地域内外の住民と萱刈り /天引区の活性化と未来を考える会
事業の概要
耕作放棄地に自生している萱を活用して、地域内にある薬師堂のかやぶき屋根の葺き替えに取り組みます。萱刈りは、地域内外からの協力者を集めて取り組むとともに、刈り取りや葺き替えに専門家の指導を仰ぎ、技術継承にもつなげます。
南丹市園部町天引区は中山間地で、かつては松茸の産地でした。人口減少、高齢化が進み、地域づくりがなかなか難しくなっている中で、天引区の活性化と未来を考える会は、地域づくり活動に熱心に取り組まれています。
2023年度、2024年度と「希少生物の棲む石積み水路の補修と林産物の有効活用を目指す炭焼き事業の推進」事業で、夏原グラント助成を受けられていました。
今回、採択になった事業は、耕作放棄地に自生する萱(かや)を刈り取って、薬師堂の屋根の葺き替えに利用しようとするものです。
萱はイネ科およびカヤツリグサ科の草本の総称で、チガヤ、スゲ、ススキ、ヨシなどがあります。今回刈り取るのはススキです。2026年1月から4回の萱刈り体験を企画されました。2回目の1月25日に取材に行く予定でしたが、あいにくの雪で中止となり、最終2月15日の体験会に伺いました。
集合場所である天引区公民館に続々人が集まってきます。会のメンバーを中心に、地域外の人や学生も加わって、20名を超える参加者が集まりました。メンバーの最高齢者は80歳とのことですが、とても元気で参加されていて、「若い人を支えたい」とおっしゃていました。
車に分乗して萱場へ移動します。萱場は元々田んぼで、耕作放棄地になっていて、ススキが自生しています。中山間地なので獣害があり、鹿避け用の防護策が張り巡らされていて、田んぼだったことが窺い知れます。
運搬用の軽トラがスタンバイして、いよいよ作業の開始です。
鎌を使っての刈り取り作業ですが、ススキは油分があって、滑りやすく作業がしづらいそうです。実際少し刈ってみましたが、本当に重労働で、なかなかうまく刈れませんでした。経験者は手慣れたものです。
作業効率を一気に高めるのが、電動バリカンです。夏原グラントを活用して導入されました。電動バリカンは生垣の剪定だけに使うものだと思っていたので、こうした利用法があるのだと驚きました。
刈り取ったススキは、揃えて束にします。
刈り取った後はていねいにススキや雑草を刈り込みます。しっかりと刈り込むことで、次のススキの生育を促すのだそうです。すでに新芽が出ているところもあります。
(ススキの新芽が出ています。)
萱刈りをしていく中で、萱場にカヤネズミがいることが分かります、萱刈り事業の他に、カヤネズミの観察会、調査も実施しているとのこと。当日も、カヤネズミの巣を見せてもらいました。
(カヤネズミの巣、萱を丸めて巣を作ります。)
束にした萱は、公民館横に借りている倉庫で保管します。束にする方法は、美山のプロの方の指導を受けたそうです。萱葺をしようとしている薬師堂はの屋根は4面あって、1面を葺くのに300〜400束必要なので、その分を貯蔵するのも大変です。
薬師堂は地域の人によって大切に守られています。葺き替え工事は、1面だけでも多くの費用がかかるようです。会としては、萱の確保が進み次第、資金を確保しながら葺き替えを行いたいとのことです。
コミュニティが希薄化し、地域活動がなかなかできない状況が多くの地域で見られるようになっています。天引区は人口減少、高齢化を抱えながらも、天引区の活性化と未来を考える会が中心となって、住民が一丸となって地域を盛り上げていこうとされている姿を見て勇気づけられました。




