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放置竹林整備事業 /特定非営利活動法人 八幡たけくらぶ

事業の概要

京都府八幡市にある男山には、国宝・石清水八幡宮などの文化財があります。ところが手入れされない放置竹林の勢いがすごくて樹木林への侵入が進んでいます。八幡たけくらぶは2003年から竹林の伐採とその竹の有効活用を検討するなどボランティア活動を続けてきました。毎月定期的に竹林整備活動や展望台の庭園整備活動、伐採した竹の粉砕、要望があれば竹細工教室を実施し青少年の健全育成にも取り組みます。

八幡たけくらぶ 活動のようす画像

2019年7月30日、京都府八幡市にある男山展望台を拠点にしているNPO法人八幡たけくらぶの定例活動を訪問しました。

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京阪八幡市駅から男山ケーブルに乗り換えて3分、国宝石清水八幡宮への参道に到着し、そこから石清水八幡宮とは反対方向に進んで緩やかな石段を上ると、展望台があります。

八幡たけくらぶ 活動のようす画像  
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展望台の茶店だった建物が、八幡たけくらぶの拠点です。掲示板に夏原グラントの助成を受けているという表示もしてくださっていました。

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まずは、八幡たけくらぶの甲村孝昭さんに展望台へ案内してもらいました。桂川・宇治川・木津川の三川合流地点を見下ろし、京都市内まで見渡せるすばらしい眺望です。
「ここも最初は竹に邪魔されてこんなに見えなかったんですよ」と甲村さん。1000本以上もの、すごい量の竹を伐採した結果だそうです。

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集合時間の9時になると、広場で朝礼。フィールドリーダーが今日の作業を伝えます。八幡たけくらぶで管理している竹林はいくつもあり、そのフィールドごとにリーダーがいるそうです。
「30分経ったらお茶休憩ですが、自分のペースで水分補給をしてください」「竹を切り倒す時は危険なので、必ず笛をピッピッピッピッピッ!と鳴らしてください」など、安全に関する注意もしっかりと。
その後はストレッチをして、体をほぐします。

ヘルメットに長袖長ズボンの作業着、作業靴、腰には竹伐りノコギリ・剪定鋏と蚊取り線香というフル装備で、かなりベテランの風格がある方ばかりです。

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それからは、作業場に分かれてそれぞれの作業に取り掛かりました。この日は北斜面では竹伐採や草刈り、展望台の下の平なところでは、切り倒した竹を機械で粉砕する作業が行われていました。かなり大きな音がするので、すぐに場所がわかります。
竹のパウダーは山積みしておくと堆肥となり、畑などで使ってもらうそうですが、毎年、夏にはカブトムシがたくさん出てくるそうです。今年は竹の筒を容器にしてオス300円、メス200円でわけたのだとか。パウダーはカブトムシの幼虫の食べ物にもなり、竹筒は入れ物に。竹は何にでも使える素材だと改めて感じます。

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ここは展望台の下の散策路。道の周囲には以前、里山再生協議会として夏原グラントの助成を受け、ツツジの苗木を植えたところです。

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急斜面に植えたモミジの苗木のために鎌で下草刈りをしているところです。もちろん命綱を結んで、安全確保されています。

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北斜面の、既に手入れが終わったところです。竹は皆伐し、他の植物は活かしているそうです。ツバキの葉がつやつやでした。

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この斜面の竹林を伐採するため、作業道が張り巡らされています。この道自体も草刈りをしておかないと、すぐに夏草に埋もれてしまうそうです。

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こちらは、筍畑にしているので、竹がかなり間隔を開けて切ってあるゾーンです。切り倒した竹はある程度の長さにそろえて、まとめて置いてあります。粉砕機まで運ぶのが一苦労だそうで、積み置きしてある竹も多いそう。

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そうこうしているうちに「休憩」の合図が。用意されていた冷たいお茶と塩飴で、皆さん笑いながらの休憩です。お互いに気楽な関係が築けているのがわかりました。

