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琵琶湖とともに~沖島『エコの島・安心して暮らせる島』に~ /NPO法人 菜の花プロジェクトネットワーク

事業の概要

2017年度~:八幡工業高校の生徒による沖島出前講座をきっかけに始まった「沖島プロジェクト」。今回の事業では島民の皆さんと小学生への環境学習で循環とエコの島をめざし、島民サロンで沖島の価値を共有し、BDF燃料で発電した電気によりイルミネーションの点灯と漁船での使用をスタートさせます。

菜の花プロジェクトネットワーク 活動のようす画像

2017年6月12日、菜の花プロジェクトネットワークの「沖島菜の花プロジェクト ~BDFってすぐれもの~」が開催される沖島を訪問しました。

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沖島は日本で唯一、淡水湖の中にあって人が住んでいる島です。近江八幡市の堀切港から沖島通船で15分。片道500円です。平日は1日12往復の便があります。

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入り口でチケットを買い、出発すると半券を集めに来られます。船に乗ると、なんだか旅が始まったような気持ちになりました。

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15分後、無事沖島に上陸。菜の花プロジェクトネットワークから代表の藤井さん、副代表の山田さん、事務局の木村さん、3名が参加されています。

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港には、漁業会館の大きな建物があります。ここでは沖島のお土産が販売されていました。

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人口は約260名、沖島小学校には子どもが19名いますが、島の子どもは2名であとは通船で通っているそうです。

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滋賀県名物の飛び出しぼうやも、沖島では漁師バージョンです。

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港から徒歩数分で、講演会会場の沖島コミュニティーセンターに到着です。

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階段の踊り場には竹製のエビタツベが飾ってありました。エビ漁に使う漁具です。いまはプラスチック製になっているはずで、竹製は昔のものだと思われます。

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会場の壁には琵琶湖の魚イラストポスターと、手ぬぐいが貼られていました。手ぬぐいは、テナガエビとエビタツベがデザインされた、沖島ファンクラブ「もんて」のオリジナルです。
沖島ファンクラブ「もんて」も、沖島町離島振興推進協議会の事業のひとつで、評議会では島のファンを増やそうとSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で情報発信をしながら特産品セットを売り出すなどの取り組みを行っています。

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菜の花プロジェクトネットワークの相手方は、沖島町離島振興推進協議会の皆さんです。今回の講演会は沖島に住む皆さんに呼び掛けて一般公開して行われます。

菜の花プロジェクトネットワークの藤井さんが、「沖島は島そのものが、ひとつの文化財です。2013年には離島指定、その後日本遺産に認定されるなど、いろいろと認められてきましたが、人口は減り高齢化も進んでいます。私たちは取り組みを通して、もう一度島の人に元気を出してほしいと考えています」とあいさつしてから、今日の主旨を説明しました。


2015年4月、文化庁によって滋賀県と大津市、彦根市、近江八幡市、高島市、東近江市、米原市、長浜市の琵琶湖やその周辺地域が「琵琶湖とその水辺景観-祈りと暮らしの水遺産」として認定されました。その近江八幡市には沖島も含まれているのです。

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講師は、菜の花プロジェクトネットワーク理事でもある、油藤商事株式会社 専務の青山 裕史さんです。
油藤商事は、滋賀県犬上郡豊郷町に本社があり、創業は1897年、120年の歴史を持ち現在はガソリンスタンドを経営しています。

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油藤商事は単なるガソリンスタンドではありません。「環境負荷の高い仕事なので、なにか環境保全に役立つことをしよう」と、滋賀県内でいち早く分別ゴミを収集し、廃食油(使用済み天ぷら油)を回収して自家プラントでバイオディーゼル燃料にして販売しているのです。

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バイオディーゼル燃料は、平和堂の物流トラックへの給油にも使われています。
他にも、滋賀大学の学食の使用済み天ぷら油を学生の乗るバスの燃料にしていますし、草津市の桜ヶ丘団地、沖島でも天ぷら油を回収しているとのこと。沖島では、一昨年から行われている菜の花プロジェクトネットワークによるイルミネーションの、発電機の燃料として回収した天ぷら油から作ったバイオディーゼル燃料が使われました。

