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鴨川源流の森林環境保全のための 市民参加型森づくりイベントの実施 /理想の森プロジェクト

事業の概要

年間を通して、鴨川の源流にあたる、北区雲ヶ畑地域の林の整備を行います。また、年に4回、森づくり活動や地域の魅力を体験するイベントを行います。山の整備や薪づくり・丸太小屋づくりへの参加を広く京都市民に呼びかけるなど、雲ヶ畑地域の魅力を発信していきます。

理想の森プロジェクト 活動のようす画像

2014年5月17日、土曜日、理想の森プロジェクトによる市民参加型森づくりイベントを訪問してきました。

理想の森プロジェクトの皆さんがフィールドとしているのは、京都市北区雲ヶ畑の山。広葉樹の植林や人工林の間伐、アカマツ林の整備などの山仕事を、一般市民からボランティアを広く募って定期的に行っています。

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正面の奥、左手がフィールドです。急斜面の道が続きます。雲ヶ畑のメインストリートから一歩入るとこんな景色が広がっています。左手の奥にはアカマツ、正面の斜面の明るい林はクヌギやコナラ、正面上部の暗い緑はヒノキとマツ、右手の山はヒノキの植林です。木の種類によって色が全然違うのに驚きました。
参加者が集合したら、スケジュール説明や注意のあとでヘルメットをかぶり作業開始。今回は指導者、スタッフも含めて10名でした。

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こちらが山主であり山仕事の指導者でもある、久保さんです。
もともと60年くらいの木が生えていたこれらの山は、一度皆伐されたまま放置されていたところを久保さんが買取り植林をされたのだそうです。
理想の森プロジェクトの皆さんは、山の一部・約7haを借りて10年くらい前から活動を続けてきました。
山主の久保さんは「アカマツ林の手入れを続けていたら、いつかマツタケが生えてくるかもしれん。せやけど何十年後になるかわからんから、、、その時にはマツタケご飯をお供えしてくれ、と言うてます。(笑)
夏のイベントのときには家の裏の川で子どもたちに魚釣りを教えてやって、流しそうめんして。子どもたちがたくさん来るので、それがまた楽しいんです。
山を捨てる気はないけど、山仕事はお金にならない。(理想の森プロジェクトでいっしょに)こうやって遊んでます」と笑っておられました。

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今日の午前中は、副代表の森さんが5年前にこの山で拾った栗を植え、自宅で育てた苗木を植樹します。まず、植樹する場所に穴を掘ります。
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苗木の根を植えて土をかぶせ踏み固めています。

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苗木のそばに、鉄柱をたて筒状に縫ったネットをかぶせていきます。こうしておかないと、すぐ鹿に丸坊主にされてしまうそうです。防護ネットも既製品を買うと高くつくので、手作りで安くあげているのだとか。ネットもメンバーがその場でサイズを合わせて切り、針金を使って縫うオーダーメイドです。

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そばを流れる谷川から汲んできた水をやって植樹完了です。

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久保さんから一回お手本を示してもらったら、あとは参加者で手分けし、5本の苗木をあちこちに植樹します。鹿よけのネットが張り巡らされていても鹿の気配は濃厚です。鹿に負けずに育って、栗の実をたくさんつけてくれますように!

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この急な傾斜がおわかりいただけるでしょうか。こんな山の斜面でも、いたるところに鹿のフンが落ちています。

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午前中、栗の植樹が完了した頃、久保さんの奥様がぜんざいを持ってきて、お餅を焼いてくださいました。焚き付けには、そのへんに落ちている枯れ草やら木の枝やらをさっと燃やして、あっという間。山の暮らしの一端を目の当たりにしました。

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持参した昼食とぜんざいを食べたあと、男性は植林された地域の手入れに向かいます。草刈り機と鎌を持参して山の上のほうまで登っていきました。

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植林地は見渡す限りのネット!苗木はある程度育つまでこうしてネットで保護しなければ鹿の餌食になってしまうのです。

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こちらは冬の間、ネットごと雪で倒れそうになった苗木をロープで引っ張り、立て直す「雪吊り(雪起こし)」作業です。久保さんが黙々と取り組んでおられました。

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こちらのクヌギ林は理想の森プロジェクトが10年前に植林したもので、手首くらいの太さまで育っています。このくらいで一回伐採して山から降ろし、炭焼きを行う計画です。里山のクヌギ林は切ってしまってリフレッシュする必要があるということです。

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草刈り機に燃料を補充して、作業を開始します。夏原グラントの助成金がこの燃料や苗木保護のネット・鉄柱、保険料などに使われています。

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密集してしまった植林の下草刈り。あたりの山に草刈り機のエンジン音が響き渡り、姿は見えなくてもどこで作業をしているか、だいたいわかるんですね。

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草刈り機が活躍している音を聞きながら、山の中腹あたりの植林地で女性班が草刈りをしています。

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下から上に向かって草を刈って進んでいきます。タケニグサという植物が生い茂り、切ると竹のように中空になった幹から色つきの汁が出ます。少し毒があるらしく鹿も食べないとのこと。幹は乾燥させると軽くて丈夫なよい杖になる、などのお話しをしながら楽しく作業されていました。

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植樹日と植林した子どもさんの名前を書いた柱が立ててありますが、かなりの割合で枯れてしまっていて残念です。

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作業が一段落ついたら、かまどで沸かしたコーヒーを飲みながらミーティングです。メンバーからの差し入れのお菓子も回ってきました。
初めて参加した方、リピーターの方。くつろいだ雰囲気で話がはずみます。汗を流した後、山からの風がさわやかに吹き渡りました。

理想の森プロジェクト代表の渕上さんは
「昔は林業や炭焼きが主な産業だった雲ヶ畑ですが、現在プロの林業家は数人しかいません。炭焼き窯がすぐ近くにあり、今なら炭焼き経験のある方から教えてもらえるので、私たちが植林したクヌギを炭にして、炭の利用をPRするイベントを開催したり、販売を行なったりしたいです。また、間伐した木材を薪にして京都で薪ストーブを使っている人に買ってもらいたいと考えています。
私たちの活動を通じて地元の方と他地域の方が、ともに雲ヶ畑の森林を守っていく方向に向かえば、と願っています」とおっしゃっていました。

お互いの信頼関係がなければ長期間続かなかった活動であることが、あらゆる場面で感じられました。山仕事は10年スパンで考えても短いのですね。これからもこの活動を長く続けて、更に広げていっていただきたいと思いました。


イベント・定例会の参加者募集情報はこちらでどうぞ↓
ブログ「理想の森プロジェクト!!」
http://risoh.exblog.jp/

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