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里山と遺跡のコラボ(木・愛LOVE)/清水山城でいくさサイズ /清水山城楽クラブ

事業の概要

高島市新旭町にある清水山城(しみずやまじょう)の里山の価値を伝えるために、里山体験ウオークを行います。参加者が活動をより身近に感じてもらえるように、ネーミングを「いくさサイズ」としました。仲間づくりの輪で生活に密着した里山づくりをめざします。

清水山城楽クラブ 活動写真


11月23日、清水山城楽クラブのイクササイズ冬の陣2013「紅葉の清水山城を歩く」のろし体験&焼いもイベントを訪問しました。

清水山城楽クラブ 活動写真
朝のJR新旭駅に、次々と参加者の皆さんが集まってきて受付を済ませ、清水山城の歴史やコース説明を受けます。


清水山城は、新旭駅から西に位置する中世の領主佐々木氏の居城でした。山城の中心地である主郭(しゅかく)は標高210メートル、ここを中心に曲輪が配置され山腹には一族・家臣の屋敷跡などの遺跡がよい保存状態で広がっています。平成16年には国の史跡に指定されました。

清水山城楽クラブは平成21年に設立され、歴史を学びつつ里山の整備を楽しみながら行う活動を続けておられます。今年は夏原グラントの採択事業として、年3回の戦国山城&里山体験ウォーク(いくさサイズ)や下草刈りなどの環境整備、全国山城サミット参加、地元イベントでの出展、ガイドブック作成、インターネットでの情報発信などを行っておられます。

説明や注意など聞いた後、軽くストレッチをして出発です。緑のハッピは清水山城楽クラブのメンバーの印。列のしんがりを務める福本さんです。先頭は同じくクラブの川島さん、そして新旭観光ガイドボランティアグループの方、3人が一緒に歩いてくださいます。

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新旭駅を出発し、町の中を歩いておよそ15分。新旭森林スポーツ公園に到着しました。ここから山道に入ります。
途中、犬馬場(いぬのばんば)と呼ばれる土地などがあることを説明してもらいながら歩いて行きました。犬追物(犬を放して馬に乗った武士が矢を射て追い詰める武術訓練)が行われた場所だそうです。

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折しも紅葉が美しい季節。道のすぐそばに見られていいですね。

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地蔵山と呼ばれるところには、山のあちこちに点在していた小さな阿弥陀石仏がたくさん集められていました。この山にお寺があった名残だそうです。

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あちこちにこのような案内板が立ててあり、道を示し場所の説明が書いてあります。

山道を登っていくと、土塁で囲まれた平らな場所に出ました。侍屋敷のあったあたりだそうです。井戸もありました。

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私たちが城跡というと石垣を連想しますが、この城には石垣はなく、どこも土塁ばかりです。

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土塁とともに、城を守る遺構として、堀切があります。山道を歩いていると、突然崖になっていて向こうまで行こうにもV字に掘ってあるので敵が容易に上れないしくみです。

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現在はロープをつたって登れるようにしてあります。参加者の皆さんは、昔の知恵に感心しながらロープでの登りを楽しんでいました。

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堀切からしばらく歩くと、清水山城の主郭(しゅかく)のすぐ近くに築かれた櫓(やぐら)や落ち葉を焚く煙が見えてきました。櫓では清水山城クラブの子どもたちが遊んでいました。

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鉄塔のある場所が主郭です。少し説明を受けてから登ります。

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よく見ると、斜面が波打っているのがわかりますか?これは畝状空堀群と呼ばれるもので、攻め上ってくる敵兵は、凹んでいる溝を自然と歩くことになり、どうしても一列になってしまいます。そこを狙って大石を落とすとか槍で防ぐなどするための堀なのです。

清水山城楽クラブでは、子どもと大人が攻め手と守り手に分かれてこの攻防を体験するゲームを行っているそうです。大石の代わりに発泡スチロールの大玉や新聞紙を丸めたものを落とすんだとか。戦国時代の戦を体験できて、まさにイクササイズ!とても楽しそうですね。

