琵琶湖を守る「いきものみっけファーム滋賀」 /山内エコクラブ
事業の概要
ほとんどの川が琵琶湖に流れ込む滋賀県。上流で安全な農業を営むことで琵琶湖の水質を保全し、私たちの健康を守りたいと考え、生き物が生息する安心・安全な農業を勧め、県内に広めていきます。定期的に観察会を開催し、田んぼや畑に生息する生き物の観察や、川や排水路での生き物調査を行います。エコファームごとの生き物マップを作成、ファームの交流会などを行います。
2015年9月13日、山内エコクラブの活動「琵琶湖を守る『いきものみっけファーム滋賀』」を訪問してきました。
山内エコクラブでは、琵琶湖の水質を保全し、私たちの健康を守るために、生き物が生息する安心・安全なファームづくりを進めています。その一つの方法として、環境学習と体験活動によって、大人も子どもも食と生命の循環への気づきを促したいと、年間通して毎月環境学習会(寺子屋)を開催されています。この寺子屋は、市内のみならず周辺市町や県外から参加される親子で、農作業体験やいきもの観察を実施。子どもたちは活動の内容をまとめ、その成果を交流会やイベントで発表しています。
この日の寺子屋の活動内容は、稲刈りとお米の学習・いきもの観察会です。自分たちで植えた稲がすくすくと育ち、収穫の時期となったのです。どんな楽しみと喜びが待っているのか、ワクワクします。
場所は、近くの農家の方からお借りした場所だそうです。去年までは1枚の田の一部分だったのですが、今年は協力してくださっている農家の方が1枚分を用意してくださったとのことです。「一部分」と「1枚」では、作業の達成感が違うのだろうなあと思います。
田の近くには目印の看板があります。
農家の方が、稲刈りのやり方を教えてくださいます。稲の根元の少し上を持って、その下を鎌で手前にスッスッと無理に力を入れずに引くとのことです。できるかな~という子どもたちの顔。
そして数株分の刈り取った稲を稲藁で束ねていきます。くるくると回しながら簡単そうにやって見せてくださいますが、「これはちょっと難しいよ。大人にやってもらった方がいいかもしれないね」とのことです。日頃農作業とは縁のない者にとっては、至難の技かもしれません。でも、チャレンジです。
「さあ、始めましょう」の掛け声とともに、子どもたちが一斉に田んぼに入っていきます。
おとうさんに手伝ってもらって、そして一人でと、稲刈りが始まりました。
年上の子どもたちは、コツをおぼえるとどんどん手際が良くなってきます。
いつの間にか、刈り取る人、それを受け取って渡す人、稲藁で束にしていく人と、連携体制が出来上がっています。
稲束をはさに掛けていきます。
稲刈りが終わった後の田んぼが、昨日からの雨でぬかるんでいました。足を取られて動きにくいのですが、それがまた楽しくて、子どもたちはきゃあきゃあ言いながら歩き回っていました。日常では、なかなか経験できないことです。
稲刈り終了。そして次のいきもの観察会の場所へ移動です。
思い思いに網を持ち、いきもの探しの始まりです。
「とれた~」「こんなのがいたよ~」「見て見て!」。子どもたちの歓声があちらこちらから上がります。
子どもたちが捕ってきたいきものを、滋賀大学の学生が解説していきます。実はその横で、集まってきたいきものを触って楽しむ子どもたちもいます。この寺子屋に続けて参加している子どもたちは、かなり慣れた手つきです。虫や魚などを怖がる子どもが多いと聞きますが、ここにはそのような情景はありません。「知っている」と「知らない」の差は大きく、それが体験に基づいていると、なおさらのこと強いのだろうなあと感じました。
お昼には、地元の方々が作ってくださったおにぎりと豚汁、お漬物、そしてデザートに梨をいただきました。寺子屋の活動に協力してくださっているそうです。
昼食後は、ちょっとだけ勉強の時間。
稲刈り後のお米の学習は、「葉が黄色くなるわけ」「稲刈り」「どうしてお米を干して乾燥させるのか」といった、さっき体験してきたことを学びに繋げています。
「お茶碗一杯のごはんの計算」もやってみました。お茶碗に軽くいっぱいのごはんは3200粒くらい。では、一穂は何粒くらい?→80粒くらい。一株の穂の本数は?→20本くらい。稲刈りした株が80粒✕20本=1600粒くらい。お茶碗軽く一杯は、2株くらい。と順序立てて考えていきます。すると、毎日食べているお茶碗に入っているお米の粒と、田んぼで実っている稲2株分が結びつきます。具体的で解かりやすいです。
自然と生活が遠ざかってきている現在、自然を身近なこととして感じる機会が少なくなってきています。小さいころから、具体的な取り組みやわかりやすい説明で「あ~、そうなのか」と納得できることは、とても大切なことです。そして、それは大人も同じ。知識だけではなく体験を通した納得感が、日常の生活にも活かされていくのだろうと感じました。