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鹿背山おやこの森のkichi /特定非営利活動法人 こそだてママnet☆

事業の概要

木津川市の鹿背山一帯は大規模開発から免れた自然豊かな地域です。しかし里山が荒廃していくため、保全活動を行う団体が協力しあって行ってきましたが高齢化も進み後継者の問題もあります。そこで子育て中の親子や子どもたちが里山でのびのびと遊ぶ「自然体験イベント部」と「おやこ森のようちえん部」の2つのクラスを立ち上げます。自然や危機管理などの分野で専門家の力を借りながら子どもたちが自然の中で育つことと同時に、保護者から将来の里山保全活動の担い手が生まれることを目標としています。

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2018年6月16日、京都府木津市の鹿背山で開催されている、こそだてママnet☆主催の「鹿背山おやこ森のkichi」ファミリークラスを訪問しました。

このファミリークラスと、もっと年齢が下のプレクラスは、それぞれ月に1回、親子が集まって自然の中で過ごします。拠点としているのは、鹿背山元気プロジェクトの皆さんが管理・運営している場所です。夏原グラントでも助成しているので、以前の活動レポートでどんなところかご覧いただけます。 
▼鹿背山元気プロジェクト活動レポートはこちらから

21世紀の「鹿背山ものがたり」をつくろう~里山と都市の好循環を目指して



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この日は梅雨の晴れ間のすばらしいお天気。集合時間の朝9時半には次々と車で親子が集まってきました。今日の参加は小学1年生~5年生、未就学児を合わせて13名のお子さん、大人は10名、全体の親子としては9組でした。男性はお父さん2名とスタッフ1名。代表の福井さんが挨拶し今日の予定を伝えます。
「今日の午前中は山仕事です。先にピザ生地を仕込んでおいて、お昼ご飯にピザを焼いて食べます」それからミニ安全講習会が始まりました。今日のテーマは三角巾と山で倒れた大人の運び方です。

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講師は現役の看護師である参加者のお母さんです。「三角巾がなくても手ぬぐいで代用できます」と足をねんざした場合の固定の方法を実際に見せてくださっているところです。その手際の良さに「おおー」と声が上がりました。

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次は大人が山の中で倒れた場合、タンカなどがなくても運べるかどうかを3人一組で実際にやってみました。女性なら簡単に運べるのですが、大柄な男性を女性だけで運ぶのにはコツが必要です。できるだけ体に引きつけることがポイント。皆さん「うわっ!無理かも?」と叫びながらも、3人でようやく持ち上げていました。

「大柄な方は山の中では絶対に倒れないでください~」という福井さんの声とみんなの笑い声で講習会は終了。いよいよ鹿背山へ出発です。

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集合場所の駐車場から子どもの足で約20分かかります。途中、田んぼの中を通ります。田植えが済んだ田んぼには、何やら生き物がいっぱい! なかなか前に進めません。

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突然「ほら!虫がいたよ」と、アザミの花にとまっている虫を見せてくれるお子さん。自然と遊ぶ時間がもう始まっているのですね。

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花や昆虫を見ながら歩き、林を抜けたらもうすぐです。

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鹿背山元気プロジェクトの拠点に到着しました。
ここはたくさんの団体が協力しあって管理運営している活動場所です。一時は手入れされず、真っ暗な森になっていたのを明るい場所として開拓したのだそうです。

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テント、イス、テーブル、陶芸のできる登り窯、奥には今日のお昼ご飯になるピザを焼く石窯も。全部、関係者の皆さんの手作りです。電気も水道もありません。手洗いの水は、メンバーが交代で大型のポリタンクに水を汲んで持ってきて使います。洗い物はせず、持ち帰ってから洗います。
トイレは太陽光発電の電気によるバイオトイレが設置してあります。

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これは前に登り窯で焼いた作品だそうです。素朴な味わいの土鈴ですね。

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全員が到着したら、鹿背山元気プロジェクトのスタッフで山仕事を指導されている青木さんによる、ハチが近くに飛んできた時やマムシへの対処法などの説明のあと、すぐにピザ生地作成に入ります。

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ピザ生地作りの指導は、鹿背山元気プロジェクトの猫田さんです。全員手を洗い消毒してから取りかかりました。

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猫田さんの指示を聞きながら大きな木の鉢に小麦粉やスキムミルク、塩、ドライイーストを入れて、子どもたちが交代で混ぜ混ぜします。お母さんたちに生地の配合割合を聞かれ、澄まして猫田さん「量は目分量や。適量、適量! 大丈夫、後で味が変わるだけ」とユーモアたっぷりにお答え。みんな吹き出してしまいました。

