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西山古道の自然環境保全に関する実践活動 /NPO法人京おとくに・街おこしネットワーク

事業の概要

NPO法人京おとくに・街おこしネットワークが整備した「西山古道」は自然の雑木林の中を歩く7kmのハイキング道です。この道沿いには120種類以上の樹木が確認されるほど豊かな森なので「西山古道樹木分布図」を作成し、名札を付けて樹木を学び、小泉川の源流に標識を立て訪ねるなどして自然環境保全の重要性を体感してもらいます。

京おとくに・街おこしネットワークメンバー活動画像

2015年11月5日、NPO法人京おとくに・街おこしネットワークのアジサイ植樹イベントに訪問しました。

京おとくに・街おこしネットワークメンバー
できたばかりの新駅・阪急西山天王山駅前に、朝集合。

京おとくに・街おこしネットワーク活動写真
NPO法人京おとくに・街おこしネットワークの会員の皆さんの車に分乗して、柳谷(やなぎだに)観音・楊谷寺(ようこくじ)へ。京都の清水寺を創建した延鎮僧都という方が創建した古いお寺だそうです。開創は806年(大同元年)です。

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境内は手前に本堂、山の上には奥の院があります。弘法大師が発見したという伝説の井戸があり、独鈷水と呼ばれ、眼病に効くとされています。

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お坊様がお寺の縁起やら見所やらをお話ししてくださいました。6月のアジサイと11月の紅葉はとても美しく、6月下旬にアジサイ祭りが開催され大勢の人でにぎわうそうです。

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見所のひとつ、庭園。山の斜面を利用した美しいお庭にうっとり。

京おとくに・街おこしネットワーク活動写真
登っていくと奥の院があります。

京おとくに・街おこしネットワーク活動写真
境内のベンチ。これも京おとくに・街おこしネットワークのメンバーの作品です。

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境内を一巡りしたら、アジサイ植樹。桜の木も同様に植樹されたもので、植えた人の名前やメッセージが書いてありました。

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このアジサイ苗は境内に生えているアジサイを7月に枝を切り採り、挿し木にして京おとくに・街おこしネットワークのメンバーが作業所農園で育て、増やしたものです。アジサイと桜を境内とその周辺に植樹しており、既にかなりのアジサイと桜が植えられていました。

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植える穴を掘って苗を埋め、水をたっぷりやります。

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全員無事に植樹を済ませて記念写真。「自分の名札のついたアジサイには感激しました。これから花が咲くかどうか、ずっと見に来たい」と言う方も。

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それから境内の茶寮で昼食でした。その時、試食させていただいたスモークチーズです。このスモークチーズは毎月17日に柳谷観音様の縁日でしか売らないそうです。売り上げは京おとくに・街おこしネットワークの活動資金になります。午前中には売り切れる人気ぶり。遠くからお詣りに来る参詣者のお土産にと、同ネットワークが柳谷の桜でスモークし開発したものです。

これもメンバーが作っておられるそうです。あまりにも本格的な味だったので、この日も買いたい人が多数いましたが販売は月に一度お寺の縁日のみで、今回は入会した人へのプレゼントということでした。さっそく入会してこのスモークチーズをもらった方もおられました。

スモークチーズ作成だけでなく、境内に置いてあるベンチを作る人、伐採した竹を使って竹細工を作る人、苗を育てる人など、様々なスキルを持ったメンバーが自分のできることに取り組んでいるそうです。しかし、高齢化が悩みのひとつで、今回のアジサイ植樹は新メンバー呼び込みの場づくりも兼ねていたのです。メンバーより少し後輩の年齢の方には好感触なイベントでした。

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昼食のあとは、京おとくに・街おこしネットワークの拠点に案内していただきました。本堂から少し山の方向に、昔僧坊だった古い建物があり、それを修理して使っているそうです。

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中には木工のできる部屋があり、間伐材を使ってヒノキの輪切りに焼き印を押したコースター、まな板などの加工をして販売し資金づくりに役立てています。

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敷地内には小さな畑もあり、柿がたわわに実っていて参加者のお土産に。また、アジサイなどの苗を育てるポットがたくさん並んでいました。これは昨年度夏原グラントのチャレンジプログラムの助成金で購入したものです。とても有意義に使っておられることがわかりました。

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拠点をあとにして、一行が向かったのは柵の中に続く道。これが西山古道です。今日は立石橋までのコースを歩きます。

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西山古道は周辺の三つの寺社を結ぶ古い信仰の道で、修行者に使われていました。しかし近年車で参拝する人が増え、廃れてしまいました。獣道のような状態だったのを、京おとくに・街おこしネットワークが7年前に年間76日間整備に入り、トレッキングできるように整備したのです。
京おとくに・街おこしネットワークは、観光検定を受講した人が「乙訓のよいところを学んだので乙訓のために何かやりたい」と集まったのが始まりでした。西山古道を復活させ、「京おとくにのかくれた名所旧蹟ガイドブック」(400円)を作成し、「西山連峰トレッキングマップ」(400円)「京おとくに探索マップ」などのパンフレットも何種類か作成しています。

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代表の中山秀亞さんのお話です。
「古道をたどって山に入ってみると里山の荒廃のひどさを目の当たりにしました。もともとは常緑樹・落葉樹がまじりあい多種類の樹木でとても気持ちのよい山です。春には新緑、秋には紅葉、冬になると落ち葉で足下がふわふわです。何度も山に入っては道の手入れをしています」
「一年に2~3回、阪急ハイキングの日には約1000人が通ることもあります。事前にメンバーが道の修理をして危険な箇所がないようにしています。どうしても台風や豪雨で倒木や土砂崩れなどで道が通れなくなるところもありますから」

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「木の名札は夏原グラントの助成金で作成したものです。今年11月に完成予定のMAPには、西山古道のどこにどんな樹木があるか、植生がわかるものにしました。これも助成金を使っています」

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「阪急ハイキングの日にはゴール地点に地元商店街に声を掛けてブース出店してもらいました。神社もお茶の接待をしてくださるようになりました。少しずつ地元の方にも西山古道の存在が浸透しているようです」

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「道の途中に掛かっている橋は全て私たちの手作りです。重機は一切入れないので木を切り倒し、運ぶのも人力です」

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「この橋は十人橋と名付けました。メンバー十人で作った橋という意味です。それはそれは大変でした」

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十人橋はしっかりしていて立派でした。しかし、川の側ということもありいつかは朽ち果てるでしょう。その時はまた作り直す必要があります。沢沿いの道は橋も多く、維持するというのは、本当に労力と根気が必要なのだと実感しました。

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西山古道を降りてくると、まだ新しい高速道路の下をくぐりました。京都縦貫自動車道(大山崎~篠線)です。寂照院から竹畑の間を抜け長岡天満宮で解散しました。

西山古道を歩いてみると、自然のすばらしさとともに手入れされなくなった里山の荒廃を感じます。古道を復活させ案内マップを作ることで、人々の意識から遠ざかっていた里山に再び人が入ります。人が通ることで道が維持される面もあり、よい循環が生まれているんですね。しかもハイキングの人が地元経済を少しでも潤すことで古道の価値をあげています。メンバーが持ち寄ったスキルとアイデアで、楽しみながら活動資金を生み出す努力をしているのも、NPO法人としてのパワーを感じました。

京おとくに・街おこしネットワークメンバーの皆さん、これからもお元気に西山古道での活動を長く続けてください。

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