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里山の自然環境と文化を守るプロジェクト~みんなで米作り!~ /里山みんなの未来くらぶ

事業の概要

近江八幡市島地区にて、自然農で無農薬・無化学肥料での水田づくり体験を行います。年間通した稲作体験を通じて生き物の循環の中で生かされていることを感じられる体験です。季節ごとに環境学習や里山文化体験のワークショップも実施します。

2025 年6月28日、里山みんなの未来くらぶの自然農米作りの活動に訪問しました。


 


活動場所の近江八幡市北津田町は、近江バス長命寺方面行『北津田』バス停下車すぐのところでした。田んぼは、自然豊かな里山が目の前に広がる北津田町公民館と農協用倉庫の前にあります。


 


この日は、空がすっきりと晴れ渡り、夏の陽気を感じる一日でした。
集合場所は代表の岡さんの自宅前ということでした。


岡さんは大学進学を機に故郷を離れ、都会で仕事や子育てをしていました。
しかし、両親の他界をきっかけに、子どもの頃に当たり前だと思っていた里山での暮らしが、実は特別なものだったと気づきます。都市生活と故郷の暮らしの違いを改めて感じる中で、「子どもには里山の自然の中で育ってほしい」という思いが強まり、地元へ戻る決意をされたそうです。


しかし、この自然豊かな北津田でも、幼い頃には当たり前だった営みが失われつつあります。そこで、里山での共同作業や自然との暮らしのつながりを再生することを目的に、知人や地元の友人に呼びかけ、2022年4月から活動を開始しました。


今年の田植えイベントは、6月1日・8日・14日・22日・28日の午前・午後にわたり、一般参加者を対象に開催されていて、複数回の参加も可能ということでした。
最終日の28日には、草津市から親子が初めて参加。お子さんと田植えを体験したいと考えていたものの、6月末では時期的に難しいと感じていたところ、SNSでイベント情報を見つけ、すぐに申し込まれたそうです。
参加者は滋賀県内、特に近江八幡市周辺からの子ども連れの家族が中心で、年間を通じて活動するコアメンバーは、県外からの参加者も含めて、大人約13名、子ども9名だそうです。


田植えが始まる前には、助成金で購入した刈払機を使って畦の草刈りを行っています。以前は鎌や手で刈るか、小型の機器を使用していたため作業に時間がかかっていましたが、現在の刈払機は分解できて持ち運びも便利になり、作業効率が大きく向上したそうです。


 


田んぼへ移動する前に、参加者に対して、生物多様性や食物連鎖、生態系と田んぼの役割を絵図でわかりやすく説明し、無理のない作業やこまめな水分補給・休息の重要性、蛇やヒルなどの生物との接触に関する注意点を伝えたうえで、長靴を着用し徒歩で田んぼへ移動しました。


徒歩3分で到着。
この日の田植えは手前の場所になります。土地改良がされずに残った小さな田んぼを、地域の3人の方から借りて活動されています。大型機械が入りにくい規模で湿田でもあるため、お荷物のような田んぼと思っていた作り手さんは、喜んで貸してくださったそうです。
集落の中心に位置しているため、きれいに整備されることを地域の方々も望まれており、活動への期待が高まっています。


初めて参加された方は、スタッフに手を引かれながら、ゆっくりと田んぼの中へ入りました。前日の雨で水の量が多く、貸し出し用の長靴では中に水が入ってしまうため、靴下での参加がおすすめでした。


最初の作業は雑草取り。
泥の感触を楽しみながら、田んぼの中でゆっくりと作業を進めていきます。草取りのような軽作業から始めることで、初心者の方でも気軽に取り組むことができます。何度も参加されている方からは、「雑草取りが一番心が癒される」との声も聞かれました。


 


 


子どもたちはそれぞれのペースで参加し、田んぼに入らず見守るだけでもOK。
スタッフは無理に促すことなく、子どもの気持ちを尊重して関わっています。実際に、ある小学生は初めての年は田んぼに入ることができず、見ているだけの参加でしたが、翌年には自分から泥の中に座り、くつろぐ姿を見せてくれていたそうでした。
この活動の本質は、自然の中で「自分らしく過ごすこと」。
田んぼに入るかどうかではなく、安心して自然とふれあえる時間を大切にしています。


4 月に種まきを行った品種「アサヒ」は、現在約20cmほどに育っています。
この苗を1本ずつ丁寧に手植えしていきます。
農薬も化学肥料も除草剤も使わない自然栽培で は、苗を苗床で有る程度大きくなるまで育ててから田んぼに移植するそうです。「アサヒ」は機械化に合わせて品種改良がさかんに行われる前から育てられていた品種で、一般的に栽培されている品種よりも竿が長く、収穫時にコンバイン(機械)を使うのには適していないため、すべて手作業での栽培となるそうでした。


田植えでは、3本の指で苗をつまみ、まっすぐに差し込む練習から始まり、黒い目印のひもと結束バンドで位置と間隔を確認。
草取りの動線や苗の成長スペースを考慮した配置は、経験に基づいて決められているそうです。大きな苗は奥側に、状況に応じて柔軟に調整されていました。植えた後は、足跡でできた穴を両側から土寄せしてしっかり補強します。


作業していると、オタマジャクシや・アメンボ・カエル類など生き物を多数確認できました。


 


田植えと並行して、ザリガニが掘った穴や豪雨によって生じた水漏れ箇所を確認しながら、随時補修を行っています。これらの穴は放置すると水圧によって拡大し、被害が広がる恐れがあるため、発見次第すぐに土などで塞いで対応しています。


 


直近の雨で水が田んぼに多く入りすぎ、水路の水位が上がってしまったり、水が濁るといったトラブルが発生しました。そのため、毎日パトロールを行い、土や石を使って水の流れを調整する作業を続けています。今年は梅雨明けが例年より早く、水の確保が今後の大きな課題となるようです。


 


今後の対策として、あぜ道の補強にアゼナミシート、獣害対策として電気柵の設置を予定しています。


作業後、泥を落として集合場所へ戻ると、以前のワークショップで仕込んだ酵素ジュースがふるまわれました。汗をかいた後の手作りジュースは格別で、参加者の楽しみのひとつ。ほっとひと息つきながら、参加者同士の会話がはずんでいました。


作業中には、地域の方々からの応援の声かけがあり、「自宅で採れたジャガイモを皆さんで分けて持ち帰ってくださいね」と温かい言葉をかけてくださる姿が見られました。


 


地域のあたたかい見守りの中、子どもたちは自然の中でのびのびと遊び、学びながら、作物づくりを通して「自然の恵みを暮らしに取り入れること」の大切さを実感しています。
岡さんの活動の基盤にはパーマカルチャーの考え方があるそうです。里山・田んぼ・琵琶湖といった地域資源を活かした循環型の暮らしが、地域内外に広がることで、自然保全の裾野が広がり、持続可能な暮らしの輪が育まれていくことを願っています。

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