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主郭に登っての眺めは最高!琵琶湖が一望できます。

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対岸には伊吹山や長浜、彦根などが見えます。主郭の説明をしてくださった、清水山城楽クラブの横井川さんは「織田信長は対岸に拠点を置き、彦根の松原から巨大な船で高島郡に攻め入ってきました。ちょうどその時期にこの清水山城が廃絶しているため、たぶん信長に攻め滅ぼされたのだと思われます。信長の船隊が押し寄せるのも、主郭から見ていたことでしょう」とおっしゃいました。城主たちは信長の船をどんな思いで見たのか、想像すると、今日の眺めの素晴らしさが逆に恐ろしく思えてきました。平和な時代の私たちだから、こんなに景色が美しく感じられるのですね。

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右手には高島の大溝城のあたりが見えました。

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山の頂上には主郭の礎石が石を置いて示してありました。本物は土の下に埋めてあるそうです。ここにあった建物は檜皮葺の屋敷で、いわゆる天守閣とは違うイメージです。城の主人の間、客間、台所などがありました。

まさに主郭の建物があった場所で、主郭の説明を聞いているところです。

この日は琵琶湖を取り囲む山城が次々と狼煙(のろし)を上げていく「狼煙駅伝」が開催されていました。長浜城から始まり、琵琶湖の南を経て隣の城から狼煙が上がったのを確認したら、清水山城でも狼煙を上げます。

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「見えた!」「あれ狼煙よね?」
ハイキングの参加者とは別に狼煙を見に来た人たちから歓声があがりました。

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今度は清水山城が狼煙を上げる番です。ヒノキの生枝と葉をどんどん燃やすと煙突から白い煙が!これをまた隣のお城から見て、そのお城で狼煙を上げてリレーしていくのです。ハイキング参加者の皆さんも交代でヒノキの葉をくべていました。

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ひとしきり眺めを満喫した後は、主郭から降りてランチタイムです。
清水山城楽クラブ、高島ボランティアガイド、里山の会の皆さんが間伐材を燃やして準備してくださった戦国なべ(別途有料)を頂きます!

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熱々で具だくさんの味噌汁は、何よりのごちそうです。

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落ち葉を焚いて焼いた焼き芋、1個100円で販売!

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このあたりに棲む動物をキャラクターにしたオリジナル缶バッチ1個100円で販売!
缶バッチ作成の器具は、助成金で購入されたものです。焼き芋の売り上げと同じく環境を保全するための活動資金に充てられるのです。
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ランチタイムの残りを使って、すぐ近くの二の丸・三の丸へ行くことに。
傾斜のきついところは滑りやすいのでロープをつたって登ります。
左手上のほう、平らに見えるところが二の丸(2郭)です。

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丸太を抱えて掘切に向かう横井川さん。2郭にも大規模な堀切が作られていました。かなりの傾斜です。ここを登ってくる敵には「上から大きな丸太を転がして防ぐ」と実際にやって見せてもらいました。

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ものすごい勢いで下まで転げ落ちていく丸太。迫力満点の実演に参加者の皆さんも大喜び。その後ロープをつたって下まで降りる体験をされるなど、大いに清水山城を楽しんでいました。
ハイキングは午後、山をめぐって降り、新旭駅に歩いて帰り解散です。

清水山城楽クラブ代表の山口さんは「現在、清水山城一帯は高島市所有なので一定の手入れはされていますが、なにぶん面積が広大なので、それだけでは追いつきません。清水山城楽クラブはボランティアで道の整備や草刈りなどをして城跡の保全活動をしています。しかし、どうしても草刈機の油代などは必要になりますから活動費用をなんとか作ろうとがんばっています」とおっしゃっていました。また「春と秋にJRハイキングを実施していますが、春に来てくださった方がリピーターになって今回も来てくださっています。春はミツバツツジが咲いてきれいなんですよ」ともおっしゃっています。清水山城の魅力を知ってもらうことでファンを着実に増やしておられるんですね。

現在はこんなに気持ちのよい場所になっている清水山城ですが、柴刈りや炭焼きが途絶えた4、50年前から山自体が荒れてしまったそうです。どこの里山も同じ歴史をたどっているんですね。もともと地元の方から「城」とか「天守」などと呼ばれていた清水山城でしたが、高島市として合併する前の旧新旭町時代に発掘・整備され、どんな城だったか、ようやく全貌が明らかになりました。しかし、説明する人がいなければただの山ですし、里山を整備する人がいなかったら、再び荒れてしまいます。広大な山城全体の整備は大変なことですが、それを楽しみながら行っておられる清水山城楽クラブの皆さんの、生き生きした姿が印象的でした。戦国時代を身近に感じるイベントや整備作業に、今後も楽しく工夫しながら継続していただきたいです。

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