西の湖おはなしあそび 西の湖を感じる展覧会 /西の湖あそび隊
事業の概要
琵琶湖最大の内湖である西の湖では、ヨシ原や水辺に集まる動植物の豊かな生活史が観察できるフィールドです。ここを舞台に、子どもと子育てする親が、創作遊びや体験活動の中で自然環境や郷土愛、学ぶ楽しさを共有し、西の湖の自然環境を守り価値を高めることを目的にしています。
2021年7月28日 水曜日の午前中に、西の湖あそび隊が夏原グラント助成を受けている「西の湖おはなしあそび 西の湖を感じる展覧会」の準備のワークショップのようすを見学しました。
このワークショップでは、小学生や幼稚園児が、モビールを作ります。今回は密を避けるため、少人数で回数を増やして開催することになりました。
今回の会場は、安土コミュニティセンターの工作室。
3階なので窓からは安土城跡の山が見えます。山の周辺は、今は埋め立てられていますが、元は琵琶湖でした。すぐ近くには、西の湖と呼ばれる、琵琶湖の周辺の内湖(ないこ)があります。
まず、西の湖の命の豊かさを伝える手作りの紙芝居。
これは、西の湖あそび隊の代表、はやしますみさんのオリジナル創作紙芝居です。
ヨシが生えていると、大きな魚が入り込めないから、小さな魚や魚の赤ちゃんが安心して暮らせるんですね。
これが、今日作るモビールです。自分の好きな生き物を描いて色を塗り、切り抜いて釣り糸で吊り下げます。
括り付ける棒は、西の湖あそび隊のスタッフの皆さんが琵琶湖湖岸で拾ってきた流木なのです。
3つの生き物のバランスを取って、2本の流木に吊り下げたらできあがりです。どんなモビールができあがるでしょうか。
まずは、何を描くかを選びます。
壁には、西の湖の四季の写真が貼られているので、どんな生き物がいるか、参考にすることができます。
他にも、生き物図鑑や、はやしさんの絵本もあるので、それらを見て子どもたちは熱心に探していました。
題材が決まったら、鉛筆で下書きします。
図鑑を見ながら、黙々と作成中。
下書きできたら、形を切り抜いて色を塗っていきます。
かわいらしいテントウムシ、裏も塗ります。
色が塗れたら、穴を開けてテグスを結びます。
好きな流木を選んでテグスを結び、グルーガンで定着させます。近江兄弟社高校のインターアクトクラブから、2人の高校生がスタッフとして参加していました。穴を開けテグスを結ぶところや、グルーガンコーナーで大活躍です。
バランスが難しい……。
次々完成するモビール。
できあがったら、必ず一人ずつはやしさんがみんなに紹介します。「これは◯◯ちゃんの作品です。細かいところまで見て作っています。このトンボの腹の赤と黄緑のところすごい!拍手!」
いろんな場面で、全員が何度も拍手され、みんなうれしそう。
できあがったモビールは、参加者全員分をひとつの大きなモビールにして展示をしてから、返却するそうです。
楽しみですね。
最後に、参加者の名前の入った、西の湖あそび隊の隊旗をバックに記念撮影です。一度参加したら、もう隊員!
モビールを作成する間、子どもたちは好きな生き物を選んで、じっくりと図鑑のイラストや写真を見て、自分で描きました。
できあがった生き物をモビールに吊るすとき、愛おしくてたまらない、というように扱っていました。
野生の生き物を、観察し自分でその姿を描き出すと、子どもたちの心と記憶にその生き物がすみつくのではないか、そんなふうに思えました。
モビールをお部屋に飾れば、ずーっと長い間その生き物と過ごすことになります。実際に西の湖に出かけて、直接その生き物に出会ったときには、子どもたちにとって友達のように感じられるのではないかと思いました。
素敵な時間を過ごせるワークショップでした。西の湖あそび隊の皆さん、これからも自然を愛する隊員を増やしていってください。
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先日のワークショップで子どもたちが作ったモビールが、10月15日(金)~17日(日)の三日間、近江八幡市の酒游館(しゅゆうかん)にて展示されました。
ワークショップは計6回、約50人の子どもたちが参加したそうです。
入り口をくぐると、モビールとなった子どもたちの作品が、命を吹き込まれたようにいきいきと動き出していました。私たちはまるで物語の中に入ったような気持ちで、絵にいざなわれ、湖底から湖中、水辺、そして空へと西の湖全体を体感することができました。
子どもたちの心の中で動き出した生き物たちは、あせることのない記憶として残っていくことでしょう。