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21世紀の「鹿背山ものがたり」をつくろう~里山と都市の好循環を目指して /鹿背山元気プロジェクト

事業の概要

「みもろつく」の枕詞で『万葉集』にもうたわれ『続日本紀』にも登場している鹿背山(かせやま)。今まで10年間続いてきた里山の環境保全活動の集大成として、過去から未来へ続く絵本を作成します。

鹿背山元気プロジェクト 活動写真

2016年12月17日、京都府木津川市にある鹿背山の里山をフィールドとする鹿背山元気プロジェクトの活動にお邪魔してきました。

鹿背山元気プロジェクト 活動写真
ま新しい木津駅から車に乗って走ると、すぐに田園風景がひろがり山に入れば里山。駐車場から少し歩いて、アウトドアフィールドといった雰囲気のところに到着しました。

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入り口に立ててある、掲示板。

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ここに、鹿背山元気プロジェクトのパンフレットや、イベントのチラシなどが貼られていて、ふらりと来た人でもどんなところかわかるようにしてあります。

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季節が感じられる、手作りらしいフクロウの置物も。

鹿背山元気プロジェクト 活動写真
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早く来た人たちは、もうお昼ご飯の準備に取りかかっていました。水道も電気もない場所なので、参加者は各自1~2リットルの水を持参することになっています。煮炊きはもちろん、伐採した木の薪です。主にナラ枯れや松枯れの木を伐採しています。

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子どもが大好きな斜面。そして「鹿背山元気芸術祭」の幕も掲げてあります。

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大きなウッドデッキが3つあります。

鹿背山元気プロジェクト 活動写真
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ひとつのデッキでは、地元のアーティストの方々が、絵を描く準備を始めていました。参加者みんなで、自然のものをモチーフにして、大きな絵を描き、それをもとにして絵本を作るのが、この事業「21世紀の『鹿背山ものがたり』をつくろう~里山と都市の好循環を目指して」なのです。

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持ち込まれた、カラフルな画材。これを使ってどんな絵ができあがるのか、楽しみです。

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見回すと、トイレの上に太陽光発電パネルが置かれています。
電気も水道もない場所でも、太陽光で動かすバイオトイレが利用できるのです。中に入っても、不思議なほど臭いがありません。中に貼ってある使用説明書には木津川市の設備と書いてありました。

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それもそのはず。このあたり一帯の里山は、木津川市のものなのです。

大規模開発でできた、3つのニュータウン。その後にこのあたりも開発が予定されていたのですが、結局開発が中止となり、その後木津川市が引き取ることになりました。開発が中断した理由の一つは、オオタカの営巣が見つかったからだそうです。そういえば、ここの門にはチェーンソーアートの動物が飾ってありましたが、その中に猛禽類もありました。オオタカだったのですね。
現在、生物多様性地域連携促進法による保全計画『みもろつく鹿背山再生プラン』が、環境省の後押しで市によって策定されました。

市への移管前から里山再生整備を行っていた団体が、引き続き活動を行っています。鹿背山元気プロジェクトは市や他の活動団体とともに、「木津川市地域連携保全活動応援団」を結成し、管理・利用しているということです。

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この里山整備活動に参加している皆さんは、地元の方を始め、ニュータウンに住んでいる人や他の市、奈良県などからやってきています。都市部に住む人も里山整備に力を出しているのですね。

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大人たちが昼食の準備を行っている間に、子どもたちを中心として、里山の自然散策に出発しました。
絵を担当するアイさん、リーさん、かとうさんがまず説明します。
「これから自分の宝物を見付けて集めてください。
今の時期、生き物は隠れています。探してね。木の実でもいいですよ」
鹿背山元気プロジェクトの中村さんや、食べられる野草に詳しいバカボンさんについて行きます。

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冬なので虫にはあまり出会えません。朽ちた木の下はどうかな?とひっくり返したら、小さなムカデみたいなのが出てきました。

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「これを持って帰りたいから、切ってください」と、
ハサミを持っている大人に頼んで切ってもらいます。

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お気に入りの木の実や葉っぱなど、見つけたら袋に入れて持ち帰ります。これが絵を描くための素材になるのです。

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山の中の小道をたどっていくうち、開けた広場にやってきました。ここはスタッフの皆さんの中の、みしなさんとふくださんのお二人が4年かかって整備したアカマツ林です。もとはまわりの雑木林のように木々が茂っていたそうです。アカマツを残し他の木も少しだけ残し、人が散歩しやすいように、さっぱりと切ったそうです。

