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遊休・休耕農地や放置森林等の再生・管理事業 /特定非営利活動法人 オーガニック土の塾

事業の概要

不耕作地と一般市民を結び「種から胃袋まで」をテーマに、オーガニック手作り農法、自産自消・地産地消を行い、不耕作地・放置森林等の再利用・活用を行います。 具体的には東笠取農場として、参加塾生を100~150名を目指し2ヘクタール以上の不耕作地、竹林、果樹園、茶畑の再利用を行います。

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2015年11月18日、京都府宇治市にあるオーガニック土の塾の拠点を訪問しました。

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山間の静かな集落の古民家を借り、倉庫を作業場に改修して昔ながらの食体験ができるような台所にされています。

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今回の作業は、もうすぐ(11月22日)開催される秋の収穫祭の準備。手作りこんにゃくに使う灰汁作り、昼食の一品になる里芋の下ごしらえ、小麦粉作りなどです。代表の田中克哉さんが指示し、みんなで手分けをして作業開始。

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その間、私は田んぼや畑を案内していただきました。のどかな里山。段々畑が見えます。しかし、農家の高齢化などにより耕作放棄地が広がってきているそう。

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東海自然歩道の道しるべがありました。滋賀県大津市にある岩間寺まで歩いて行ける道がこの集落を通っているのです。

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田んぼと畑は獣害防止柵で囲まれています。これがなければイノシシやシカによって全く収穫がなくなるほどだそうです。

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柵の中にはさまざまな野菜が見事に育っていました。ここでは一畝ごとに作る人が違います。無農薬有機肥料で育てる農法を学ぶ塾の学習畑です。月に2回の協同作業の日があり環境整備を行います。各自の畑は自己責任で収穫まで行います。

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お見事!蕪がまるまると太っていました。

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ブロッコリー、九条ネギ、大根、胡麻、蕎麦、ニンニク、ピーナッツ、唐辛子などなど。バラエティーに富んだ野菜が植えられています。畑の脇の傾斜地には、昔から植えられていたお茶の木まであります。案内してくださった津熊さんは「食べ物を自分で作るということが、新鮮でおもしろいです。もしも食料危機がやってきても畑があれば安心って感じです。たくさんの種類の野菜を育てられるよう、年間計画を立てています」とのことでした。

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休耕田を復活させた田んぼもあります。稲は手植え、手刈り、そしてハサ掛け乾燥をさせます。

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田んぼもやはり各自の担当区画が決まっているので、よく育っているところ、そうでもないところなど、まちまちで収穫にもかなり差が出てくるそうです。よく見ると、確かに切り株の間隔や長さが違っていました。

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これが柵の外から見た田畑です。

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畑に面した竹藪の裏まで柵が張り巡らされていました。山間の農地の生命線と言える柵も、夏原グラントの助成金で設置作業が行われました。

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(画像提供:オーガニック土の塾)

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柚子畑には、まだ柚子がなっていました。この柚子も加工され活動資金になります。

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椎茸のホダ木。

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畑の生姜を収穫されています。

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親生姜の回りには見事な子生姜が。いい香りがしました。

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細長い段々畑には、それぞれ違う種類の作物が植えられています。多品種なので収穫も楽しいでしょうね。

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田畑から帰ってくると、拠点の家の前から煙が上がっていました。これがこんにゃく用の灰汁の原料になるのです。焼けたらすぐに大鍋の中の水に漬けていきました。

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手前の角が生えているように見えるのが、こんにゃく芋です。本当にこの芋がこんにゃくになるのでしょうか?

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藁灰をゆっくりとザルに上げていきます。

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その藁灰の上に、少しずつ黒い水をかけて灰を漉していきます。それを何度も繰り返し、2時間以上かけて灰汁の色を薄くしていきました。

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最後は布で漉して、こんにゃく芋に混ぜるようにペットボトルに入れて保存。
後日、収穫祭で行われたこんにゃく作りで、無事に灰汁がその役目を果たしたそうです。手作りこんにゃくも味見させていただきました。とても軟らかくて確かに芋から作られたのだ、とわかる素朴な味わいでした。

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こちらは、さっき収穫してきたばかりの生姜を下ごしらえしています。皮をむいてスライスしているところ。

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砂糖をまぶして…。

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火に掛けます。生姜のよい香りがあたりに立ちこめました。これに柚子を合わせピンク色のジンジャーシロップにして、収穫祭の時の飲み物にするそうです。

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こちらは畑で収穫したピーナッツをゆでているところ。ゆでたてをいただいたら、甘くてあっさりしているので、味付けしなくても、いくらでも食べられそうでした。

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こちらでは電動ミルで小麦を粉にしているところ。

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もとの小麦です。

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全粒粉になります。収穫祭でのご馳走、パスタになる予定。自家製バジルで作ったジェノベージェソースで味付けするそうです。

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お昼には、サツマイモと椎茸のみそ汁をご馳走になりました。

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そこへ、ちょい足ししたのがオーガニック土の塾オリジナル商品「つちの塾 赤柚子こしょう」です。香りがジューシーな柚子、赤い色は唐辛子。でも舌がピリピリしびれるほど辛くありません。上品な刺激でした。みそ汁に入れると、ぐっとご馳走になりました。

この「赤柚子こしょう」は塾生の手作り。販売して活動資金にしているのです。唐辛子の種を掃除するところを機械でしてしまうと、このマイルドさがなくなってしまうので、本当に手間暇かけて作っているそう。そのために結構いいお値段ですが、市販されている緑の柚子こしょうとは、全くタイプが違います。香りが素晴らしくてクセになりそうでした。


午後からは、夏原グラントの助成金から一部購入資金を充てた、小型の運搬機を見せていただきました。自動車が入らない段々畑の上まで機材や肥料を運び上げるのは、たいへんな重労働なので、喜ばれていました。

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(画像提供:オーガニック土の塾)

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こちらは稲を刈り取った後、脱穀するための足踏み脱穀機です。こんなシンプルな機械が今も現役だとは!

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こちらも現役の手回し式とうみ。脱穀した籾を上から下を落とす時に風を当て、中身のない籾を吹き飛ばします。いわゆる「落ちこぼれ」という言葉のもとになった機械ですね。オーガニック土の塾の塾生の皆さんの収穫時、大型コンバインで収穫してしまうと、全部混ざってしまうので使えないため、きっちり区別するためにはシンプルな機械のほうが都合がよいのです。

足踏み脱穀機も手回し式とうみは、普通は農業資料館などに展示するような存在なのに、ここではとても役立っています。オーガニック土の塾で行われているのが、伝統的な里山の手作りの生活の継承ということの象徴のように感じました。少し昔には当たり前に行われていた、自家製のものをめいっぱい使い、自分たちの食べるものは自分たちで作る暮らしです。安心で安全な食べ物を作る学びの場が、耕作放棄地を復活させ里山の自然を守る役割も果たしていることがわかりました。

現在、狩猟免許所有者が狩猟登録を行い、イノシシやシカを捕獲して食べるジビエ教室なども開催。大津市とも接しているので、滋賀県民からも塾生を募っています。便利な生活しか知らない子どもたちには特に、こんな里山の暮らしを体験して欲しいですね。

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