水遊び体験を取り戻す ─子どもは川の子プロジェクト─ /特定非営利活動法人 子どもと川とまちのフォーラム
事業の概要
大人は川や湖を「危険で汚く近づき難い」空間にしてしまいました。再び川や湖を子どもたちの遊びの空間として復活させ、水遊びの楽しさと水の怖さを知ってもらうとともに、水辺を取り巻く自然から多くの知恵を学び取り、地域の水環境を守ることの大切さを体験的に理解してもらいます。また、そのことを未来に伝承できる人材に育てることを、この事業では目的としています。 主に小学生とその保護者、教員を京都・滋賀近郊の河川や琵琶湖に引率して、大学生の監視・指導のもと、水辺で安全に体験活動をしてもらいます。また保護者と教員には子どもと体験を共有し、危機管理の方法も習得してもらいます。
2016年6月18日、子どもと川とまちのフォーラムの事業を訪問しました。
水遊び体験を取り戻す ─子どもは川の子プロジェクト─は、京都と滋賀で水遊びをしながら、子どもたちが自然の中で、楽しいこと、危険なことを学んでいく事業です。
今年度2回目の活動は滋賀県大津市坂本にある「麦の家」を訪問し、周辺の里山での遊びを体験するというもの。午前中は沢遊びをしたそうで、お昼は帰ってきてヨシ葺きの母屋でお弁当を食べました。午後からのプログラムに参加させてもらいました。
今回訪問した麦の家はまるで昭和時代か、もっと前の時代の農村に迷い込んだかのような場所でした。山からの水を利用した粉つき小屋(現在は動いていません)、手で植えられた稲、鶏小屋、桑の木など、手入れが行き届いた畑のふかふかの土。大きな農機具はなく全て手作業のようです。
美しく刈り込まれた田んぼの畦には、豆が植えられています。
大きな岩が田んぼに取り残され、そのそばでお弁当を食べている子どもがいました。その向こうに琵琶湖が青く見えています。
田んぼの中には大きなオタマジャクシがウジャウジャ泳いでいます。トノサマガエルの姿も見かけました。
立派に囲んであるのはサカキだそうです。
囲炉裏を囲んでお弁当を食べ終わったら、里山探検に出発です。
山の水が勢いよく流れる水路を越えて、山へ。
小さな子どももぐんぐん登っていきます。
おっと、行く手を倒木がさえぎっていました。子どもたちは乗り越えたりくぐったり、楽しんでいます。
「倒木も子どもたちにとってはアトラクションです」と、麦の家の山崎さんは笑って見守ります。
「子ども時代に、自然にふれる体験をしておくことは大切です。危ないことを自分で察して避ける力を養わなければ」
しばらく平坦な道を歩いていると……。
険しい坂道が!
子どもたちは「ガケだ!」と、するする登っていきます。竹の葉が積もっているので滑りやすいので注意が必要。左手には池があり危険です。
子どもと川とまちのフォーラム理事長の土屋さんは「子どもたちはガケなど危ないところが大好きです。下見して、これなら大丈夫だろう、とこのコースを選びました」と汗をかきながらおっしゃっていました。
大人たちは後から、ゆっくりと追いかけます。
この先、少し行ったところに木登りに持ってこいの巨木があり、みんな夢中になって木登りを楽しみました。
帰り道、同じガケをくだってくるのに、おしりをつけて滑り台のように降りてくる子どももいました。
カブトムシの大好きなクヌギの樹液が出ている場所をチェック。
また、帰り道のそばにはイノシシのヌタ場を発見しました。このあたりでも獣害はひどいそうです。
帰ってきて、今日のふりかえりの時間を持ちます。
「今日、どうだった?」若い男性スタッフの「ゴリさん」こと河合さんが問いかけると、「めっちゃ楽しかった!」と子どもたちが口々に叫びました。
水遊び、サワガニとり、鬼ごっこ、山登り、木登り、お弁当、鶏の餌やりなど、楽しいことがいっぱいできた一日だったようです。
山崎さんが「トイレに行った人、自分のうちのトイレと違ってなかった?」と尋ねると、「全然違った!」とみんなすぐに答えていました。
子どもたちにとっては、いわゆる「ぽっとん便所」は初めてでしょう。強烈な印象が残りそうです。
保護者の皆さんからの意見も。
「私も木登りをさせてもらい楽しかったです。昔、地域の人が連れて行って遊んでくれたことを思い出し、自分の子どもにも体験させたいと思いました」
「ふだんは子どもと公園で遊んでいます。今日は危険があってハラハラしました。でも、こういう経験から身を守ることを覚えてほしいです」
「今日は子どもがイキイキしていました」
親子で遊んでみて、いろんなことを感じられたようでした。
参加対象は小学1年生以上で、小学3年生以下のお子さんは保護者同伴が条件となっています。最近の子どもは、小学校中学年になるとスポーツ少年団や塾、中学生以上では部活動のため、土日のプログラムの多い子どもと川とまちのフォーラムに参加できなくなるというのです。
副理事長の井手さんは「子どもたちが大きくなってスタッフとして帰ってきてくれたら、一番うれしいのですが、現状では就職や進学でいろいろ難しいですね」と残念そうでした。
そして、スタッフの小丸さんから次からのプログラムの紹介がありました。
2016年
7月7日前後 京都教育大・七夕まつり(平日の夕方の予定)
7月 伊賀へ・・・木津川上流で思いっきり川遊び!
~シャワークライミングと水辺交流~
9月 山科区で「山科川ガサガサ探検」
9月 びわ湖内湖で「たらい舟に乗ってみよう!」
10月 淀・桂川へ「カヤネズミのすみかを見にいこう!」
12月 淀・桂川の「やってみよう!カヤで小屋づくり」
12月 京都教育大・門松づくりとクリスマス会
2017年
1月中 近畿子どもの水辺交流会in兵庫 発表練習
2月4日(土)近畿子どもの水辺交流会in兵庫へ参加
3月中 活動のふりかえり「子どもと大人の寄り合い」
どの日も楽しそうですね。1月以降は子どもたちが交流会で発表をするので、体験したことを言葉で表現する貴重な体験もできるそうです。人気のプログラムはすぐに定員に達してしまうのでお早めに、ということでした。7月の伊賀へ出かける時は助成金を使って、バスをチャーターするそうです。
参加はオープンなので、ぜひお問合せを。
詳しくは子どもと川とまちのフォーラムのサイトをご覧下さい。
http://www.kodomokawamachiforum.com/
子どもが自然の中で遊ぶ体験ができないだけでなく、親世代自身にも遊んだ体験がない状態になってきています。このプログラムは、親子で参加して自然を体で知る体験を積み重ねる貴重な場になっているようです。