みしなさんは「松をじゃましない木を残しました。そして、あまり地面がふかふかにならないようにしています。落ち葉で地面がふかふかになる、ということは、栄養がたっぷりある、ということです。栄養たっぷりという状態は、アカマツにとっては悪いので、落ち葉はこそげ取ってしまうようにしています」と説明してくれました。こそげ取った落ち葉などは端っこに積んでありました。

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続いて案内されたのは、イノシシの足跡がよくわかる場所でした。
イノシシは美味しそうなにおいがすると地面を掘り返します。そんな穴があちこちに見つかりました。

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山の窪地に水たまりがあり、イノシシはそこでゴロゴロと転がって自分にくっついているダニなどを取り除こうとするのだそうです。あたり一面、イノシシが転げ回った跡と足跡がありました。

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子ども達もしっかりイノシシの足跡を見ていました。

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中村さんが傾いた木の説明をしてくれました。

「これはソヨゴの木です。葉っぱと木の枝の間に葉柄という軸があり、葉柄が長いので風にそよぐ音がするので、この名前が付いています。根が浅いのでよく倒れるのですが、そうなると脇から新しい幹が出て伸びる、という生存戦略を持っています」
確かに、根が浮いたあたりから新しい木が伸びていました。

こうして、時々説明してもらっていると森の木のことがわかりますね。

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ため池の堤防を渡り、茂みをかき分けながら山道をくるりと回って、元のところに帰ってきました。ちょっとした冒険気分です。

お料理はかなり進んでいるようです。

子どもたちは、自分の描きたいものを持ってきて、いよいよ大きな紙に描き始めました。

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こんなふうに、自然のものを並べて、見ながら描いていきます。

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小さなミツバツツジがかわいい花を咲かせていたのを切り、持ち帰ってきました。それを見ながら大きく描いています。

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時々風に乗って、いいにおいがしてきます。今日のお昼はシチューです。

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そして、バカボンさんが持参した野草のサラダもあります。赤いのはサザンカのつぼみをばらしたもの。これらの食材はフレンチレストランに出されているものと同じだそうです。

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豪快な大鍋料理のシチューも煮えて完成しました!

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サラダも完成です。真ん中の白いのはドレッシング。野性の風味がして、美味しいサラダでした。

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各自持参した食器に注ぎ分けてもらい、持参したご飯・パンといっしょに思い思いの場所でいただきます。熱々のシチューは「ベーコンが美味しい!」「チーズも入ってるからコクがあるね!」と、大好評でした。

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ご飯を食べたら、子どもも大人も引き続き絵を描きます。

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だんだん、いろんなもので紙が埋め尽くされていきました。さっき見た、イノシシの足跡もスタンプになって、いっぱい付けられていました。

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自分の部分は完成したと思ったのか、絵を離れて遊ぶ子も出てきました。

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午後2時、できあがった絵と一緒に記念撮影です。素敵な仕上がりですね。この絵を使って、どんな絵本ができるのでしょうか。とても楽しみです。

中村さんは「ここ鹿背山は、万葉集にもうたわれている歴史ある里山です。平城京から遷都した恭仁京(くにきょう、741-743年)のランドマークにもなっていました。
この活動も10年になりました。木津町は人口が増え、合併して木津川市になりました。計画人口3万人の3つのニュータウンがすぐ隣にあります。茶業教育施設が日本遺産に認定された木津高校や、京都大学付属農場もあります。
ここでは、木津川市こどもエコクラブの自然観察会や、『森のようちえん』づくりも行われています。近くの城山台小学校では生きもののくらしを観察して、里山の木や土を校庭に移植する教育をしています。
里山の保全活動に子どもを連れてくる、というのがミソなんですよ。絵本をつくるのもそのためです。大きくなっても、自然に里山にかかわって、ふるさとを実感できる町をつくってくれるでしょう。」とにっこり。

確かに、ここにいる子どもたちは誰一人ゲーム機で遊んでいませんでした。みんな目を輝かせて自然のもので遊んでいるのです。この時間は今の時代において子どもたちにとってとても貴重なもののように思えました。

里山の保全はとても長いスパンで考えなければなりません。それに比べると子どもの成長は早いかもしれませんね。鹿背山元気プロジェクトの皆さん、これからも息の長い活動を期待しています。

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