森林再生を学ぶ環境学習活動 /フィールドソサイエティー
事業の概要
法然院周辺の森の保全活動を行っています。シカが植生に影響を及ぼしているため、影響調査や防鹿柵の設置に取り組み、現在の植生の保全をするとともに、植樹なども行います。また、学習会や生物観察会などを開催し森林保全について学ぶ場をつくります。
2026年1月17日、京都市左京区、東山山麓の南北約2㎞に伸びる琵琶湖疏水に沿った哲学の道、そのすぐ東側にある法然院森のセンターを拠点として活動する市民グループ、フィールドソサイエティーの活動を取材しました。
主な活動場所は、法然院という歴史あるお寺の自然美豊かな裏山、善気山です。お寺の理解と協力とのもと、お寺の森での環境学習活動を続けられて40年程になります。
この日は「観察の森づくり」として森の手入れと植樹を体験しようと開催された会に、市民20名程が集まりました。高校生の参加もありました。みなさんはボランティアとして森の手入れ、調査、また学習会や観察会などの活動を通じ、長く学習されています。この日も作業前に観察の森の特徴紹介や森ができるには何を必要とするのかなど、今回が初めての参加者にもわかりやすく説明をされました。
いざ、身支度を整えて活動場所の山へ。
参加者たちは手慣れたようにヘルメットをつけ、腰にはのこぎりを携えて活動場所へ移動しました。
小道を進んでいくと、新芽がなくなり軸のみになっている幼木があり、これが鹿の食害だと説明がありました。
さらに奥へ進むと、防鹿柵で囲われた今回の植樹場所に到着します。ここは2018年9月4日に京都を襲った台風21号の記録的な暴風により甚大な被害を受けた地。森では大木が根こそぎ倒れる「根返り」で山肌は無残な姿になったそうです。山にはそのときの大木がそのまま残されていました。
倒木で森林の天井に穴が開くと、剥き出しの土壌が雨水などで流出しやすくなる一方、太陽の光が地表まで届き、多くの生物が育ったり、新しく芽吹いたりして、本来は自然の力で森林が再生していくので、自然災害とはいえ負の作用だけではないと教わりました。
作業に入る前に山岳ガイドの協力者から木の種類や植え方を学びました。隣には別の防鹿柵に囲われ、人の丈以上に成長した樹木が茂っており、以前植樹した樹木も大きく育っていました。
今回植える苗木はオオモミジ、イロハモミジ、ヤマザクラです。地域性苗木を扱う業者から取り寄せたものだそうで、その土地のものを育成しようという想いがうかがえました。
作業の途中、自然の造形美に出会いました。
ムササビの棲み処のある木を見せてもらいました。豊かな生態系がある証です。
苗木の配置が決まると、植え方にも注意があり、表面の黒い土の下にある、色の薄い土「心土」を探します。植樹にはこれが必要で、掘り進めても腐葉土ばかりの場所や表面すぐに心土にたどり着く場所もあり、土砂の流れやもともとの地形が想像できました。
最後に、ネットが土砂で弛まないように掃除や土留めをしました。
植樹とは、ただ苗木を土に植えるものではありません。その一本が数十年後にどのような姿になり、どんな生き物の生息地になるのか、将来を想像する事が大切だと感じました。
高校生たちに話をきくと、中には、最初はなんとなく参加した子もいたようですが今では進んで作業に励むようになったそうです。木を育てているけれども、その過程を通じて若い人たちの心も育てているのではないでしょうか。
植樹した樹木や、参加した高校生たちの今後を楽しみに山を後にしました。




