子ども自然観察会 /桂坂野鳥遊園子ども自然観察会
事業の概要
京都市西京区にある桂坂野鳥遊園をフィールドとして、野鳥観察などさまざまな内容の会を毎月開催してきました。夏原グラントファーストステップ助成を2年間受けて行ってきた活動を今年度も継続して行います。次世代のリーダー育成もめざします。
2020年9月26日(土)、京都市西京区にある桂坂野鳥遊園前には、子どもと保護者の皆さんが朝10時に集合しました。今日は、毎月開催されている桂坂野鳥遊園子ども自然観察会なのです。ただ、今年度は6月は開催しましたが、4,5,7,8月はずっと新型コロナウイルスの影響で中止していたそうです。
集合場所は、桂坂野鳥遊園の前の道路をはさんだところ。「ずっとお休みだったし、今日が運動会という学校もあるから参加の子どもは少ないかも……。」と、桂坂野鳥遊園子ども自然観察会(以下、会)の代表・伊規須(いぎす)貞子さんが心配されていたのですが、中学生2人、幼稚園児兄妹、そしてそれぞれの保護者の皆さんが集まってこられました。
時間になったら会の副代表・福田孝男さんが今日のメニューなどを連絡しました。今回は桂坂野鳥遊園ではなく、大枝山古墳群があるので通称古墳公園へ歩いて行き、そこで秋の虫を捕まえて観察します。
「今の時期はスズメバチに注意してください。近づいてきても、絶対に手で払わない。カチカチ音をたてますが、とにかく木になったつもりで動かないこと」という注意でした。
ほかにも、ヤブや草むらにはマダニもいるので入らないように、とのことでした。
持参した虫よけスプレーを振って、出発。
川沿いの歩道は大きな並木に囲まれて、自然が豊かに感じられます。
途中で、福田さんが葉っぱを一枚取って、裏側をひっかいて見せてくれました。
「この木の葉っぱは、傷をつけてしばらくすると、傷がそのままクッキリしてきます。昔はこれで手紙代わりにしていたらしいよ。葉書きという言葉はこの木から来ているそうです。」
へえー!
このように、公園までの道も自然観察のネタがいっぱいです。
古墳公園の中の道を歩いていると、野鳥が大好きな中学生が「あそこに小鳥がいます!」と、公園の柵の中を指さしました。
「あ!いたいた!」
「え?見つからない。悔しい」
しばしの間、夢中になってバードウオッチングをしてから、図鑑で探しました。飛んできて、ヌルデの実を食べていたのは、コサメビタキという鳥でした。
二人の中学生は小さいころからこの自然観察会に参加してきて、現在では一人は写真を撮ること、もう一人は渡り鳥を観察することと、それぞれに違うアプローチから野鳥を追っているそうです。
伊規須さんは「この二人が大学生になって、主催者として協力してくれたらいいな、と思っているんですよ」と次世代への期待も話してくれました。
公園の道沿いにも、蜘蛛の巣やカメムシなどが見つかります。
お目当ての桂坂古墳公園の中央には、広々とした草原がありました。さっそく、子どもたちだけでなく大人もみんな、バッタやトンボを追って網を振り始めました。
今日の収穫はこんな感じです。プラスチックの虫かごに、種類別に入れておき、図鑑で名前を調べます。
何がいたか確認したら、また公園に返しました。
時間が来たので、来た道を帰りました。途中でアサギマダラらしき蝶が見つかって、みんなが網で追いましたが、逃げられてしまいました。
6歳の男の子は、落ちている鳥の羽の収集をしています。
既にノートが3冊目。
モニターは、電気を使う拡大鏡です。
これと同じ機器を、夏原グラントの助成金で購入したそうです。これは子どもたちの好奇心にじゅうぶん応えてくれそうですね。
お昼になったら解散です。
帰っていく家族を見送った後、会の拠点である、桂坂野鳥遊園を伊規須さんが案内してくださいました。
ここは、バブル時に桂坂団地の開発を手掛けた会社が、団地の価値を高めるために作った野鳥園でした。バブル崩壊後、会社が手を引き、持ち主が転々として資金不足で閉園の危機が何度もあったそうです。
伊規須さんと福田さんのお二人は、約8年前から、この会を毎月開催して、桂坂野鳥遊園のファンを増やしてきました。
観鳥楼から眺めるバードサンクチュアリ(一般の人は立ち入り禁止)の池。
入園は無料。人工の池には、オシドリなどの渡り鳥がやってくるそうです。カワセミも見られるとか。
窓のそばの席で、ぼーっと一日中池や山をながめる人も多いそうです。市民のオアシス的な場所なのですね。
毎月の桂坂野鳥遊園子ども自然観察会のお便りも、ファイルされていて見ることができます。
案内しながら伊規須さんは
「桂坂野鳥遊園は現在、京都市社会福祉協議会が管理していて、児童厚生施設として位置づけられています。私と福田さんは、何ができるか考えて自然観察指導員の講座を受け、毎月子ども対象の自然観察会をやって、桂坂野鳥遊園を応援しよう、と決めました。勝手に応援団なんです。
他にも園内の落ち葉を掃除して集め、たい肥を作るなど、さまざまな人がボランティアとして桂坂野鳥遊園を応援しています。
ただ、毎回、園内で野鳥観察だと飽きてしまわれるので、園の山手の小川でサワガニ捕りや、博物館などへの遠足など、バラエティに富んだプログラムにしています。子どもたちはもちろん、保護者の大人の皆さんも生き生きと参加してくださっています。
今後は、子どもたちが成長して、主催側になってくれることを期待しています。でも、とにかく福田さんと二人、歩ける限りは続けますよ!」と話してくださいました。
京都の西の端、亀岡と往来する道(唐戸越え)も通るこの地で、いつまでも野鳥と子どもたちの声がにぎやかに聞こえ続けてほしいと願っています。