びわ湖の森の間伐材買取事業 /一般社団法人 kikito
事業の概要
湖東地域の山に放置してある木や売れない木を買い取り、森林保有者に森林整備に関する意識を喚起するとともに、それを活用し製品化することをめざします。この事業では、買取についてのチラシを作成することで、PRをはかります。広く市民や企業のみなさんへも、森林の果たす役割について啓発普及します。
訪問 びわ湖の森の間伐材買取事業
2月9日、一般社団法人kikitoの「びわ湖の森の間伐材買取事業」が行われている現場を訪問してきました。
一般社団法人kikitoでは、森林とともに豊かに暮らしていける未来をめざし、多様な立場の人々が集まって、びわ湖の森を元気にする仕組みづくりに取り組んでいます。「森林保全につなげる地域材の安定供給体制づくり」「地域“財”を生かした商品開発」「森林整備に貢献する紙製品の開発」「びわ湖の森CO2」「森林を活かせる人材の育成」などが活動の柱です。
その中で夏原グラントは、間伐材を買い取ることによって「森林保全につなげる地域材の安定供給体制づくり」と「森林整備に貢献する紙製品の開発」に関わっています。
kikitoのHP(http://www.kikito.jp/)に掲載されている図を紹介します。
この中に「間伐材の買い取り」とありますが、ここが今回夏原グラントで取り組んでいる事業です。中央の「kikitoペーパー」が、間伐材や小径木などを買い取ることによって商品化されたものです。通常であれば放置・破棄せざるを得ない間伐材を買い取ることで、持続的な施業と森林保全が促される仕組みが構築されるということです。
あいにく買取日前から寒波が押し寄せ、雪がかなり積もりました。そのため、前日、前々日には「買取は中止か?」といった問い合わせの電話が何本もかかってきたそうです。買取場所・日野町の河原貯木場は雪で足元が悪く、作業にはやっかいな状態となっていました。しかし、この日に合わせて準備をされている方も多く、延期はできないと決行。
貯木場なので、あちらこちらに材木が積まれています。
この場所へ山主さんが軽トラで間伐材を持ち込んで来られるとのことです。
当日、寒波のころに比べれば寒さは緩んできているとはいうものの、やはり寒いです。風が吹くと、てきめんです。取り組みのお話などを聴いていると、しばらくして軽トラがやってきました。
まずは計量です。6,000円/t(トン) で買い取ることになっているので、しっかりと量ります。昨年度は、重機に秤を取り付け、軽トラ1回分を何回かに分けて吊らして計量していたそうです。これは作業として手間がとられるだけではなく、時間もかかり大変だったということです。そこで今年は、軽トラに木材を載せたまま使用できる計量器を借りたのだそうです。
計量器を上から見るとこんな感じです。タイヤの跡がしっかりとついています。この中央にタイヤを乗せて計測するのです。前輪の左右それぞれがこの計量器の上に乗り、下の窓に表示された数字を読み取ります。それが終わると軽トラを少し前に進め、後輪です。前輪の右と左、後輪の右と左の4か所で計測し、合計が重量となります。
計量が終わると、軽トラが貯木場に入っていきます。
積まれている間伐材を重機で持ち上げ、何回かに分けておろしていきます。
その様子を写真で順にお伝えします。
目の前で重機が間伐材を持ち上げおろしていく様子は、とても迫力があります。
運び込んでこらていた地元の山主さんに、お話をうかがいました。
「昨年度は彦根(多賀)まで持って行きました。遠いので大変だった。今年はこうやって近く(日野)でも買取をしてもらえて、とてもあいがたい。今日これで2回目だけど、午後からも来る予定です」「毎年やってもらえると、こちらもそれに合わせて予定ができる。去年出したから今年はないということではありません。毎年、必ず出てきます」ということです。
地元での周知と期待が高まっていることがよくわかりました。
あっという間に、積まれていきます。
この日一日で21tの間伐材が持ち込まれたそうです。
最初にこの場所に到着した時は、誰も来られていなかったのですが、最初の軽トラが入ってきてからは、ほとんど間をあけることなく、次から次へと持ち込まれてきます。聞くと、昼食の休憩もしっかりと取れないほど、どんどんこられるのだそうです。
問い合わせの電話は、買取日の前からもかかてきており、件数は回を追うごとに増え、その件数は50件はくだらないそうです。
この取り組みを聞き、うちの地域でもしてもらえないかといった声もあるそうです。
重機はスタッフが本業で使用しているものを使うことができ、オペレーターももちろんスタッフです。集められた間伐材はチップにし製紙メーカーに届けられ、製品化されていきます。多様な立場の人々が集まった組織kikitoならではのネットワークが活かされている展開です。
業を超えた「地域の“財”を生かして地域を元気に」という強い思いがあってこそのこの取り組みです。この事業が軌道にのるために、夏原グラントの助成金が活かされていると実感しました。
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●初年度の報告
次世代に継承できる森林を増やすため、森林所有者の笑顔の復活を目指して、湖東地域(日野町、東近江市、愛荘町、甲良町、多賀町、彦根市)の森林で伐採された間伐材の買い取り事業を行いました。
日野町と多賀町での各2回の買取日には25の団体や個人が参加してくださり、合計144tの間伐材が集まりました。買い取った間伐材は紙製品(コピー用紙、印刷用紙、名刺台紙等)に活用され、また街に戻ってきます。
「せっかく育てた木が役に立つなら!」と間伐材を運んできてくださる笑顔にたくさん出会えました。この笑顔が、次の世代に豊かな森林を引き継ぐ原動力になり、適正な森林管理への意欲につながります。
これまで、多賀町でのみ実施してきた買取事業が、この助成によって日野町で開催できました。多くの方に「日野であるのを待ってたんや!」というお声をいただきました。この笑顔の復活により間伐が促進され、びわ湖の森が元気になっていきます!
kikitoは滋賀県湖東地域を中心に、びわ湖の森に携わる企業や行政などが集まって、びわ湖の森を元気にする仕組みづくりをしています。