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「田んぼのエビ類(大型鰓脚類)」の生息と水田環境 /琵琶湖博物館はしかけ田んぼの生きもの調査グループ

事業の概要

この事業は調査研究事業です。水田のカブトエビ、ホウネンエビなどの生態を明らかにすることにより、生物多様性保全の活動に寄与されます。こういった生物の分布図を規定する基礎的なデータは非常に少なく、データの集積のために、調査者が簡単に扱えるGPSの活用を導入します。

琵琶湖博物館はしかけ  田んぼの生きもの調査グループ写真

訪問  琵琶湖博物館はしかけ  田んぼの生きもの調査グループ     

8月26日(日)午後、夏原グラント採択団体、“琵琶湖博物館はしかけ 田んぼの生きもの調査グループ”の活動におじゃましてきました。
この団体の活動は、滋賀県内の田んぼを調査し、生き物の実態を記録するものです。この日は、ホウネンエビ、カブトエビ類、カイエビ類を中心に、調査結果を整理し標本をつくる活動でした。
 琵琶湖博物館の実習室1は、学校の理科室のような雰囲気で顕微鏡がずらっと並び、なんだか特別な空気がして緊張しました。でもそれぞれ標本の入ったビンを持って集まってきたメンバーの会話を聞いて安心しました。「郵便局の近くでこれ見つけたんだ」「買い物帰りについ田んぼを覗いちゃうんだなあ」・・・など聞くと、「あーー昔私も子どもと一緒に田んぼでカブトエビ見つけたなあ」と一気に溶け込めました。

 この日は、年に数回の全体調査の標本(今回は瀬田と長浜の調査)と、各自持ってきた生き物の標本づくりや標本の整理です。これをもとに分布データをまとめ、後日発表されるのだそうです。

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【標本の整理中 生き物の種類をわけてラベルをはる】

琵琶湖博物館はしかけ  田んぼの生きもの調査グループ写真    
【各自集めてきた生き物のビンの内容を記録に残す】

 団体の今までの悩みは、調査箇所の特定がしにくく、メンバー間で共有がしにくかったことです。個人調査の場合や複数での一斉の調査の場合、きちんとした位置情報がなければ同地点での継続した正確な調査ができないのだそうです。それで、夏原グラントの助成金でGPSを購入されることで、滋賀県内のより正確な分布図を作成されるということです。
この日は、カイエビとトゲカイエビの違いや、雌雄の見分け方を全員で確認されていました。カイエビの雌雄の別の見分け方は、2対の鉤状の鰓脚があればオス、拳状であればメスです。モニターを使って、大きく映し出された標本にはくっきりと卵の形が見えました。もちろん卵があればメスです。

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【カイエビの卵を確認】
標本作りにはルールがあります。各自田んぼでとってきた生き物をシャーレにあけます。実体顕微鏡を使い、名前を確認します。
一本のビンに一つの種になるように個体を入れ、70%のアルコールを満たし標本にします。ラベルに採集日、場所、採集者を書き込み通し番号をつけます。特に複数のメンバーが関わっての調査ですので、正確なラベルづくりやナンバリングが必要です。
なかなか細かい作業で驚きましたが、メンバーのみなさんは本当に根気強く標本と向きあっておられました。この団体は夏原グラントのうちの数少ない“研究助成”での採択です。成果結果が楽しみです。

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【メンバーと琵琶湖博物館の学芸員のみなさん】             

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