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野鳥の気持ちを知るプラットフォームづくり(環境教育実践のための野鳥観察施設づくりと野鳥観察会実施) /山中比叡平里山倶楽部

事業の概要

住宅地に隣接する放置された森林は、2010年から住民がゴミの清掃など里山の環境整備に取り組んできました。その甲斐あって自然環境が取り戻されつつあり、野鳥は1年間に40種が観察され希少な種も確認されています。そこで、今回の助成では野鳥観察ステージを設置し、その周辺整備と水飲み場の設置を行います。また、子ども向けの野鳥観察マニュアルを作成し、野鳥観察会・講演会を実施します。また、これらの成果として野鳥観察記録(小冊子)を作成します。   

山中比叡平里山倶楽部 活動のようす画像

 2018年6月17日、山中比叡平里山倶楽部の活動「野鳥の気持ちを知るプラットフォームづくり(環境教育実践のための野鳥観察施設づくりと野鳥観察会実施)」で、活動拠点となっている山中比叡平「青い鳥の谷」を訪れました。
大津市比叡平地区は住宅地周辺の斜面には広葉樹の森が広がっていますが、近年ほとんど手入れされることがなく、ゴミの不法投棄やシカ・イノシシの食害などで荒廃していたそうです。そこで2010年に、放置されていた山林のゴミを清掃しようと地域住民有志による活動が始まりました。ゴミの清掃だけではなく里山つくりのための下草刈りや樹木の伐採、散歩道の整備などを行い、また季節の花見会や紅葉狩り、生き物観察会などを行い、大人と子どもの遊びと学びの森として活動を展開し、2012年には山中比叡平里山倶楽部の設立となりました。今回の活動は「野鳥の気持ちを知るプラットフォームづくり(環境教育実践のための野鳥観察施設づくりと野鳥観察会実施)」ということで、野鳥観察ステージ設置とその周辺整備です。そしてこれを活用した観察会やマニュアルの作製、記録冊子の作製などに取り組む計画です。

 山中比叡平は、標高約400m近くの比叡山中腹部に位置しています。大津側から滋賀県道30号を進み、比叡山ドライブウェイの入り口でドライブウェイの反対側に曲がると、住宅地が開けてきます。1960年代後半から開発が進み、現在は3000人ほどが暮らしているそうです。

 団地の南東側に位置する活動拠点のフィールドは、ここで「オオルリ」が見られたことから「青い鳥の谷」と名付けられていますが、とても夢のある名前だなあと、訪問する前から興味津々でした。
まずは、青い鳥の谷に接するバス通りから柵を通って谷に下りていきます。この柵は、シカ除けのネットを設置していることから、扉はきちんと閉められていますが、住民は誰でも自由に出入りができるのだそうです。
自分たちで整備したフィールドを住民みんなのものとしてオープンにいつでも使えるようにしていることは、望ましいことで簡単なようですが、「管理」や「責任」などを考えてしまい実現していない場合もあります。それをやり遂げておられることに、まず、驚きました。

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ここが、谷に下りていったところから見上げた「真ん中広場」という、ちょっと平らになっていて、数十人なら集まれそうな場所です。以前は樹木が伸び放題で鬱蒼として薄暗く、とても安心しては入れる場所ではなかったそうですが、雑草木や枯れ木の伐採、整地のおかげで光が入り、親子でここを訪れる人も多くなってきているそうです。

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ここに「ツリーハウスと言うには、屋根がないのでダメなんですけどね」とのことですが、子どもたちに大人気の展望デッキがあります。のぼってみると広々としていて、眺めも上々です。ここが青い鳥の谷の一番高い所で全体が見渡せます。

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 そして巣箱があります。
この青い鳥の谷に飛来する野鳥は、昨年1年間でも40種類以上が記録されたそうですが、訪問したこの時期で、だいたい10種類くらいいるだろうとのことです。ヤマガラが来ていて、多分、巣箱にも入っているだろうとのこと、聴いているだけでその様子が想像できてワクワクします。

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これは、木の幹にピーナッツを殻ごとワイヤーで括りつけているものです。鳥たちが、殻をつつき見事に中のピーナッツを取り出して食べた後の残骸なのですが、不思議なオブジェのようにも見えます。説明してもらわなければ、何なのかがわかりません。これがあちらこちらにありました。

この「真ん中広場」に、高さ1mほどの木組みの舞台が設置されていますが、そこに水飲み用の鉢を設置するのが、今日の作業のうちの1つです
重い水鉢を組の舞台に載せました。底面に丸太を利用しているので、少々不安定です。場所や角度を何回も確かめながら、安定する場所を探していきます。