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これがバイオディーゼル燃料の本物です。

青山さんによると、食用油は賞味期限が20年前に切れていても、使用済みであっても、全て燃料にできるそうです。だから「エネルギーの地産地消が可能」と提唱しています。

また、青山さんは大震災の起こるたび、タンクローリーで被災地に赴いているそうです。
「東北大震災は3月11日、その後17日から18日にかけて、コープしがからの依頼でコープみやぎへ燃料を届けるためタンクローリーで走りました。救援物資も一緒に届けたのですが、トラックで向こうに届いた物資は、それを各地に運ぶための燃料がないと、どうしようもないのです。災害が起こると被災地でのガソリンは本当に貴重なものになる、ということがわかりました。

だから、熊本大地震の時は、発生2日後に出発し、知り合いのいた熊本市役所に4,000リットルのガソリンを届けました」

当時の写真を見ながらのお話には迫力がありました。

「沖島の人は今『ここには、こんなんしかない』と言っていますが、新しいものを見つけてみましょう。常識を変えてみましょう」とエールをおくって締めくくりました。

青山さんの講義で、エネルギーの大切さを改めて噛みしめることができました。

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青山さんのお話の後は、沖島町離島振興推進協議会の会長の奥村しげるさん、冨田さん、小川さん、奥村さん、本多さんたちと、菜の花プロジェクトネットワークの3名とで、話し合いが行われました。

沖島の現状について出たお話をかいつまんで紹介します。

・ナタネは去年小学校の運動場に植え、花が咲いた後に種を採った。沖島ファンクラブ「もんて」の人に種まきを手伝ってもらった。「棚田はどう?」と声を掛けてもらったり、女性の会の前会長さんにも「手伝うよ」と言ってもらったりしている。みんなで沖島を考える時、菜の花はよいツールになりそうだ。

・現在、天ぷら油の回収は月に1回。昔は畑に油を流していた。それは実は畑を痩せさせるし、回収することが琵琶湖にもいい、ということを広めたら、みんな協力してくれるだろう。

・離島振興で沖島に来る人が増えている。それで、島の女性の会は張り切っている。お料理も品数が増え、創意工夫もされている。

・島民が260名を切った。

・ゴミ当番も高齢化で問題になってきている。

・大学生が今日から島に住むことになったが、卒業までの期間限定らしい。

・今まで女性が意見を言う場がなかった。しかし、沖島町離島振興推進協議会のメンバーの4名の女性が空気を変えてくれた。

・滋賀県の学習船「うみのこ」と尾上の漁師さんの湖上タクシーだけは、県内のバイオディーゼル燃料を使用していて、沖島をはじめとする滋賀県の漁船は重油を使っているのが現状。

・いきなり漁船をバイオディーゼルで動かそうとするとハードルが高いので、最初は漁船に積んである補助灯の発電機から始めよう。


お話を聞いていると、高齢化や人口減少、ゴミの扱いなど、いろいろな問題に直面している沖島ですが、少しずつ動きだそうとする雰囲気が醸成されているようです。沖島町離島振興推進協議会と、菜の花プロジェクトネットワークとの信頼関係と、沖島の皆さんのワクワクする気持ちが伝わってきました。

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最後は記念写真を撮りました。みなさん、お疲れさまでした。

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帰りの船の時間が迫っているので、あわてて港に向かいました。漁業会館でお土産名物を買い求める人もいます。

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ちょうど小学生が下校する便に当たり、とてもにぎやかです。

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自動車のない沖島では時間がゆっくり流れているかのように感じられました。また訪れたいです。
今年度、菜の花プロジェクトネットワークでは、島民サロンという島の価値を共有するイベント、島で回収したてんぷら油からのバイオディーゼル燃料を使った発電でのイルミネーション点灯、漁船での試用、ほかにもナタネの種まきなどを予定しています。

この事業が、文字通り「エコの島・安心して暮らせる島」へ向けて、沖島の皆さんのステップとなることを期待しています。

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