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白鳥川流域の生物多様性と好循環社会へのモデル取組 /白鳥川の景観を良くする会

事業の概要

近江八幡市内を流れる白鳥川には多種の生物が生息し共存しているが、ほ乳類だけはいません。そこで山羊・羊を放牧することで親子連れが川に親しむきっかけ作りになります。また川岸の除草と糞による桜並木への肥料も期待でき、よい循環を図っていきます。 放牧とはいえ自由に放すのではなく河川敷に牧柵をめぐらして囲い、水や給餌、柵の移動は当番を決めて交代で行い管理します。

白鳥川の景観を良くする会活動の写真

2015年8月20日の夕方、羊さんたちに会うため白鳥川のほとりを訪ねました。

白鳥川は滋賀県の東近江市から近江八幡市にかけて琵琶湖まで流れる川です。JR琵琶湖線の下をくぐるところあたりから、川岸に遊歩道が設けられていて桜並木が植えられるなど市民の散歩道として利用されています。

白鳥川の景観を良くする会の皆さんは「桜並木の整備による憩いの散策路づくり」という事業で2012年度から3年間夏原グラントの助成を受けて活動してきました。今年度は別の事業として採択されています。

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手入れのされない白鳥川沿いの道が荒れてしまっているのを何とかしようと、2006 年の結成から、毎月2回活動を通じて川沿いの遊歩道の草刈りやゴミ拾い、桜並木の整備を行っています。2014年には近江八幡市立総合医療センターから感謝状を、また2015年には公益財団法人 滋賀県市町村振興協会から表彰状を受けるなど、会の活動は地域から広く評価されています。

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今年度の活動は、草食動物の羊を放牧することで河川敷から遊歩道へとはびこるクズを防ぎ、そのうえ食べた後のフンを桜の肥やしとするというもの。ふだん草刈り機で刈った草は放置しておくか焼却処分をしているそうでその意味で循環させるわけですね。また会員の高齢化に伴い草刈り作業の負担が年々大きくなっているので草刈りを省くということもあり、ガソリンを使わないで除草する羊さんの事業は一挙何得をも目標にしています。
羊は滋賀県畜産技術振興センターから借りて7月15日から8月31日までの期間だけ、昼間は河川敷へ出勤し、夕方からは近くの倉庫に設けた小屋に戻って休むというスケジュールです。

白鳥川の景観を良くする会活動の写真
遊歩道に設けられた鉄製の柵を利用し、残りを組み立て式で移動可能な木製の柵が囲んでいます。

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柵の中を見ると、確かにクズは食べられて全く無い状態になっています。向う岸のこんもりした緑はほとんどクズです。比べるとよくわかると思います。セイタカアワダチソウやカヤはお好みではないようで、残っています。

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放牧されている羊さんたちは3頭です。8月9日に羊さんの毛刈りイベントが開催され、サマーカットされてスッキリしたフォルムが見えていますね。

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滋賀県畜産技術振興センターで呼び名は番号だった羊さんたちには、公募でホワイト、スワン、リバティーという愛称も付けられました。これは白鳥川にちなんでいるとのこと。

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通りかかった人、子どもたちへ「草をあげてください」という表示もあります。

白鳥川の景観を良くする会活動の写真
ちょうど、小さなお子さんとお父さんが草を手から食べさせているところでした。こういう場面ってほほえましいですよね。

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夕方の時間帯なのでお散歩をする人も多く、子ども達がなにやら待っているようです。



そろそろ羊さん達が家に帰る時間。
毎日通っている常連の子ども達は、帰る時に綱を引く係になっていて、首輪に綱をつないでいるところです。最初は会のお当番さんが連れて帰っていたのに、いつしか子どもがその役を果たすようになってきたそうです。

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羊さんたちも慣れたもの。車の通らない農道なので堂々と我が家めざして駆け足です。

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早い!羊さん達早い!
でも、この後すぐに立ち止まって道ばたのクズの葉を食べ始めました。これが本当の「道草」ですね。

白鳥川の景観を良くする会活動の写真
近くの倉庫が羊さんたちのねぐらです。賢いことに自分から囲いに入っていきました。

白鳥川の景観を良くする会活動の写真
帰ってきたら、配合飼料をもらいます。これが大好物らしく、こわいくらいの勢いで食べています。この飼料をあげるのも子ども達が手伝っていました。
当番表や飼育日誌もあり、きちんと管理されていることがわかりました。

白鳥川の景観を良くする会の事務局の佐藤成宣さんにお話を伺いました。
「河川敷を使うことは、法律で禁止されているので、柵などの設置に土木事務所から許可をもらうのがたいへんでした。

羊さんたちは、クズが好きでよく食べてくれました。ただ、組み立て式の柵を移動するのがたいへんなので、同じところで羊を放しているとクズがなくなってしまい、わざわざクズを刈って入れてやることもありました。

放牧といっても当番を決めて昼間は見守っています。夏休みということもあって、多い時には子ども達が一日に40~60人やってきました。一ヶ月半でおよそ1500人は来てもらったのではないかと思います。
中には東京から里帰りで近江八幡に来たという姉弟もいて、羊さんのことを『ひつじ新聞』にしてくれました。羊さんがやってきた理由などまで詳しく取材してくれていたので、驚いたしうれしかったです!

新聞や近江八幡市報などにも紹介され子ども達に知ってもらい、同時に大人にまでも会への理解が広まったということが一番大きいですね。
子どもの保護者さんが会に参加してくださると平均年齢も下がり、負担も減って本当にありがたいのですが、残念ながらまだありません」

人がいないとさびしい遊歩道ですが、羊さんと子ども達がいる場所には活気がありました。羊さんは草刈機には真似できない効果をもたらしたようです。

白鳥川の景観を良くする会の活動写真
(白鳥川の景観を良くする会提供)

ヒツジさんの活躍による、遊歩道のビフォア・アフター写真です。上の写真のようにクズに埋もれそうになっていた道が、下の写真のように柵沿いに長い部分がきれいに食べられています。

白鳥川の景観を良くする会の活動写真
(白鳥川の景観を良くする会提供)

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