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「自然に学ぶ」環境教育プログラムの開発 /特定非営利活動法人 アスクネイチャー・ジャパン

事業の概要

自然は「知恵の宝庫」。その知恵をこれからの技術やライフスタイル、社会づくりに活かすためにアスクネーチャー・ジャパンは産官学民連携で設立されました。これまでにも子ども対象の教育プログラムを実施してきました。今回は「自然に学ぼう!いきもの探検隊」という環境教育プログラムを導入し、子どもが自然の知恵を発見し自然とともに生きる社会を考えることを目指して開発を行います。

アスクネイチャージャパン活動写真



「自然に学ぶ」環境教育プログラムの開発 /特定非営利活動法人 アスクネイチャー・ジャパン

2015年1月24日、近江八幡市のG-NETしがにて行われた、アスクネイチャー・ジャパンの自然体験プログラムの実施会場に伺いました。
タイトルは「自然に学ぼう!いきものタンケン隊『リスがかくし忘れたドングリのゆくえ』」。このプログラムは今年度、アスクネイチャー・ジャパンが専門家の協力を得て、新たに編集したものだそうです。対象は小学生(1~6年生)、保護者もごいっしょに、ということで、当日参加されたのは、7組の親子(うち小学生7人、幼稚園・未就園児3人)と大人3人でした。

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会場には、いろいろな種の実物が置かれています。
「種にはどんなかたちがある?」という問いかけに、子どもたちが答えます。
「自分の重さで落ちる。くるくるまわる」
「ヘリコプターみたい」
実物を手に「この種は?」と聞くと
「かえで!」とすぐにわかる子もいます。
まつぼっくりの実物をそれぞれ机に一個ずつもらって観察しました。

まつぼっくりの種はどこにあるのか、探しました。開いたところにくっついています。

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「綿のような種もあります」
これはガマ。穂の中にはふわふわした種が収まっていて、ちょっとした衝撃で周囲に種が飛び散ります。

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「これは水辺でゆらゆらする種です」とハスの種が登場しました。
「ハスの種は花の中(花托)にある蜂の巣のような穴の中にあります。
夏に花が咲いた後花びらが散り枯れると、熟して大きくなった種が秋に水の中に落ちて移動します」
種が移動するにはいろんな方法があるんですね。

次は動物に運んでもらう種です。

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どんぐりはリスなどの動物に運ばれます。
「リスは後で食べようと隠したり冬の蓄えにしたりする習性がありますが、忘れてしまうこともあります。
土の中のどんぐりは、春になると芽が出ることもあります」

続いて出されたのは、「ひっつきむし」でした。
「どんな動物に助けられて運ばれるかな?」
子どもたちは「犬や服」と答えます。体験して、よく知っているんですね。
「これはオナモミです」
次は2つの実験です。
カエデの種と一枚の紙が配られました。紙とクリップでカエデの種を作って飛ばす実験をします。

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カエデの種を観察し、紙に描かれた型どおりに切り抜き、クリップをおもり(種)にします。

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小さい子どもも夢中で切り抜いています。

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クリップをつけたら、実際に飛ばしてみます。
みんな高く飛ばそうと必死です。滞空時間が長いのはどんな種かな?
ひとしきり飛ばした後は、感想を言いました。
「どんなことがわかったかな?」
「本物のほうがよく飛ぶ」「V字にしたらよく飛んだ」「クリップ3コより、2コのほうがよく飛んだ。でも1コも付けないと飛ばない」
実際にやってみてわかったことって大切ですね。

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続いて「ひっつきむし」をセーターにくっつけた状態でみんなに配りました。
「このジャンパーにはくっつくかな?」
でも、くっつきません。
「なぜ、くっつかないのかな?」という問いかけには
「ふかふかだと、ツメの間にトゲトゲがくっつくから」
ジャケットは「つるつる」でくっつきません。
オナモミを真似して作られたものは何か?という質問に
子どもから「マジックテープ」という答えが出ました。

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そうです。面ファスナーはオナモミの形を真似ています。

実際に、子どもたちは自分のスニーカーやバッグについている面ファスナーを虫眼鏡で観察し、また、配られた面ファスナーを観察しました。
オナモミの尖っている先が曲がっているところが、面ファスナーにも真似られているのがよくわかります。

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最後は、まとめです。
今日の実験や観察で、植物が種を運んでもらうには動物や風、水など、周囲の生き物や環境を利用していることがわかりました。
「いろんな種がありましたね。
植物の種は、周りの動物や環境に助けられながら育っています。その逆に、植物は食べ物となり動物を支えています。
今日は、種を通していろんな生き物がつながり合い、共に生きていることを考えてもらいました。これを覚えて帰ってください」

45分間のプログラム中、みんな集中が途切れることはありませんでした。
発表したり、実験したり、とても楽しんで学ぶことができました。

終了後のアンケートでは、子どもたちからこんな意見が。
「いろいろなたねなどがあっておもしろかったです。まつぼっくりにたねがあったとは知らなくて、びっくり!しました」
「たねがさわれてよかった。工さくがたのしかった」
「ぜんぶ みんなでたすけあっているから(すごいと思う)」
「リス ちゃんとどんぐりなどを土の中に入れておいてそれが木になっている所がすごい」

保護者や教育関係者の皆さんからは、こんな意見が出ていました。
「大人も知らないことを、よく知っている子がいたのには驚いた」
「子どもたちも種の写真を撮ったり、本を真剣に見ていたり未来の生物学者が誕生するんじゃないかと楽しみになりました」
「実際に見る・さわる・ためすことが出来て子どもには興味を持ちやすく、とても良かった」
「低学年(1年、2年)や幼稚園の時にこの様な話をどんどん学校でも導入されたら、自然のつながりが理解でき、勉強になると思います」

このプログラムはひとつのモデルとして、小学校などに使ってもらえるよう紹介していくそうです。たくさんの子どもたちがこのプログラムで自然のしくみを学ぶことを願っています。

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