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京都縦貫自動車道西代防災基地の緑化活動 /乙訓の自然を守る会

事業の概要

長岡京市西代地域には京都縦貫自動車道開通時、防災基地が作られました。その法面に、カブトムシのための高木を植樹することで管理するネクスコ西日本と合意し確認書を取り交わしました。クヌギ・コナラなどを中心に、植栽し斜面の苗木を安定させるために基盤柵を、また獣害を防ぐために筒型防獣ネットを設置し、定期的に草刈や点検を行う予定です。

乙訓の自然を守る会 活動のようす画像

2017年6月24日、乙訓の自然を守る会のみなさんの活動フィールドである、長岡京市奥海印寺にあるネクスコ西代防災基地に向かいました。名神高速道路、京滋バイパスから京都府綾部市までを結ぶ、京都縦貫自動車道のすぐそばに、ヘリポート施設があります。そのヘリポートの3方向の法面を地元の植生に合わせたコナラ、クヌギなどを植樹し育てるのが、夏原グラント助成事業です。

京都縦貫自動車道と同時期にできた、まだ新しい西代公園の管理棟にメンバーが集まり、朝9時から10時まで学習会を行っていました。

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講師は京都大学大学院で森林生態学を研究している長谷川一総さんで、西山の樹木相の特徴についてのお話でした。後から内容を教えていただいたところ、このあたりの山の木は昔、炭を焼き、燃料とするために伐採していました。切られても芽を出して再生する(萌芽・ぼうが)コナラなどが多いそうです。10年から20年経過した頃が最も萌芽の勢いがあるのだとか。

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学習会終了後は、代表の宮崎さんから4月からの動きの説明と今日の作業確認。

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その後、作業へ出発。

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階段を登って作業に取りかかりました。

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公園から見ると、山から続く丘のように見えるのがネクスコ西日本の所有・管理する西代防災基地とヘリポートです。(地図の右側、灰色に塗ってある部分)

一般の人は侵入禁止区域になっていますが、会ではネクスコ西日本と交渉して、西代公園に近い西代防災基地のヘリポート法面をカブトムシの森にするため植樹し管理する許可をもらい、確認書を取り交わしています。

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かなりの傾斜となっている法面には、ネクスコ西日本が行った緑化パックから根付いたグミが繁っている部分と同じく緑化パックからのウツギが根付かなかった部分がありました。そこは草刈りをした後、地面がむきだしになっています。

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当初は草刈りをしてから植樹のためのコンパネ設置などの作業を行うはずでしたが、ネクスコものほうでしてくれていたので、草刈りは省略できました。

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これがヘリポートと防災基地です。

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すぐそばには京都縦貫自動車道の西代トンネルがあります。

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公園側の法面から下を見ると、さっき出てきた管理棟が見下ろせました。

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会員が山で拾ったドングリから育てた苗以外に、助成金で苗を購入予定しています。また植樹と保全管理のためのツルハシ、鎌、鉄ハンマー、コンパネ、防獣ネット、鉄杭、土なども助成金で購入しています。また今回の学習会の講師料にも役立てもらっています。

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結構な斜面なので土止めの植栽基盤柵を設置しています。作業は慎重に……。うまく芽が出なかった緑化パックの土を使い、次回ここに苗を植える予定だそう。

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乙訓の自然を守る会代表の宮崎さんは「この緑化パックは3年前にネクスコが土を入れたプラスチック製の袋にグミやウツギの苗を植えて、法面に置いただけのものです。その後半数が枯れました。隣の西代公園を見てもらうと、木陰がほとんどないでしょう。里山公園という名前なのですがカブトムシの森も小さすぎるのです」と説明してくれました。そのカブトムシの森からすぐ近いヘリポートの法面がコナラなどの森になればカブトムシだけでなく昆虫や鳥なども育ち生物多様性も保全され、子どもたちが豊かな自然を感じられるフィールドになる。この事業では、そういう森を目指しているのです。会では、ここがうまくいけば、同じ手法で他の地域にも森を広げていける、と意欲的です。

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こちらの班では、この4月から既に植えた苗と防獣ネットをチェックし、周囲の邪魔になっている草刈りなどの世話をしています。
37本の苗の状況として、一本は、防獣ネットが破れ、苗が途中から切断されていました。これは草刈り機のミスだそうです。ネットを逆さまにして破られた箇所を上部にしました。もう一本は苗が枯れていました。次回に新しい苗を植えるということです。

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この日、風は涼しいものの作業をすると汗が噴き出す陽気でした。予定の作業が終わったのは12時前。みんなで回収したゴミ2袋分を、車のメンバーが持ち帰られていました。

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乙訓の自然を守る会は、1983年に設立され現在会員数が約400名です。主な活動は自然観察会、自然保護活動、里山保全、調査研究、ニュース(会報)の発行です。会員はそれぞれメインとなる趣味を持っていて「これを一緒にやりませんか?」と誰かが呼び掛け、仲間を募ってグループ活動をするスタイルだそうです。今回の夏原グラントで助成を受けた事業も宮崎さんが中心となっている「西代防災基地の法面に植栽をすすめるグループ」の十数名が行っています。

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会報を見せてもらうと、ほかに「植物グループ」「里山倶楽部」「蝶・昆虫グループ」「ヒメボタル研究会」「カヤネズミ研究会」など、20近いグループがそれぞれ活動を行っていて、研究成果の特集記事や簡単な活動報告がぎっしり! 必要に応じて専門家からの助言を得ながら、生物多様性や次世代を担う子ども・若者への波及効果なども常に意識して活動をされていることがわかりました。

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西代里山公園を見ながら宮崎さんと高坂さんに、そんな会のお話を伺いました。

6月中に今日設置した8基の植栽基盤に苗を8本植える予定。将来的には子どもたちといっしょにドングリから苗木を育てる作業も行いたい、とのことです。

カブトムシの好物、樹液を出すまでの木に成長するには10年以上かかるそうです。それまで長い期間の見守りが必要です。乙訓の自然を守る会の皆さん、どうぞ息の長い活動を通して、カブトムシや生き物のたくさんいる森を子どもたちに贈ってください。

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