かやぐらしプロジェクト /Reco.lab
事業の概要
立命館大学びわこ・くさつキャンパスには自然林があり、その中の調整池周辺にはヌマガヤが繁っています。このカヤを使って希少種であるカヤネズミが営巣すると思われます。自然林の整備を行うとともにヌマガヤの生育地を広げ、池の外来魚を駆除するなどして環境整備を行い、カヤネズミの住処の拡大やその他希少生物の保護を図ります。
2014年11月22日(土曜日)、「Reco.lab」さんの活動におじゃましました。
エコライフデザインサークルReco.labさんは、立命館大学の学生たちが組織した環境団体です。そのミッションは、いわく、“サステな社会をクリエイトする”…つまり、持続可能な社会をつくるということですが、誰もが自然に参加でき、取り組める環境活動を通して、社会の意識を変えていこうというわけです。
Reco.labさんは、立命館大学内でペットボトルキャップの回収やエコ商品の紹介をしたり、学外の環境活動に参加したりと、いろいろなことに取り組んできました。
下の写真は、2014年6月に立命館大学で開催されたイベント「Let’s Start Volunteer!」に参加されていたときのポスターです。
彼らは大学が自然緑地を保全するいろいろな試みに協力することで夏原グラントに助成を応募しています。自然緑地には森林の他にため池がありますが、ご多分に漏れず外来魚ブラックバスの天下となってしまっていました。Reco.lab代表の田中雄大さんによると、「ブラックバスに食べられてこの池の生態系は貧弱になっています。今日の活動は、在来の水生生物の生態系を回復しようというのがねらいで、森自然緑地全体を守るためにやります」とのこと。もともとの生態系に被害を及ぼす外来魚の駆除を行い、コイやフナ、ヤゴの棲みやすい自然を取り戻そうということですね。
すでに1週間かけて池の水抜きをしてあります。学生たちの腰の位置まであった水がひいていますが、中央部にはまだ水がたまっています。このたまった泥水の中からコイなど在来種を救いだし、ブラックバスやブルーギルを駆除するのです。いいお天気で風もなく暖かい日でした。水の中に入っての作業にぴったりではありませんか。夏原グラントの助成金が胴長を買い増しするのに役立ちました。
作業は10:00開始。まずは在来種の救出作戦。水の中に入り大きい網ですくいます。池の中央部は水深70cmぐらいでしょうか。胴長がないと無理ですね!底の泥で滑らないよう気をつけての捕獲です。救い出された魚は仮設プールに入れておきます。
池の底はヘドロが堆積し、一歩足を動かすのも大変そうです。
池の中の作業は順調に進み、コイやヘラブナなど30~50cmのものを10匹以上救い上げました。
「でっかいコイ救出しました!」
ヤゴも見つかりました。「なんだ今日は!?大騒動だな、勘弁してくれよ~」(ヤゴ談)
10:30、ちょっと休憩。ここまでの活動は比較的楽だったかな、余裕の表情で写真撮影に応じてくれました。
いよいよ外来魚駆除がはじまります。ここまでの活動もですが、長年環境保全をされてきた専門家が一緒に作業に入り、指導してくれるので、初めての学生でも安心して仕事ができているって感じでした。てきぱきと指示があり、学生たちもてきぱきと動いていました。素晴らしいレコラボ!
ここで登場したのが青くて長い網。網の下側にはおもりがついています。このおもりを池の底にあてながら、池の端から少しずつ中央へと進み魚を囲い込む作戦です。
さあ、行くぞ!網をしっかり持って池の中に入っていきます。ずぶずぶずぶ…
ライン網隊が中央部に魚を追い込んできたので、キャッチ網も登場しました。
コドモのブラックバス。旺盛な繁殖力で在来種を駆逐してしまう悪役にもかわいい時代が…。
そろそろ作業は終わりです。順次陸地にもどります。もう腰までどろに埋もれていますね。ずっと肉体労働をしているので、疲れもたまっているはずです。
ひとりの学生がどろから抜け出せなくなってしまいました。大丈夫か!! そのとき不謹慎ではありますが、「お池にはまってさあたいへん♪」という童謡(どんぐりころころ)の歌詞が頭の中で鳴り響いたのでありました。
みんなが知恵と力を出し合ってなんとか脱出させることができましたが、ヘドロはこわい!みなさんも泥池で作業するときは十分気をつけてください。
水がないところも相当なぬかるみ。あちらこちらですぼりずぼりとはまっていました。
どろ歩き名人はこの人!
さて、この池のまわりの自然はこんな感じです。昆虫や野鳥が似合う自然です。
さて、作業も無事終わりました。収穫を見よ!
この日の参加者は20名。環境システム工学や生命科学を学ぶ学生、大学職員もいます。参加した人たちに感想を聞いてみました。
「環境に興味があって参加した。体力が要る。沼に体をもってかれる」
「足が持ってかれて大変だった。思った以上にブラックバスがいてびっくり」
「外来種は生命力があると聞いたが本当だ。こういう活動は大切」
「3回はまりました。助けてもらった」
みなさん、本当にお疲れ様でした。若い人たちが気負わず、楽しんで、でもまじめに環境保全活動に取り組んでいる姿を見られて感動しました。これからも応援しています。がんばってくださいね、小さい命たちのために!