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この鉢に水を引いてきて流し入れることはできないそうですが、それでも水場があれば、鳥が水を飲んだり水浴びをすることができ、魅力的な場所になるのは間違いなさそうです。今回は、設置をするところまでで水を入れる作業はおこなっていませんが、鳥たちが集まってくることが想像できます。
シカの害から守るため、真ん中広場を含む約2haがネットで囲われています。このネット設置は専門家の意見をもらいながら試行錯誤を重ね、3~4年かけてしっかりと設置してきたとのことです。設置後はネット内でシカの食害もなったそうです。

その後、青い鳥の谷をぐるっと一周、山中比叡平里山倶楽部のみなさんが整備された散策道を歩いて案内していただきました。
真ん中広場から南側の谷を下って行きます。

整備された散策道を歩いていると、鳥の声が聞こえます。

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立ち止まり耳を澄ませます。「あ、シジュウカラ!」「今のは、キビタキだ」「今日はメジロが鳴いてるな」と、鳥の名前を教えてくださいますが、詳しくない身としては、へえ~と答えるしかないのが恥ずかしい限りでした。それでも、鳥の名前そのものは聞いたことがある名前だったので、身近には感じられました。そして何より、緑豊かな谷で聞こえる鳥の声は心を豊かにしてくれました。

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谷に下りた川に接する広場には、丸太を切って円陣に並べられています。ちょっとした休憩などに使っているそうです。楽しいことに使えそうな場所です。
 
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シートを貼った池がありました。この池はビオトープとして、どのような生き物が集まってくるかを観察しているそうです。訪れたこの時期、ちょうど池の上の木には、モリアオガエルの卵がありました。そして、池にはたくさんのオタマジャクシが。「ここ数年、ここで卵を産んでるみたいですね」とのことです。環境が整えば、生き物たちは姿や生活の様子を垣間見させてくれるのだということが、よくわかります。

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一輪車にゴミが載っていました。ゴミ集めに取り組み始めた頃と比べると奇跡的にゴミは少なくなってはいるものの、少し掘ればまだ出るとのこと、どれだけの量だったのかと気が遠くなりそうです。その作業の大変さが伝わってきました。写真には撮りませんでしたが、古タイヤがたくさん広場の端にまとめてたくさん置いてありました。「とりあえず、まとめて置いています。これを上まであげるのは至難の技です。素人では無理です」とのこと、難しい問題です。

山中比叡平里山倶楽部のみなさんの取り組みは、今回の夏原グラントで行う「野鳥の気持ちを知るプラットフォームづくり(環境教育実践のための野鳥観察施設づくりと野鳥観察会実施)」だけではありません。必要な作業が黙々と続けられていました。

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 散策道の整備で、杭を打っています。斜面が急なので慎重に行います。
 案内していただいた散策道、しっかりと整地して段が作られているので、とても歩きやすかったのですが、こういう作業の積み重ねのおかげです。コツコツと続けておられる様子が伝わってきました。

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こちらでは、伐採した木を玉切りして運び出しています。細い木は太さ・長さを揃えて、薪として利用しているそうです。この山中比叡平では薪ストーブを使っている方も多く、薪の需要は結構あるとのこと、これもこの谷の大切な資源で、活用してこそ、その役割と重要性が住民みなさんの意識の中で高まっていくのだろうと思います。

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団地開発で宅地が整備されても、事業者が周辺の環境整備を行うことはあまりありません。環境整備には人手も費用がかかるため、そこまで回らないというのが現状でしょう。しかし住民にとっては、身の回りの重要な案件です。放置することによる環境悪化を免れることはありません。伸び放題となった鬱蒼とした森はゴミの投棄場所となり、また災害や犯罪等の危険性も孕んでいます。そこを何とかしようと立ち上がった住民のみなさん。そしてそれが山中比叡平里山倶楽部として活動を広げ、多くの人に楽しんでもらえる森へと変身していく道のりは、一朝一夕では成しえません。みなさんのたゆまない努力があってこそです。
整備が進み、今は、メンバーそれぞれが関心のあるテーマで、また他団体と連携しながら、様々な取り組みが進んでいます。取り組みが多様であればあるほど、関心を寄せる住民も、またいろいろということになります。多くの住民が関わり、この青い鳥の谷が住民だけではなく生き物たちにとっても大切なよりどころとなればいいなあと思い、谷を後にしました。


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