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彼岸花の復活による堤防環境保全と地域づくり /徳山環境保全会

事業の概要

一級河川草野川の堤防1キロメートルと周辺畦道に彼岸花を植えると同時に、堤防の雑草を刈るなどの環境整備を進めます。秋の彼岸花の時期には訪れる人が年々増え、お迎えする地元徳山集落の結束も深まっています。

徳山環境保全会 活動のようす画像

2019年9月30日、滋賀県長浜市徳山町の徳山環境保全会の活動を訪問しました。ただし写真のうち彼岸花が満開のものは、後日、徳山環境保全会からお送りいただいたものです。

徳山町はJR北陸本線の虎姫駅から車で10分弱の山間にあります。現在23戸、66人の集落です。
 
徳山環境保全会 活動のようす画像 
 
ちょうど今の時期、町を流れる草野川の堤防沿いに約1キロメートルに渡り彼岸花が咲いているのです。
 
徳山環境保全会 活動のようす画像 
 
中学校の統廃合に伴い堤防が通学路として指定され舗装された結果、この道を利用する人も増えました。ところが誰も手入れしないので夏には草に覆われてしまったそうです。
 
徳山環境保全会 活動のようす画像  
そこで、徳山自治会の一部会である徳山環境保全会が花を植えたら?と花の種類を考え、圃場整備によりすっかり無くなってしまった彼岸花を復活しよういうことで彼岸花を選んだそうです。

補助金をもらって2年間、球根を買って植えてみると、年々花が増えていきました。その後は、地元の畔に自生している彼岸花の球根を集めて毎年植え続け、今年で13年目になったということです。
 
徳山環境保全会 活動のようす画像  
  
途中にはメンバーの手作りの味わい深い案山子が、訪れる人を出迎えてくれます。
  
徳山環境保全会 活動のようす画像  
副代表の西川又寛さんが一緒に歩いて案内をしてくださいました。「最初は5年だけやろう、と言って始めたのですが、次はあと3年、そしてずるずると12年続いています。ここ3年ほど、SNSで評判になって、彼岸花の咲く時期にたくさん県外からも見学客が来てくれるようになりました」とのこと。
  


例年なら9月末には全て花が咲ききってしまうそうですが、今年は開花が遅く、珍しく10月上旬まで咲いているのだとか。

訪問した日は7分ほどが咲いていました。でも、堤防の斜面が真っ赤に染まっている景色は初めて見るもので、感動してしまいます。

徳山環境保全会 活動のようす画像  
この日は午前中で、人影もまばらでしたが、熱心にカメラを向けている方もいました。
 
徳山環境保全会 活動のようす画像  
 
西川さんが声をかけ話を聞いてみると、この方は高島市の今津町桂浜にも行って彼岸花を撮影してきたということでした。今の時期は、どちらも見に行く人が多いのだそうです。
 
徳山環境保全会 活動のようす画像 
 
途中にこんな看板を立てて、彼岸花の手入れ作業のようすも見学に訪れた人に向けて発信しています。備え付けの募金箱には、いくらかお金が入っていました。このパネルで地元の熱意が伝わっているようです。
  
「真夏に草刈をしないと、花が埋もれてしまうんです。でも時期が8月の末なので暑くて暑くて。一人で10メートルがせいぜいです。とにかく、クズ類がたいへんですよ。

それから、球根を植えるための穴を掘っておき、5月末くらいに住民が集まって一斉に植えます。その日は徳山以外の知人たちが手伝いに来てくれたり、町の外に出ている徳山出身者も帰ってきて手伝ってくれたりするんです。

作業が終わったら、堤防にムシロを敷いて食事会をするんですが、お互いに近況を聞きあうなど、とてもいい交流の場になっているんですよ」と西川さん。
 
徳山環境保全会 活動のようす画像 
 
折り返して帰ってくると、おもてなしのために設営されているテントでお茶をいただきました。空き家を借りて、その庭に夏原グラントの助成金で、活動を説明するパネルを設置し、新しくパンフレットも作成して配布しているのです。
 
徳山環境保全会 活動のようす画像  
 
「こんにちはー!」とテントから手を振って通りかかる見学者をにこやかに呼び止めては、「お茶でも飲んで行ってください」と、テントの中に座ってもらいます。そしてお茶を出して「どこからですか?何を見てここを知ったのですか?」などと、何人もの人とコミュニケーションをとっています。それがとても自然なのです。見学者は皆さん笑顔で彼岸花をほめ、お茶を飲んでいきました。

徳山環境保全会のメンバーのお一人は「この前、若い女の子3人が勝手に彼岸花を摘んで花束にして写真を撮ってるから、注意しに行ったら、全然言葉が通じない。よくよく聞いているとホーチミンから来た子が2人とハノイの子。米原に働きに来ている研修生だったんです。身振り手振りで、花、摘んだらダメ!と伝えましたよ」と、苦笑いされていました。
 
徳山環境保全会 活動のようす画像 
 
西川さんは「もしも彼岸花が咲いてなかったら、こんな山奥の徳山に誰も来ることはないでしょう。10数年続けていると、ほとんどが定年を迎えた人と独居のお年寄りで、徳山の町に子どもはほんの少ししかいません。
でも、彼岸花を見にたくさんの方が来て、中でも小さな子ども連れの方が来てくれると、本当に元気が出るんですよ。大阪や岐阜のほうからも来てくれて、徳山の人がとても喜んでテントや簡易トイレを設置することになりました。」と、見学に訪れる人と徳山の町の人の気持ちについて説明されました。
 
徳山環境保全会 活動のようす画像   
年々高齢化が進む徳山環境保全会のメンバーにとって、一緒に活動してくれる他地域からのボランティアの存在は、元気の源。このレポートを読んで興味を持った方は、ぜひ5月下旬の球根植えに参加してみてください。
情報は、▼フェイスブック「彼岸花の里 徳山」で確認できます。
 
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