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ぬるま湯を加えてよくこね、生地がまとまったらオリーブオイルを表面に塗ることで乾燥を防ぎ、ビニール袋で包んだらピザ窯の上に載せておきました。発酵させるのです。

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ピザ生地が膨らむまでの時間は、山仕事です。道具小屋から手に手に熊手や剪定ばさみを持って、鹿背山元気プロジェクトが管理する畑に出動しました。
まず、山仕事指導の青木さんがみんなに説明。「草刈りしてくれたら、ここの実を食べてもいいことにするから、がんばってください。下草を押さえるために、刈り取った草を敷き詰めます。
ブルーベリーはたくさん実がついているけど、まだまだ甘くなっていません。
マルベリーは一部赤くなっていますが、甘くはないですよ! でも中には甘いのもあるかも」
「ハサミは人に向けないように気をつけてください!」

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もともと地元名産の柿畑だったところに、地主さんに許可を得てスダチ、ビワ、プラム、ブルーベリー、マルベリー、栗など実のなる苗を植えてあります。前もって青木さんが草刈り機で刈った草を集め、果樹の根元の残りの草を刈る、という作業が今日のお仕事。

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小さい子はお母さんといっしょに、ちょっと大きな子たちは思い思いの場所に陣取って作業に取り組んでいます。

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初めは一心に草を刈っていた子も……。

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いつの間にか、バッタをつかまえて見せてくれました。

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マルベリーは赤から紫に色づいていて、少し食べられるものもありました。夢中で食べている子も!

既に正午を過ぎています。作業は終了。お腹が空いて、むずがって泣く子も出てきました。

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手押し車が大人気。意気揚々と畑から引き揚げる皆さん。
発酵した生地を使い、お昼ご飯のピザを仕上げます。

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麺棒でピザ生地を延ばしていきます。

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こちらでは具を切っています。

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自分のピザは自分で具をトッピング! 「どれが自分のか、覚えておいてね」。

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薪で温めた石窯にピザを入れて、青木さんが薪を燃やして焼くこと10数分。
その間、子どもたちは思い思いの場所で好きな遊びをしていました。竹をノコギリで切ってみたり、切った竹を持って回してみたり。危険なことや人に迷惑なことでなければ誰からも「やめなさい!」とは言われません。年齢も性別も関係なく仲良しと一緒に遊ぶ子や1人遊びする子、お母さんと一緒の子も。一斉に何かをさせられることはありませんでした。

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見事にピザが焼き上がりました。ベースの具に加え、今回は1人ずつ持ち寄りの具もあるので豪華です!
何枚も焼いて、全員が食べ終わると2時になっていました。
親とスタッフは片付け、子どもたちは思い思いに遊んでいます。
同じ道を歩いて朝集合した駐車場に移動し、3時には解散です。

こそだてママnet☆代表の福井さなえさんは、ご自身も2児のお母さんです。関西出身で結婚し関東に暮らしている時、出産。自主保育を行ううち、団地のフリースペースで地元の皆さんとのつながりができ、お昼ご飯を食べる間、抱っこしてもらう、というように、ちょっとしたことをフォローしてもらえてとても助かったそうです。

「ここ鹿背山ではプログラムは大まかにしか決めていません。時間通りに子どもを動かすようなことはしたくないのです。午前中は山仕事、ご飯を食べたら子どもはフリー、お母さんたちはコーヒー飲みながらおしゃべりする、という感じです。

ここでは自然の中でゆっくりリラックスしてもらいたいと思っているのでイベントを詰め込まないんです。子どもは楽しくても帰宅後お母さんがどっと疲れて寝込むようなことはしません」
と福井さん。

帰り道、参加しているお母さんに聞いてみました。
「とてもリフレッシュできます。親子で一緒に参加できるのがいいですね」
「雨の日も中止にならないので、子どもたちも雨なりの遊びを見つけます。最後はカッパを脱いでびしょ濡れ。たくましくなりました(笑)」

参加しているお父さん(今回は2名)たちは、鹿背山元気プロジェクトの山仕事を手伝う時間もあり、かなりの戦力になっています。親子で食事する時間もあり、とてもいい時間を過ごしているようでした。

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今回、朝から帰るまで「早くしなさい」というお母さん・お父さんの言葉を全く聞きませんでした。また、自然の中に入っていく時の注意や危機管理もきちんと行われているので、とてもよい環境教育になっているように感じました。里山の自然の中で思い切り遊んだ経験は、記憶が頭だけでなく心身にも残るもの。長い時間離れていたとしても大人になって、里山を守りたいと思う子どもも出てくるのではないでしょうか。

こそだてママnet☆の皆さん、鹿背山元気プロジェクトの皆さんとの協力関係を保ちながら、これからもたくさんの親子を里山の自然の中へ誘ってください。

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