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滋賀県のオオサンショウウオに関する調査・研究 /滋賀のオオサンショウウオを守る会

事業の概要

古橋のオオサンショウウオを守る会の活動を滋賀県内全域に広げようと、2年前から活動を始めていました。県内のオオサンショウウオの生息状況と生息環境の調査・研究、研究会や観察会の開催、講演会や啓発活動、活動についての情報発信などを行う予定です。

滋賀のオオサンショウウオを守る会 活動の様子画像

2021年1月24日、滋賀のオオサンショウウオを守る会の調査活動を訪問しました。

滋賀のオオサンショウウオを守る会は、滋賀県内のオオサンショウウオの生息状況の把握や、オオサンショウウオと生息環境の保護・保全、またとりまく地域の文化・教育を振興することを目的として2016年12月に発足しました。

前身となったのは古橋のオオサンショウウオを守る会。長浜市木之本町古橋を流れる大谷川上流の砂防ダム工事でオオサンショウウオが発見されたことから、調査や保護を夏原グラント助成も受けながら行いました。その後、滋賀県全域を対象とした滋賀のオオサンショウウオを守る会も立ち上がったので平行して活動し、行政や大学(長浜バイオ大学)、専門家と連携しながら、より広範囲の調査や保全活動を続けておられます。

今回の訪問では、まず古橋のオオサンショウウオを守る会の会長であり、滋賀のオオサンショウウオを守る会の理事でもある大山考一さんが、これまでの経緯を説明してくださいました。

姉川の支流、大谷川が流れる古橋地区、高時小学校の学区で2002年にオオサンショウウオが見つかってから、一年に1度は小学生も川に入って生き物調査を行ってきました。滋賀のオオサンショウウオを守る会では、会長の齊藤修さん(長浜バイオ大学教授)が出前授業を行い、小学生にオオサンショウウオに関する正しい知識と態度を育むお手伝いをしています。
 
滋賀のオオサンショウウオを守る会 活動の様子画像 古橋バス停前から出発
オオサンショウウオの幼生発生の時期にあたる、この日の活動は、幼生の調査でした。オオサンショウウオは夜行性であるため、通常の調査は夜行うのだそうです。

古橋のオオサンショウウオを守る会の拠点となっている、古橋の集落にある集会所でお話を伺った後、実際にフィールドに出てオオサンショウウオの幼生を探します。

滋賀のオオサンショウウオを守る会 活動の様子画像 古橋の町を流れる大谷川 
  
古橋の町中を流れる大谷川は、このようなコンクリートブロックで護岸されています。途中に段差になった堰がいくつも設けられ、治水機能もあります。
 
ただ、落差があるため魚やオオサンショウウオなどの生き物はさかのぼることができません。そこで半分だけ残し、半分は魚道にする工事が下流から上流に向けて行われているそうです。
  
滋賀のオオサンショウウオを守る会 活動の様子画像 大谷川の堰  
 
これは、▼2016年に古橋のオオサンショウウオを守る会の活動訪問した時(クリックするとその時の活動レポートにアクセスできます)の、大谷川の堰のようすです。
 
こんなに段差があるんですね。これらの堰の半分を魚道にする工事が続いています。
 
その結果、アユなどの魚も未改修の堰の下までさかのぼっているのが確認できているとのことです。
 
滋賀のオオサンショウウオを守る会 活動の様子画像 ハシゴを下りるメンバー 
  
大谷川の調査では、川底に降りるのもハシゴをかけなければなりません。
 
滋賀のオオサンショウウオを守る会 活動の様子画像 調査に参加する皆さん 
 
長浜バイオ大学の学生の皆さんなど、滋賀のオオサンショウウオを守る会の皆さんが人海戦術で、巣立ちしているかもしれない幼生を探します。
 
滋賀のオオサンショウウオを守る会 活動の様子画像 川での調査のようす 
 
幼生は、まだ自力で泳ぐ力が弱いため、このような流れのゆるやかな場所で落ち葉の下等に潜って過ごすこともあるそうです。
 
落ち葉の下にいるかもしれない、と丁寧に落ち葉をすくっては、ひっくり返して幼生を探しているところです。川の水は冷たそうですね。しかし今回は残念ながら見つかりませんでした。今回の結果から、幼生はまだ巣の中にいる(離散していない)のだろうと考えられ、今後の定期的な調査で巣立ちを確認するということでした。
  
滋賀のオオサンショウウオを守る会 活動の様子画像  
   
会長の齊藤さんのお話では、日本に輸入された、中国産のオオサンショウウオが飼いきれなくなって放され、在来種と交雑が進んでいるそうです。
 
滋賀県で確認された例は、大津市や高島市で過去に確認例があるそうです。滋賀のオオサンショウウオを守る会でも、高島市安曇川流域でハイブリットの卵を見つけ、滋賀県内で今まさに交雑が進んでいるとのこと。
 
滋賀のオオサンショウウオを守る会では、調査で見つかった個体にはマイクロチップを入れて個体識別をしています。併せてDNA鑑定を行い、在来種だったら同じ場所に戻し、ハイブリットの場合には、保護施設で飼うことにしています。しかし、ハイブリットの保護施設はほとんど確保できていないため、ハイブリットが増えてくると収容する施設が不足してきていて、それも大きな課題なのだとか。
 
オオサンショウウオは日本では特別天然記念物や国内希少野生動植物に指定され、絶滅の恐れのある種に選定されています。なので、保護活動にはかなりの制限があり、行政や専門家との連携が欠かせないのです。
 
幸いにも、大谷川流域で見つかったオオサンショウウオは、今のところ在来種のみだそうです。
息の長い保全活動が期待されます。
  

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