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希少コウモリの生態調査ー保護と生物多様性維持に向かって /島コウモリ調査グループ 

事業の概要

島コウモリ調査グループは、2014年にクリスチャン・ヴィンセント助教授が立ち上げた研究団体で、京都大学の生物圏情報学研究室に拠点を置き、日本や海外で絶滅の危機にあるコウモリの研究と保護に取り組んできました。夏原グラントの助成を受けて、京都・滋賀の希少コウモリのねぐら、餌場、行動範囲を、調査方法を3つ組み合わせて調べます。生態解明などの調査結果は希少コウモリの保護計画にもつなげる情報となります。

島コウモリ調査グループの活動のようす画像 子どもたちがコウモリの塗り絵と折り紙で遊んでいるところ

島コウモリ調査グループは、京都・滋賀でコウモリの生態調査を行っています。
2020年10月下旬には、滋賀県高島市朽木地域にコウモリの音声を記録する機械の取り付け現場を見せてもらいました。
   
島コウモリ調査グループの活動のようす画像 録音機の取り付け    
島コウモリ調査グループの活動のようす画像 録音機を取り出す 
  
マイクは上向きに取り付けて上の方の音を集め、夜間のみ録音するように設定します。コウモリの音声の波長の幅に合わせて、コウモリの音声だけを集められるようになっているそうです。それでも、違う動物の声が拾われ、そのために貴重なメモリが取られることもあるらしいです。
 
コウモリの研究は、調べられてない種類が多いのだそうです。また、滋賀県は、調査データが少ないとのこと。
  
島コウモリ調査グループの活動のようす画像 グループメンバー3名 
  
この日、機械の取り付けに来た、3名の京都大学の島コウモリ調査グループのメンバーです。今回の夏原グラントで助成を受けている事業「希少コウモリの生態調査ー保護と生物多様性維持に向かって」の中心になっているのは、中央のアズミナ・カマルさんです。
 
2021年2月25日、島コウモリ調査グループの皆さんが、京都市右京区西院にある、からしだねインターナショナルプレスクール(幼稚園)でコウモリのお話をするとのことで伺いました。
 
冬はコウモリが活発に動かないため、情報発信も行っています。そのひとつが今回伺った、からしだねインターナショナルプレスクール(幼稚園)でコウモリのお話なのです。
   
  
島コウモリ調査グループの活動のようす画像 幼稚園でごあいさつ   
「こんにちは。私はアズミナ・カマルです。シンガポールから来ました。
最初はアイスブレイクです。手をあげて!手を下げて!」
子どもたちは3歳から5歳の6人。最初は緊張していましたが、アズミナさんの指示に従って手を上げたり下げたり、立ったり座ったりで笑いも出て、雰囲気がほぐれてきました。ここからが本題です。
  
島コウモリ調査グループの活動のようす画像 モニターにはコウモリが飛んでいる写真 
  
コウモリはどんな動物なのか、子どもたちはどれくらい知っているのか、など美しい写真を見せて質問しては正しい情報を説明していきます。
アズミナさん「世界中にいるコウモリの仲間は何種類くらいいると思いますか?」
「1400種類以上います。」
「そのうち日本には37種類ですが、京都にいるのは?」
子どもたち「5」「10」「14?」
「10種類です。」
  
  
島コウモリ調査グループの活動のようす画像 飛ぶ格好をしてみせる 
 
コウモリは空を飛ぶ唯一の哺乳動物、ということは知っていましたが、鳥の翼とコウモリの翼はどう違うか、知りませんでした。鳥の翼は前足(腕)の変化ですが、コウモリの翼は指の間に膜が張ったものなのです。
  
コウモリの中には、見た目が違うグループがあります。食べるものによって、大きく見た目まで違っているそうです。
  
島コウモリ調査グループの活動のようす画像 コウモリの顔の比較写真 
  
2つのグループを比べると、こんなにも印象が違います。驚きました。
アズミナさんの説明によると、昆虫を食べるコウモリは夜間に飛び回って音波を出して獲物を探すので、眼が退化し耳が大きくなり、フルーツを食べるコウモリは目と香りで探しているために耳が小さくなり眼と鼻が大きくなったとのことでした。なるほど、だからこんなに見た目が違ってきたんですね。納得です。
  
島コウモリ調査グループの活動のようす画像 モニターの画像(音波を出すコウモリアニメ) 
  
また、この図(アニメーションになっていました)を見ると、昆虫を食べるコウモリたちは、超音波を出して跳ね返ってくる音波を感じて獲物の位置を確認できるのがわかります。そのコウモリの声も聞かせてもらいました。
  
島コウモリ調査グループの活動のようす画像 コウモリの大群が農薬を撒かれている写真 
  
そして、この画像はバナナなどの農園で農薬をまいているところ。人間に病気を媒介する蚊を食べるコウモリや、バナナの花粉を運ぶ重要な役目を果たすコウモリがいるのに、薬品をまかれたり、森林を伐採されたり して、追い払われコウモリの数が減少しているそうです。悲しいことにコウモリの死因で最も多いのは人間だとのこと。
  
アズミナさんは「フルーツ、バナナ好きだったら、将来みんなコウモリと友だちになってね!」と締めくくりました。
  
島コウモリ調査グループの活動のようす画像 コウモリ塗り絵 
  
続いては、アズミナさんオリジナルのコウモリ塗り絵タイム。
 
自分の好きな絵を選んで、好きな色に塗ってもらいます。
  
島コウモリ調査グループの活動のようす画像 コウモリをカラフルに塗る子どもたち 
  
そして、今度はコウモリ折り紙です。
  
島コウモリ調査グループの活動のようす画像 折り紙の説明中 
    
子どもたちには、好きな色の折り紙を選んでもらいました。それを4回折って、耳と羽を切ったら顔を描いて出来上がり!
   
島コウモリ調査グループの活動のようす画像 コウモリ折り紙完成品   
島コウモリ調査グループの活動のようす画像 コウモリ折り紙で遊ぶ子ども   
    
パタパタと手に持って、指を入れて遊べる!楽しそう。攻撃的なコウモリもいました。
金紙で作れば、文字通りの「黄金バット」ですね。
  
島コウモリ調査グループの活動のようす画像 お土産セット  
  
朝10時から12時前まで、みんな楽しく学べました。
最後はなんとお土産まで!
アズミナさんデザインのコウモリのカードとステッカー、そしてどうぶつのビスケット。このビスケットには「BAT」が入っているそうです。
 
島コウモリ調査グループの活動のようす画像 コウモリを説明した英語のパンフレット  
島コウモリ調査グループの活動のようす画像 コウモリ英語パンフレット内側 
    
このパンフレットには、今日のお話が簡潔にまとめられています。これをおうちに持って帰って大人に見てもらえば、どんなことを学んだかわかりますね。夏原グラントのロゴマークも入れてくださり、ありがたいです。
 
島コウモリ調査グループのWEBサイトもありますので、アクセスしてみてください。この助成を受けて活動しているメンバー以外に、たくさんの海外のメンバーもいて協力しあいながら研究しているそうです。
https://ja.batresearch.net/
 
吸血鬼などマイナスイメージのあるコウモリですが、子ども時代から正しい知識を持てば嫌われることもなくなるでしょう。
そのためにも、きちんとした調査をして情報発信をする島コウモリ調査グループの皆さんに、これからもがんばって活動をしていただきたいと思います。
 

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