お休み中のメンバーに八幡たけくらぶに入会したきっかけを尋ねてみると、
「近所の竹ヤブで竹を伐採していたので、『ちょっと竹をちょうだい』と、もらいに行きました。すると『自分で切ったぶんはあげる』と言われて、しかたなくノコギリを持ってきて自分で切ったのが出会いです。その時、おもしろそうだったので入会しました。」
「定年後に行くとこがなくて、妻にも『お父さん、どっか行くとこないの?』と言われていました。64、5才の頃に体験しに来てみると、80代、70代の先輩がお元気なんでびっくりして入会しました。あんなふうになりたいと思って。それまで週に一回サウナに行って汗を流していたんですが、ここに来たら午前中の3時間だけの作業で、しっかり汗をかけます。」
などと笑顔で答えてくださいました。

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拠点の近くまで帰ってくると、広場の周辺にある道具小屋を見せてもらいました。ここでも夏原グラントのロゴマークを表示してくださっていました。夏原グラント自体の認知度を高めるために、こうしてロゴマークと、「この事業は平和堂財団環境保全活動助成事業『夏原グラント』の助成を受けて実施しています」等、表示をお願いしています。

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これは竹細工用の機械や工具類を収める小屋です。竹の様々な利用方法を提案するため、伐採後の竹加工のための道具も様々そろえてありました。

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竹細工体験教室の作品の一例です。けん玉作りキットと制作指導合わせて100円。他にカスタネット200円、竹こま100円など。これは、ふらっと立ち寄った人も、ついやってみたくなりますよね。

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土日祝日は、この拠点を利用して、予約不要の体験教室を開催しているのです。メニューも豊富です。

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体験教室のキットも、すぐに取り出せるように整理してBOXにしまってありました。
今、作業されているのは、竹灯籠です。石清水八幡宮のお祭りには、竹灯籠を500個並べるそうです。メンバーが作成した竹細工を販売するコーナーも別にあり、ユニークな竹細工が並んでいました。

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このハンディサイズの冊子は、八幡たけくらぶオリジナル。「ボランティアでやる竹林整備の安全作業」と「ボランティアでやる刈払機の安全作業」です。長年、竹林整備を続けてきて、毎回作業の終礼で「今日のヒヤリハット」を報告しているのですが、それを記録しておき、「安全の約束14か条」という対策のノウハウなどをまとめてあるそうです。

「市民活動団体で、内部に安全対策に取り組むチームを作っているところは、ほとんどないのではないでしょうか。この冊子は他の団体から、よく『欲しい』と言われます」と、理事長の竹下修史さん。八幡たけくらぶの中には、安全委員会が組織され、そこにはフィールドリーダーも必ず参加して、毎回の作業を安全に行うような仕組み作りをされているのです。

今回の夏原グラントの助成を使って、透明のシールド付きヘルメットを新調し、草刈り機を使用する人は会独自の講習を受けてから、受講済の印を付けたヘルメットを着用して作業するそうです。

前理事長の森脇勉さんは「やりたい人は出てきて作業をする。しんどい人は無理をしないで休む。というのがうちのやり方です。だから高齢者の方は傾斜のきつい竹林のところは欠席でも、平地の時には出てきて作業をする、という感じです。」と教えてくださいました。

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無理をしないで楽しめる作業を安全に行う、という方針が、多くの会員を呼ぶ秘訣のようです。竹林整備の他に竹細工や竹細工出張教室など、さまざまな活動メニューがあり、自分のペースで選べることも魅力的です。そして拠点の建物は、会員の皆さんの手造りの居場所なのでしょうね。ここへ来れば、誰かいる。そんなサードスペース(家庭・職場以外の3つめの居場所)となっているようです。

八幡たけくらぶのみなさんがずっとお元気で、竹林整備に楽しく取り組んでいただきたいと思いました。

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