たねもみプロジェクト /特定非営利活動法人 森の教育プロジェクト
事業の概要
京都府南丹市美山町の里山文化や農村の環境を体験教育の場として活かす活動をしています。子どもの体験や大学生との連携を行いながら、米・麦・大豆の栽培に取り組み、農地保全につなげています。
2025年6月15日、京都府南丹市美山町へNPO法人森の教育プロジェクトが行う「御田植祭」の取材に伺いました。あいにくの雨予報でしたが、小雨決行とのこと。活動拠点となる美山町和泉小橋ノ本の「CYCLE SEEDS サイクルシーズ」では、絣を着たかわいらしい早乙女まで登場しました。各地から集った約50名が田植えやその後の交流会の準備などに忙しくしながら始まりを待っていました。
活動の拠点でもある「CYCLE SEEDS サイクルシーズ」
活動地周辺の様子
森の教育プロジェクトは、美山町の住民や移住者が中心となって発足したグループです。2017年からは、デンマーク在住の日本人との交流をきかっけに始まった国際交流事業を実施、美山町の子どもたちがデンマークへ短期留学し、またデンマークからも美山町へ迎え、ホームステイでの交流を育んでこられています。2021年にはNPO法人となり、美山町の自然豊かな環境を活かした体験や交流の場を作りながら活動をされています。
この日行われたのは、国際交流事業の一環でもある「プロジェクト『田(デン)マーク』」の「御田植祭」の企画でした。種類の違う米の苗を植えて、田んぼにデンマーク国旗を描きます。2019年から始まったこの企画、例年はデンマークからのお客様もお越しになるということですが、今年は不在でした。ですが、美山町の子どもたちの他、京都大学の学生が中心となった、美山まちおこしサークル「わっしょい」の学生たち、京都市内から、さらには東京・横浜・フランス・中国とワールドワイドな参加者が集っていました。
雨天でも元気に始まりました
様々な農機具の中に、ニワトリもいました
代表の中島隆章さんが、活動の趣旨などを踏まえ開会の挨拶をされました。また、この日は平和堂財団からも現地訪問に同行され、冒頭にご挨拶をされました。
みんなで田植えする田んぼは、CYCLE SEEDSの裏手にありました。現地では、田植えなどの指導をしてくださる寺井さんがロープを使ってきれいに植える方法を説明され、並んで田んぼへ入りました。デンマーク国旗の柄は、もち米とキヌヒカリの2種類の苗を使い分けて作るそうです。すでにもち米で表す十字の部分は植えられており、残りの部分を仕上げていきます。
デンマーク国旗の十字の形はすでに植えられていました
植え方を教える地元の寺井さん※
森の教育プロジェクトの活動では、米、小麦、枝豆も栽培されています。それぞれに地域内外に関心を寄せる方たちと集まって作業し、収穫、ウェブサイトなどを通じて販売し、収益を活動資金の一助として活用されるそうです。この『田(デン)マーク』田んぼのお米も販売が呼びかけられ、デンマークへ向かう子どもたちの資金となるということでした。
中島さんにご活動の目的を聞きました。美山町の環境を活かしながらの農作業体験を地域の子どもや、他地域からの参加者が交流しながら行うことで、農村地域ならではの価値を子どもたちの教育の場として活かし、地域愛を育むとともに、農村地域ならではの価値をさらに高めたい、とのことでした。京都大学の学生との交流にも、活動が子どもたちへ与える教育効果について測定し、実証するという連携を想定されているそうです。
学生が地元の子どもたちの間に入り、サポートします
中国やフランスから、という参加者も教わりながら初めての田植えです
それぞれの作物を栽培する農地は、地域の方との関係の中、借りたり、依頼を受けたりして使われています。実に2町歩になるとのこと。地域内の約2割の田畑を中島さんが中心となって森の教育プロジェクトの活動などで活用、維持管理されていると言います。「どうせなら関わってみたい人をたくさん集め、みんなでやってみようと思った」と中島さん。「子どもたちの学びの場ともなり、ここの田んぼは小学生が守っている。地域の人たちとのコミュニケーションも重ねられる」と農作業を通じた農村地域ならではの子どもたちへの多面的な効果を期待されていました。
これまでの活動では、農作物の販売収益の他、デザイナーの本業を活かしたウェブ発信、クラウドファンディングなどで資金を得ておられましたが、今回の夏原グラントが初めての助成金活用だったそうです。聞くと、前年(2024年)に栽培していた枝豆がカラス被害で全滅したとか。60,000円分見込んでいた収益がなくなり、防除のための設備にも費用がかさみます。本助成金費用は、防除資材に自己資金を充てるため、苗や種子等の購入費の他、農機具の整備にも活用されました。
田植え後と実りの時期の写真をいただきました※
2025年8月、5回目となるデンマークへの短期留学に美山町から4名の小中学生が参加しました。1週間の現地滞在のサポートには、初回に参加した子どもが大学生となって手を挙げ、引率したそうです。「美山の子どもたちが自然活動や国際交流、多様な活動で学びを育める環境を作る」「体験の経験から、愛されて守られていたという地域への想いを育んでもらえたら」と中島さん。
雨脚が強くなった田んぼでは、学生たちが子どもたちのサポートをしながら楽しそうに田植えが続いていました。初めて田んぼに入るフランスや中国から参加者も中島さんが楽しげに指導され、田植えの列に加わりました。
美山町の田んぼや畑を活かしながら、ここでしかできない活動の輪を広げる森の教育プロジェクトの活動。今後の継続にも本助成金が一助になればと思います。
■特定非営利活動法人森の教育プロジェクト ウェブサイト
https://edu-project.jp/
※ トップの写真と一部※印の写真は団体から提供いただきました




