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古川クリーンキャンペーン /古川を美しくする会

事業の概要

京都府久世郡久御山町を流れる古川の1キロメートルの間のゴミの回収を毎月定期的に行っています。年に2回、上流から下流までの水質調査と生物の調査を行い、また啓発活動なども行います。

古川を美しくする会 活動の写真

訪問 古川クリーンキャンペーン/古川を美しくする会

2014年6月7日、古川を美しくする会の古川クリーンキャンペーンを訪問してきました。

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古川は京都府久世郡久御山町の街中を流れています。毎月第1土曜日の午前中、ボランティアの皆さんが古川橋から安田橋までの約1キロメートルの間の清掃を行っています。この活動は今年で9年目を迎えた、息の長いものです。

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朝9時。川に面したスーパーの駐車場に事務局長の長岡さんや早く来た方たちが道具を並べていきます。こういう特に役割は決めず、自発的にやってもらっているそうです。

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スーパーのご厚意で用具庫を敷地内に置かせてもらっているのです。そこから出して並べておきます。

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すると、あちこちから人が集まってきて挨拶を交わし、出席名簿に名前を書いてから作業の準備を始めます。

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長靴に履き替え、ゴミ拾いをする人はトングとゴミ袋を持ち、出発。

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自分の準備が完了したら、さっさと川に向かいます。

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「参加者が集合して、開始の挨拶とかはないのですか?」と尋ねると事務局長の長岡さんは「そういうのはやりません。皆さん好きな時にやってきて、自分のやりたいところに行って作業をされています。ここはわしの持分との思い入れもあるようで『今日はここからここまで』と自分で決めて作業をされるんですよ」と説明されました。

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その後も、車の人、自転車の人などが駐車場に来ては作業準備を整え川のほうに消えて行かれました。見ると、あちこちに分散して黙々と作業に取り組んでおられます。

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古川に合流する名木川も掃除します。

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ハシゴで川に降りて藻を除去している人も。

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草刈り機を使う人も。

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こちらは本流・古川でゴミを回収している人。

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下流方向の橋が見えています。
「先日は川をたどって宇治川まで歩く会も行いました。子どもたちと一緒に歴史を訪ねる会に、と思ったのですが、当日は残念ながら大人ばかりでしたね。
8月には町の環境保全課と協力して自然観察会を行う予定で、今日の作業にも課長さんが参加してくれていました。木津川管内河川レンジャーも協力いただき、久御山町の教育委員会に後援してもらい、久御山町の小学校の一室を借りて行います。この自然観察会では子どもたちに『古川が10年間でこんなに変わった』として古川の変化を知ってもらい、『古川ってどんな川?』で水質調査、『古川水ウォッチング』で水質調査を行います。
今までにも会では食べられる野草を探すイベントを開催したことがありますし、下流から上流までの生き物調査も年1回続けてきました」と長岡さん。

単に河川の清掃活動にとどまらず歴史や文化を学ぶ要素、環境保全活動の要素も取り入れて活動されているようです。イベントの内容からは、子どもたちへ古川のことを伝えたい!という思いが伝わってきました。また活動後はマメに会報を出して情報発信にも務めておられます。

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女性の参加もあります。

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土手の草刈りの後、草を集める人。

固まらず、あちこち散らばって作業する姿が見えます。夏原グラントからの助成を受け、そろいのユニフォームと幟を作成する予定。確かに同じ色のジャケットかビブス(メッシュになったベスト状のゼッケン)のようなものを着ていると、同じ古川クリーンキャンペーンで清掃活動をしている人だ、と遠くからでも認識できますね。特にゆるやかに開始しているので、お互い同じ活動をしている、というのがわかったほうが志気も高まりそうです。幟でご近所の皆さんにも周知する効果も見込まれます。

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その時、上流のもやし屋さんからは、もやしの差し入れが!
「古川クリーンキャンペーンを忘れて参加しなかったら、後でずっといやーな気持ちが続いてしまうのよ。この会の皆さんは、本当に気持ちのよいボランティアを続けていらっしゃって、自分も参加すると、とっても気持ちがいいの」と、もやし屋の副社長さんはおっしゃっていました。そしてもやしを何箱も積んでから、ご自身もトングとゴミ袋を持ち、ゴミ拾いボランティアとして川に向けて歩いて行かれました。

