を行っています。事業のうちのひとつに、地域の公共性の高い施設でもある保育園や幼稚園などをパートナーとして太陽光発電設備を設置する「おひさまプロジェクト」があります。このプロジェクトに賛同する方からの寄付やきょうとグリーンファンドの会費を「おひさま基金」として積み立て、公共的な施設が太陽光発電設備を設置する際の費用として寄付するという仕組みです。ただ寄付するだけではなく、設置場所の募集から参加呼びかけキャンペーンなど設置前の取り組みや、設置後には地域の環境学習の場や環境情報発信の場として機能できるよう、また設置場所自体が環境に配慮した施設となるように、きょうとグリーンファンドはサポートを続けています。
今回訪れた「夢窓幼稚園」は2004年1月におひさま発電所を設置。子どもや保護者、職員に向けた学習会を2~3年に1度程度で実施しており、きょうとグリーンファンドがそれを担っています。


夢窓幼稚園は、玄米自然食による給食、一人ひとりが安心して自分を表現することができる環境、出会いと共同作業が生きるよろこびの場となることを願い、開園当初より様々な活動を展開してきました。園長が京都議定書に関わった方と知り合いで、太陽光パネルの設置をしようということになり、きょうとグリーンファンドとのお付き合いもあったことから「おひさま発電所」が誕生することになりました。

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この日は園児と保護者対象の「おひさま学習会 地球温暖化と豊かな暮らし」です。これが夏原グラントの取り組みです。

まずは、園児を対象にした環境腹話術から始まります。環境腹話術ってなんだろう!?腹話術で環境の問題などをテーマに話をするということはわかるのですが、いったいどのように進むのだろうと興味津々です。

さて、はじまり、はじまり。
最初に登場したのはペンギン(のぬいぐるみ)。
 
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次はシロクマ(のぬいぐるみ)。
 
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どちらも、今まで食べていた食べ物が食べられなくなると困るな、そういえば最近ちょっと気候が変わってきたなといったことを話します。すると「そうなんだ~」「困るよね~」「それって、地球温暖化って言うんだよ」と。

幼稚園児に地球温暖化という具体的な用語は難しいのではないかと思っていると、車の排気ガス、CO2などの言葉がどんどん出てきます。地球温暖化の仕組みは簡単な言葉に置き換えて説明するのは難しいのだろうなあと思っているうちに、真打登場です。これこそ、腹話術劇に登場する彼。シンちゃんです。

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腹話術のプロの腕がさえわたり、笑いあり、突っ込みありと、子どもたちをどんどん引き込んでいきます。最初は地球規模の話でしたが、だんだん身近な話になってきます。

「みんな、水道のお水、どんなふうに使っている?」「出しっぱなしにして使ってない?」「歯みがきは、コップ1杯の水でできるんだよ」といったことを、ケンちゃんと一緒に掛け合いで、面白楽しく伝えていきます。

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そして「みんな、水筒を持ってきてるよね。それって、とっても地球にやさしいんだよ」と。幼稚園に毎日持ってきている水筒が地球にいいんだ、ぼくもわたしも地球にいいことしているだという肯定感につながっているのです。う~ん、すごい。子どもたちの心をがっちりつかんだ瞬間です。「もし、家族でお出かけすることがあったら、みんな、おとうさん、おかあさんに『水筒持っていこう』っ言ってね」とのことです。自分ができることがあると子どもたちが感じていることが伝わってきます。

腹話術を披露してくださった畠山智子さんにお話を聞きました。
「確かに、環境の話題では子どもたちにわからない言葉が多いですよね。でも、きちんと伝えようと思っています。子どもに合わせて言葉を変えても、その言葉ではつながっていかないと思うんです。何年か経って、ニュースなどで聞いた時に『幼稚園の時に聞いた!』って思い出してくれればいいなあと思います」「幼稚園で環境腹話術をと、きょうとグリーンファンドの方から聞いた時、今までやったことのない環境という分野だったので、一生懸命勉強しました。大変だったけど、楽しかったです」とのことです。
難しい話を伝えることの大切さと難しさを教えていただきました。

後半は、保護者にむけてのメニューです。

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まず最初に、きょうとグリーンファンドで作成したエコすごろくが紹介されました。
地球にいいことしてるとコマが進め、よくないことだと戻るといったすごろくです。白いビニールシートに直接書きこんで作られたすごろくは、カラフルで絵もたくさんの楽しい雰囲気が漂っています。「このようなものも作っていますので、ぜひ活用してください」とのことです。
「時間があれば、みなさんと一緒にやりたかったのですが、今回は残念です」とおしゃっていました。

次は、「子どもたちに明るい未来、豊かな暮らしを引き継ぐためにできること」と題して、京都府地球温暖化防止活動推進センターの木原浩貴さんのお話です。

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地球温暖化の現状と将来予測では、具体的なデータを示しながら直面している問題を説明してくださいます。そして夢窓幼稚園で取り組まれている「おひさま発電所」を通して子どもたちの意識に働きかけることが大切であること、海外も含めて事例で紹介しながら「選ぶ」温暖化対策で質の高い暮らしをめざしていこうというお話でした。「日本の温暖化対策のイメージは『がまんする』です。でもそれでは、つまらない。自分で『選んで』楽しく取り組むことが、結果として質の高い生活につながるということを知ってほしいです」。
「選んで楽しく取り組む」がとても印象的で、いいフレーズだなあと思いました。取り組むことが質の高い生活につながるということであれば、一歩が踏み出せるのかもしれません。

続いて、グループに分かれての意見交換が行われます。

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きょうとグリーンファンドのスタッフと講師の木原さんも加わり、質問や疑問、既にやっていること、自分にできそうなことは何かなどについて話し合います。
自分が工夫していることなどを出し合うと、みなさんが関心を寄せ質問や他の情報などがたくさん出て、この場が互いの学びとなっていると感じました。質問には、木原さんやきょうとグリーンファンドのスタッフが丁寧に答え、参加した保護者は「うちでもできることがありそうです」と明るい表情をされていました。具体的な一歩が踏み出せるといいですね。

園長先生にお話をうかがいました。

太陽光発電パネルを設置することで、電気の使用量がダウンしたのは間違いないけれど、それだけではなく、職員の節電に関する意識も変わったとのことです。
発電量を示すパネルがあります。幼稚園ならではの、かわいいデザイン。

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保護者の方々の環境に対する意識については、必ずそうだとは言いきれないですが、例えば資源ごみの回収を保護者中心でおこなっていることや雨水タンクを設置してくださったことなどが、そうかもしれませんとのことでした。そして夏まつりでは使い捨てものを使わないようにしたところ、今まで大きなゴミ袋が十数個出ていたのが、1袋に減ったのだそうです。「この幼稚園は60年続く幼稚園なので、地域の人はみな卒園生。地域の人たちと取り組みを進めているようなものです」とおっしゃいました。

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きょうとグリーンファンドのみなさんが設置後の働きかけを大切にしていることで、幼稚園という場所だけではなく地域の人の中に環境への関心が浸透しているのだなあと感じます。この働きかけは「園児も大切ですが、同じくらい保護者や職員のみなさんなど、大人にも大事なことだと思って取り組んでいます。夢窓幼稚園はエコでがんばっているいい幼稚園だと評判になっていると聞くと、とてもうれしいです」。


夢窓幼稚園だけではなくおひさま発電所を設置している他の施設でもこの取り組みを行っていることで、点ではなく線としてつながり面へと広がっていくことが、子どもたちの未来にとって大きな意味があると感じました。

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