コバノミツバツツジの郷づくり /子ども活動サポーター会
事業の概要
この事業は、湖南市にあるサイドタウン内の里山にある自生のコバノミツツジを地域の子ども達といっしょに増やすとりくみです。子ども会が存在しない地域において、環境保全活動を通しながら自治会やPTAと連携したとりくみを進めることがこの事業のひとつのポイントです。移植が難しいコバノミツツジを育てるという専門性も必要となりますが、自生種を使った豊かな生態系づくりを多くの住民・多くの子ども達といっしょに展開し、外に発信していきます。

この前の土曜日、子ども活動サポーター会の「コバノミツバツツジの郷づくり」活動で、コバノミツバツツジの種まきが実施される湖南市の菩提寺小学校を訪問してきました。
菩提寺小学校の校門。後ろに見える山が「学習の森」です。
今回は菩提寺小学校の子どもたちをサポートしておられる、菩(ぼ)っ子を育てる会が実施される「学習の森」へのヒメヤシャブシの苗木の植樹と、子ども活動サポーター会の実施するコバノミツバツツジの種まきの両方が行われます。
菩っ子を育てる会の廣瀬さんが子どもたちへのあいさつの中で、ここ菩提寺の町周辺の山は150年前頃にはハゲ山が多かったこと、地元の「龍池藤兵衛(たついけとうべえ)」さんが「何とかしなければ!」と思い立ち、ヒメヤシャブシという木を種から育て植樹したこと、そのおかげで菩提寺の山に緑がよみがえったこと等を紹介されました。
そして、「ヒメヤシャブシが定着した、その後に生えてきたのがコバノミツバツツジだったんです」と子ども活動サポーター会の笹谷さん。
小学校の裏山は緑に覆われていますが、ところどころ土がむき出しになっています。
これは花崗岩が風化した真砂土。
雨が降ると土砂崩れの恐れもあるので土止めをしてあります。
菩っ子を育てる会も、子ども活動サポーター会も、自生している植物を増やしてここを緑化し、
子どもたちが安心して遊べる場所にしよう、という活動です。
「ヒメヤシャブシは、ハゲシバリとも言います。根っこがものすごく張るからですよ」と菩っ子を育てる会の方が教えてくださいました。
この方の足下の若木がヒメヤシャブシです。
山の斜面に植樹が済んだら、今度はコバノミツバツツジの種まき!
菩提寺の町全体には、コバノミツバツツジがたくさん自生しています。
これがコバノミツバツツジの種と莢(さや)。
莢のひとつに200粒くらいの種が入っています。
種の小さなこと!吹けば飛ぶような頼りなさ。
ポットにはまずミズゴケを敷き、赤玉土とピートモスを混合した土を入れ、水をたっぷりしみこませます。
その上に種をまき、ピートモスで覆います。
赤玉土はこのあたりの山と似たような成分だということで、ピートモスを混合すると酸性度が高まり、ツツジ類が発芽しやすくなるそうです。
混ぜる割合は、子ども活動サポーター会の宮路さんが独自に研究されて編み出されたもの。
このとき肥料はまぜないで植替えのときに肥料をまぜるそうです。
宮路さんが種から育てて、3年目が左の鉢のコバノミツバツツジです。
この大きさまで育ててから山に植えなければ雑草に覆われて、うまく育ってくれないそうです。
写真の花は10年くらい経ったもの。
水をしみこませた土の入ったポットに子どもたちが種をまきます。
小さな折り紙の箱に種を入れて子どもたちに渡します。
子どもたちは、そっとポットの土に種をまきました。
種の上に土をかぶせてから水やりをしながら大きくしていくのです。
今回、600くらいのポットに種がまかれました。希望した親子は自宅に持ち帰り水やりをすることに。
残りは水やりのボランティアのお母さんや菩っ子を育てる会の皆さんが管理してくださるそうです。
参加者は80名とたくさん!
月末には菩提寺北小学校の1年生が授業の一環としてこの種まき作業を行う予定。
「6年経って、花が咲くところを見てくれるといいな」と笹谷さん。気長な活動ですね。
パンフレットを配布してコバノミツバツツジに対する地元の皆さんの意識を高めています。
子ども活動サポーター会は、このように地元の団体との連携でコバノミツバツツジを種から育て、2~3年大きくしてから山へ植えていく計画を持っているそうです。今年は2000ポット目標に、5~10年くらい続けたいとおっしゃっています。
子ども活動サポーター会の笹谷さんと宮路さんがご自身の自治会にアンケートして調べたところ、コバノミツバツツジが自宅にある、という方は3割にのぼったそうです。
岡山市・倉敷市のあたりの天目山や兵庫県西宮市の廣田神社、三重県の伊奈冨神社など、やはりコバノミツバツツジが多い地域を視察に行って見ると地元でとても大切にされ廣田神社、伊奈冨神社では花の季節に「つつじまつり」というお祭りまで行われているのだとか。
「これから苗を育て、植樹すると、春には菩提寺の町全体がピンク色に染まりますよ!」と笹谷さん。子どもたちがまいた種が苗となり花を咲かせて裏山を彩るところを想像してうっとりしてしまいました。
スタッフH
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