長岡さんの説明によると「この活動を始めた当初、古川に汚れた排水などを流さないよう、上流のいろんな企業に話に行ったんです。その中にもやし屋さんがあって、もやしの洗い滓を流さないようにお願いしたら、社長さんが『わかった』と三重の網でもやしを取り除く排水処理施設を設置してくれました。その時のご縁で、毎回参加者へのお土産にもやしを差し入れてくださっています。昔はパン工場からパン、清涼飲料水会社からは飲み物の差し入れがあったんですが、今やみんな撤退ですわ」とのことでした。

「毎月1回の清掃のほかに、年1回は水質検査を行っています。以前は上流の染色団地からの染料に川の水が染まっていたんです。その頃は染料を調べて工場を特定して『染料を流さないで』と話をしに行ったこともあります。染色工場の社長さんは、京都の鴨川で友禅流しを昔からしている。染料を流すのは、違反ではない!との話も有ったのですが、行政が公共下水道を早期完成してくれたので改善されました。今でも時々工場からの排水のせいでカルキの臭いがきつい日もあるんですよ」
今の古川は透明で川底の砂まで見えるきれいな流れに見えます。ここまでに回復するには長岡さんたちの強い思いがあり、しかも長い時間がかかったのですね。

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開始から1時間が経過した頃。ゴミを持った皆さんが帰ってきました。

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どんどん集積されるゴミ。刈った草、扇風機の台座やら、壊れた傘、プラケースなどポイ捨てられた粗大ゴミ、燃えないゴミなどがありました。今日はあまり大きなゴミは出ませんでしたが、河川改修後、タイヤなど不法投棄も多く、今までにバイクや自転車など100台くらい引き揚げたそうです。

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集まったゴミは川の周辺に置かれた草なども回収してから、町のゴミ回収トラックでゴミ処理場に持ち込みます。今日は1台で間に合いましたが、2台のときもあるとか。本来は京都府の管轄のようですが、古川を美しくする会の活動は、久御山町がバックアップしてくれているそうです。

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清掃用具はスーパーの裏の倉庫に収納して終了です。

特に解散の会や挨拶もなく、早めに帰る人もいれば、最後までゴミを集めてくる人もいる、流れ解散でした。「おつかれさん」「おっ、久しぶり!」「もう体の調子はええの?」など、準備したお茶を飲みながら少し雑談し、差し入れのもやしをぶら下げて帰って行かれます。なんとも自然体な清掃ボランティアという印象を受けました。

長岡さんは「始めた時は、10人もいないくらいの人数だったのですが、次第に増えて今日は30人弱くらい、多いと40人くらい集まってくれるようになりました。川沿いの5つの自治会からも会長さんが顔を出してくれています。対岸の団地ではお年寄りの方が川岸あたりを掃除してくださいますよ。ゆるやかだから10年近く続いてきたんだと思います」とおっしゃっています。
遅刻を気にせず、作業時間も自分で決めて参加できる清掃ボランティア。肩の力を抜いて続けられそうですね。

「古川は歴史がある川で『日本書紀』に出てくる日本最初の運河の遺構、栗隈の大溝(くりくまのおおうなで)ではないかとも言われています。また、古川であみ船を浮かべて船遊びをしていた時代もあったそうです。清流だからこそ、川遊びスポットになっていたのでしょう。
そんな古川を取り戻し、きれいにして子どもたちの時代に引き継ぎたい。そう思って活動してきました。去年の秋にはシジミの子を見つけました。夏には蛍が飛び交い、子どもたちが遊ぶ親水公園として町民に愛される古川にしていくのが夢です」と長岡さん。

無理なく続けられる古川クリーンキャンペーンが、環境保全や美化、そして文化面から、多面的な活動を通してこれからも古川を大切にすることを期待しています。

追記:訪問後、ビブスとのぼりができたとご報告をいただきました。
   ビブスとのぼりで、活動中の皆さんの姿が遠くからも目立ちますね!
古川を美しくする会の活動写真
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