放置竹林問題対策活動団体の連携と教化によるパワーアップ /一般社団法人京都竹カフェ
事業の概要
竹林面積全国6位である京都府内では、放置竹林の問題が顕著です。京都竹カフェは、セミナーや竹検定を行うことで市民に竹の正しい知識を広め、竹繊維を取り出す体験などで多くの人に参加してもらうことで啓蒙していきます。
2020年7月13日、一般社団法人京都竹カフェ(以下、京都竹カフェ)の皆さんが京(みやこ)エコロジーセンターと共同主催で、8月に実施するオンラインイベント「親子で紙すきにチャレンジ!」のために、収録を行っている現場を訪問しました。
場所は、京都市伏見区にある、京都市環境保全センター(京エコロジーセンター)の一室です。
もともとは、実際にここに親子に集まってもらい、竹紙すきを体験してもらうという夏休みのワークショップの予定でした。しかし、室内で多くの人が長時間集まって活動をするのは新型コロナウイルス感染の危険が大きいということで、オンラインでの実施となりました。
京都竹カフェの活動は、今年度の前半、新型コロナウイルスの影響によって夏の竹検定の中止など、集客する事業の予定を変更せざるをえなかったそうです。
これらが竹紙すきに必要な道具です。
巻き簾(す)、割りばし、目玉クリップ、竹パルプ、そして説明書。
これらを封筒に入れて、参加者に事前に送っておきます。
竹パルプをビニール袋に小分けにして封をするのも、京都竹カフェスタッフの方の手作業です。
キットの作成と、オンラインでの竹紙すき作業の説明は、京都竹カフェの担当で、募集、申込みの受付、キットの発送、動画撮影、編集などは、京エコロジーセンターの担当。
撮影に臨む京都竹カフェの皆さん、かなり緊張されています。司会は京エコロジーセンターの深谷さんです。深谷さんは慣れた雰囲気でスムーズに進行されています。
まずは自己紹介とイントロダクション部分から始まりました。
続いて、団体の説明です。
京都竹カフェの代表、篠崎 真さんが画像を使って説明を行いました。
「京都府内は昔から竹林に手を入れて竹を有効利用してきましたが、近年は使い道が減ってしまい、放置竹林が増加しています。手入れされていない竹林は荒廃し、生物の種の多様性を蝕むと共に、拡大していきます。そんな放置竹林問題に取り組む民間団体や大学の研究者、企業、行政職員などが集まり、情報交換と連携協働するゆるやかなネットワークが京都竹カフェです」。
続いて、竹紙すき作業の説明動画の収録です。同志社大学名誉教授であり、京都竹カフェの藤井 透さんが、キットの説明のあと、実際に作って見せてくれます。
まずは巻き簾(す)をハガキ大に切って、調整します。
竹パルプを水といっしょにミキサーで撹拌し、どろどろにします。
ミキサーがない場合は前日から水に浸しておけばOK。
どろどろの竹パルプを広めの容器に入れて、巻き簾(す)で漉いて、はがき大に整えます。
ハガキはまだ固まっていないので、アイロンかホットプレートで熱を加えて乾かします。
竹繊維の焼ける香りが漂い、まるで料理教室でおやつを焼いているみたいでした。
できあがりの竹のハガキです。
動画ではもっと丁寧に説明してもらえるので、それを見ながら親子で楽しく竹ハガキが作れますよ。
藤井さんは普段からイベントなどで体験教室を担当されているそうなので、実演しながらの説明がお上手でした。
最後に森林・林業の専門家である、森林総合研究所研究員の鳥居厚志さんが竹という植物そのものについて、専門的な説明をする動画を撮影でした。
事前に作成されていたプレゼンテーション資料をパソコンで見ながら、鳥居さんが説明をします。鳥居さんも子どもたちに竹のお話をすることが多いとのことで、子どもの心をつかむ工夫がされていました。
お話を聞いていると改めて竹という植物を詳しく知らなかったことに気づきました。
動画撮影が終了してから、篠崎さんにお話を伺いました。
「京都竹カフェは、各自の団体で活動をしているメンバーが多く、一年に何回か集まり主に企画をする団体です。メインの竹検定は2回、竹セミナー2回、竹まなびツアーは1~2年に1回といった感じです。
団体を立ち上げるきっかけとなったのは、平成20年、放置竹林問題で山城町商工会が研究会を開催したことでした。その成果を活用したい、と京都府庁が中心となってさまざまな分野を横断する組織として翌年発足しました。現在プラットフォーム的な存在として、開発支援、啓発活動などをしています」
「竹の本も出版しています。『かぐや姫を泣かさないで』販売中です。
京都府内の放置竹林がどうなっているかわかる『京都竹林マップ』の作成も行政と協力して行っています。
今年度は、ドローンでの竹林の観測を始めます。竹林の拡大や竹の開花と枯死のようすを観察するためです。
また、120年などの周期の竹の一斉開花が最近起きていると報告されていますので、注目してくださいね。」
竹に関する正しい情報発信など、これからも放置竹林問題解決に向けての活動を期待しています。