佐久良川周辺里地での貴重動植物の持続可能な保護活動の探索 /特定非営利活動法人 蒲生野考現倶楽部
事業の概要
この事業は、日野町の佐久良川周辺の里地での、動植物の保護活動です。佐久良川の水生生物調査を、「かいどり大作戦」と称して、地域の親子に呼びかけ楽しく行うとともに、環境保全に関心を持っていただくきっかけとします。また、川の主要動植物図鑑および貴重植物マップの作成に取り組みます。

報告 蒲生野考現倶楽部 の活動
夏原グラント助成団体の取材を続けていますが、2012年度中に、取材に行けなかったのでの活動報告書より蒲生野考現倶楽部の活動の紹介をしています。画像の一部は団体が公開されているウェブサイトからご紹介しています。2013年秋、スタッフが訪問してきました。下へスクロールして活動レポートをご覧ください。
「佐久良川周辺里地での貴重動植物の持続可能な保護活動の探索」
日野町川原地区にて、環境省のモニタリングサイト1000里地調査に参加し、植物、野鳥、ホタル、水環境についてこの5年間調査を実施した結果、当地には希少動植物が残されていることが分かりました。
しかし、少子高齢化が進む当地では農耕地の放棄や除草剤の使用等が始まり、これら希少動植物が消えようとしています。そこで、地元住民自らが地元の環境保全に関わることが必須と考え、調査結果を冊子にまとめ、先ず住民に関心をもってもらうことを目指しました。
私たちが毎月のように調査している姿を見て、また調査報告書を見て、希少動植物がここに暮らし、これらを守ることの大切さに関心を持ってもらえたのではないかと思います。
希少動植物がこれからも生息できるように、例えば具体的な草刈りの時期や回数など、今後地元の方と検討する予定です。 モニタリングサイト1000里地調査はこれまでほとんど自己資金で実施してきた活動ですが、この度の助成金を使って5年間の成果を図鑑兼報告書としてまとめることができました。
この冊子を見て、地元の多様な生き物に魅力を感じ、後の世代に残していきたいと思って頂けるのではないかと期待しています。
私たちは、「たんけん・はっけん・ほっとけん」をスローガンに身近な水環境や、里地里山の環境を学び伝えます。
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訪問 蒲生野考現倶楽部「奥之池地区でのモニタリング調査」
10月5日、蒲生野考現クラブの活動「奥之池地区でのモニタリング調査」を訪問してきました。
蒲生野考現倶楽部では、佐久良川周辺里地での貴重動植物保護活動に必要な調査を、奥之池地区だけではなく展開されています。調査を通して地元住民との交流を図り、調査への参加を呼びかけたり、現地観察会を開催されたり、意見交換会を実施されたりと、精力的な活動を継続されています。
当日は蒲生野考現倶楽部のメンバーに加え、いつも調査に協力・指導してくださっている専門家の方や地元の方も参加されていました。当初予定されていた日が雨で延期となったため、今日は少数精鋭の調査隊です。
場所は日野町の奥野池地区。ゴルフ場に近い佐久良川周辺の水田を囲む一帯で、環境省が定めた方法(https://www.nacsj.or.jp/project/moni1000/)に従って実施します。
対象となる地域を一定区間で区切りながら、そこに生息する植物相を明らかにしていきます。今回の対象は、植物の中でも草本です。法面の植物をひとつずつ確認しながら、「区間名」「種名」「花・実の有無」などをチェックしていきます。
指導してくださる専門家の方はもちろんのこと、スタッフ、地元の方々も、見るとすぐ種名が出てきます。さすがと思わせることばかりです。
どちらか確定できない場合は、図鑑で調べます。
手持ちの図鑑で確定できない場合は、採取し、きちんと調べて確定します。採取した植物が袋の中に入れられていきます。
途中で、地元の方が「キノコ」を持ってこられました。専門家の先生に見て何なのか教えて欲しいとのこと。調査には直接関係はありませんが、地元の方との関わりを大切にしておられる様子が伝わってきました。調査はそれそのものが目的ではなく、調査の結果を伝えて、地元でどのように生息環境を守っていけるかがポイントとなってきます。こういった交流の積み重ねこそが重要なのだと思いました。
地元の方に、貴重な植物であることを知っていただきたいと、名前が表示してありました。貴重な植物なのに表示しても大丈夫なのですかとたずねたところ、この植物は移植してもほとんど定着しないので持って行く人はいませんよとのこと、安心しました。
調査が進み、記入シートにどんどん植物名が記入されていきます。
今回は、チョウも調査対象です。植物と違って(!?)動き回るので、調べるのも大変です。遠くから双眼鏡で覗いていましたが、運良く、手が届くところに止まってくれ、捕まえることができました。
これも種名を確定するために、図鑑が活躍します。
調査により、たくさんの植物を確認することができました。ほんの一部です。
定点調査は定期的に実施されるとのこと。専門的な知識と継続的に実施していく地道な努力が必要です。みなさまのたゆまぬ努力に頭が下がります。こういった積み重ねが地元の信頼を得、活動を広げていくことに繋がっているのだと実感しました。