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水源の里「古屋」の宝物再発見 /古屋集落自主応援組織「古屋でがんばろう会」

事業の概要

京都府綾部市の山村古屋の周囲には、トチの古木が水源の森をなしています。住民は6人、ほとんどが80代という過疎高齢化の集落ではありますが、ここに集うボランティアは数多く古屋集落を元気にしています。古屋と水源のトチの森を守る活動を、都市部住民に広く参加を呼びかけていきます。

古屋でがんばろう会 活動写真

2014年8月23日、古屋でがんばろう会の皆さんの鹿除けネット補修の現場を訪問しました。古屋集落があるのは、京都市内から高速道路で2時間くらいかかる京都府綾部市睦寄町です。

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集落内を若狭と京都・大和をつなぐ古い街道が通っています。集落に住む渡邊さんのお話では、古くは京都を守る武士が住み着き、江戸時代には70軒もの家があり、天皇家の領地だったこともあるということです。
かつてはにぎわっていた古屋集落も現在は5戸6名が暮らすだけとなってしまいました。いわゆる限界集落です。一時は廃村の危機にありましたが、2007年水源の里条例により指定を受け、古屋集落自主応援組織「古屋でがんばろう会」が2011年に設立されました。
2012年には栃の実を使った特産品の開発や行政・ボランティアと協力して道路の清掃、栃の木の育成や管理が評価され「豊かなむらづくり全国表彰事業」近畿ブロックで農林水産大臣賞を受賞するほど活性化しました。ここ数年は年間500名を超す人が訪れ、鹿除けネットの補修や栃の実拾いなどのボランティアを行い、栃の実を使った特産品を買ってくれるそうです。

古屋でがんばろう会 活動写真
清流沿いの道は峠につながります。

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奥のほうで箱のような罠を仕掛けておられるのが見えます。山の暮らしの一端を垣間見た気がしました。
また、右端に写っているのは植えた植物を囲う鹿除けネットです。こうしなければ何でも鹿に食べられ育たないのでしょう。集落の中心部でも鹿の食害がひどいのがわかります。

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街道の歴史については、この看板に詳しく書いてありました。

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今日の集合場所は古屋公民館です。

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公民館内部は懐かしい雰囲気の座敷です。

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この日は市議会議員選挙前日であり、また福知山の水害復旧ボランティアなどで人の集まりが少ないとのことでしたが、それでも30名近い方が集まりました。企業の方、会員の皆さん、何度となく来ていらっしゃる雰囲気で、作業にも慣れておられる様子。会長の秋山さんからあいさつがあり、地元の渡邉さんから作業の説明を受け、3班に分かれて出発です。

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これはネットを補修する機材です。ここにも助成金が活かされています。
藁で編んだロープのようなものが右上に見えますが、これは背負子(しょいこ)と言い、箱を背中に背負うための昔ながらの道具です。ここでは今でも現役なんですね。

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軽トラックで峠道を進み、舗装が途切れるあたりで停めて山に入ります。ここから荷物を運ぶのは人手しかありません。

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沢を渡る丸太の橋は濡れているので慎重に。

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しばらくして、道が分かれる場所に来ました。ここからは3班それぞれが別の谷を担当します。

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これが鹿よけネットです。背丈より高いくらいにしっかりと張り巡らされているのですが、所々すき間が開いてしまっています。こういう箇所を修理するのが今日の作業の目的なのです。8月10日にも同じ作業が予定されていたのですが、台風11号の接近で中止になってしまいました。
9月には8回、栃の実拾いが予定されています。学生や一般のボランティアの手で多い時には1トンもの実が集まるそうです。
秋山さんは最初の説明で「もし鹿除けネットに穴が開いたままだと栃の実は鹿に食べつくされてしまいます。だから、今日明日でしっかり作業をしないといけません」とおっしゃっていました。

古屋でがんばろう会 活動写真
さらに沢を渡って機材を運びます。

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どんどん沢をさかのぼっていきます。

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だんだん獣道のように細い道になってきました。

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台風などのせいで倒木も多いですし、地面に落ちた木の枝もいっぱいです。

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時々、栃の実が見つかります。栃の木が生えている地域に到着した証拠ですね。

古屋でがんばろう会 活動写真
古屋でがんばろう会 活動写真
そしてついに谷の斜面に栃の巨木がそびえているところに到着しました。圧倒されるくらいの存在感があります。気持ちのよい空間です。

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急な斜面の上のほうに鹿除けネットが張り巡らされています。まっすぐ上っていけないくらい急なので、ロープを垂らしてポールを引き上げます。上で作業をしていると大きな石や倒木の枝などを放ることもあるので、下にいる人は常に注意が必要です。

古屋でがんばろう会 活動写真
ネットには倒木や石が引っかかっているので、それらを丁寧に外していきます。足元は傾斜が急なうえ、水を含んだ泥がすべりやすくて危険です。ロープが命綱代わりの私は、手を離して写真を撮るのも恐る恐る……。

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同じ班の方と手分けしたので、向いの斜面でもネットの補修をしています。

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斜面は鹿が草を食べてしまっています。本来なら、もっと青々と下草が生えているはず。

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ネットに引っかかった鹿が白骨化していました。

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堂々たる栃の木の根には時間を忘れて見とれてしまいます。森の精が宿っているかのように神秘的ですらあります。根は岩を抱き、山を守っているのだと実感できました。栃の木は沢に沿って生えています。まさに水源を守る森なのですね。

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沢周辺には気の早い栃の実が落ちていました。アクが強いのでサルは食べませんが、鹿は平気で食べるそうです。山間部ではどこでも鹿などの食害と人間の戦いが繰り広げられています。

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古屋では昔から栃の実のアクを抜いて餅にしていました。手間暇かけた加工品を特産品として売り出したことで、栃の実は古屋集落の元気の源になりました。おかきとあられは新しく商品として開発されたものだそうです。

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山の香り高く滋味あふれる品々でした。作業を終えたボランティアの皆さんを迎えてくれるのは、この栃餅入りのぜんざいです。小豆と栃餅の相性はよく「絶品!」と大好評。

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こちらが古屋に住み続けておられる4名の皆さんです(写真手前、こちらに顔が見えている方々)。栃餅など手作りされています。最高齢の方は90代!とてもお元気なことに驚きました。今日のぜんざい作りも女性3名が担当されています。

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これは作業に参加した記念品、マスコットキャラクターの「とち丸」キーホルダーです。栃の実をデザインしてあります。これにも助成金を役立っています。町に帰ってからも、この「とち丸」を見ると古屋の栃の木の森を思い出しますね。

今回は二日間の作業だったのですが、後日伺った話では人数が少ないのと雨が降ったこともあり予定の半分程度しか補修できなかったそうです。また改めて作業日を設け、ボランティアを募っておられました。

険しい山に入っての作業なので危険もあります。服装は汚れてもよい長袖長ズボン、足元は長靴か登山靴ですが、一番よいのは地下足袋のようでした。ヘルメットも被っているほうが安心です。そんなボランティアを常時募集しておられます。保険料や栃餅入りぜんざい込みで参加費500円(今年度初めて参加の場合のみ別途300円要)。気になる方は以下のフェイスブックページにアクセスを。

古屋でがんばろう会
https://www.facebook.com/koyadeganbaroukai

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