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大学生の熱意で琵琶湖や鴨川を侵略的外来生物から守ろう /特定非営利活動法人 国際ボランティア学生協会

事業の概要

全国に約2500人の会員が所属している本協会では、2013年より大学生のマンパワーで特定外来生物オオバナミズキンバイの拡散防止のために、琵琶湖南部を中心とした除去活動を、多様な関係者と連携して企画実施してきました。しかし近年、新たに琵琶湖北部や京都府の鴨川でもオオバナミズキンバイは繁殖範囲を広げています。ところが、新たに発見された地域での知名度・危機感は低く、今回の夏原グラント助成を受けて、リーフレットの作成と配布、フォーラムでの発表など啓発活動を行います。また行政や地域団体と連携した定期的な除去作業を新たに発見されて地域で積極的に実施していきます。

IVUSAの活動のようす 力を合わせてブルーシートに除去したオオバナミズキンバイを乗せるところ

2021年11月14日(日)、午後から滋賀県近江八幡市の湖岸に行き、NPO法人国際ボランティア学生協会(以下IVUSA 読み方はイヴューサ)の「大学生の熱意で琵琶湖や鴨川を侵略的外来生物から守ろう」事業を見学しました。
 
特定外来生物については、環境省の▼こちらのホームページに詳しい情報があります。
 
IVUSAの活動のようす 道路わきの集合場所の園地、たくさんのレンタサイクル 
 
場所は、近江八幡市の牧水泳場のそばの湖岸緑地岡山園地、その琵琶湖岸です。学生の皆さんは、この日の朝7時半に近江八幡駅に集合し、駅のレンタサイクルを借りて活動場所にやってきたそうです。参加者は約25名、県内だけでなく近畿圏からも集まったとのことでした。9時半から作業開始でした。
 
私は午後からの作業に伺いました。道路沿いには皆さんが乗ってきたレンタサイクルがずらりと並べてあったので、すぐにわかりました。
 
参加者には事前に「近江八幡市牧町オオバナミズキンバイ除去活動 活動計画書」が配られ、それを見れば集合場所や活動場所までの案内地図もあるのでとてもわかりやすくなっています。
ボランティア活動に参加する前に説明会があったのかもしれません。
私にもデータで送ってもらって拝見したのですが、この日の活動の目的から、現場でのチームでの動き方、なぜこういう作業が必要なのか、などから万が一の場合の緊急連絡先などまで、情報が網羅されていました。
 
IVUSAの活動のようす バナキンくんののぼり 
 
活動場所の入り口には、学生がデザインしたという外来植物のキャラクター、バナキンくんの幟が。
 
IVUSAの活動のようす ネットに詰められたたくさんのオオバナミズキンバイ 
 
午前中の活動で除去したオオバナミズキンバイがネットに入れられて積み上げられています。
 
IVUSAの活動のようす 島田さん 
 
この日、現場で説明してくださったのはIVUSAのメンバー、関西大学の島田晴さんです。
 
島田さんは、2021年11月10日、第18回世界湖沼会議がオンラインで開催された時に「滋賀県でのユースの環境活動」としてIVUSAのオオバナミズキンバイ除去活動について発表もされたそうです。
  
島田さんの説明によると、除去作業にあたり考えて動線などを作っているそうです。
 
IVUSAの活動のようす 琵琶湖から除去したオオバナミズキンバイを引き上げる 
 
まず、湖に生えているオオバナミズキンバイの群落は内側から抜いて集めて除去します。外側から除去すると、切れ端が流れて散ってしまい、また流れついた場所で繁殖してしまうのを防ぐためだそうです。除去したオオバナミズキンバイは、岸に広げたブルーシートの上に集めます。
 
IVUSAの活動のようす ブルーシートにオオバナミズキンバイをのせて運ぶ 
 
四隅を4人で持ち、そのまま仮集積場に運んでいきます。
 
IVUSAの活動のようす ブルーシートの四隅を持って運ぶ学生 
 
IVUSAの活動のようす 仮集積場でネットにオオバナミズキンバイを詰める 
 
仮集積場では、運びだしやすくするためネットの中にオオバナミズキンバイを詰めていきます。
 
普段は水没しているこのあたりは、今年の琵琶湖の水位低下によって陸地化しています。オオバナミズキンバイの繁殖力がすさまじく、切れ端が土の上に落ちると根を張って復活してしまうため、必ずブルーシートの上に集めるそうです。
 
空になったブルーシートは、今度は違う道を通って湖岸に帰ってきます。行き帰りのブルーシートがすれ違わず、一方通行で運べるよう、ヨシを刈り払って道を作っています。
 
毎年の活動の成果と反省が積み重ねられ、オオバナミズキンバイ除去のノウハウの蓄積があるのですね。
 
IVUSAの活動のようす リーダーがみんなを激励中  
 
しばらく見ていると、現場リーダーの男性が集合をかけました。
「みんなが元気を出してくれて、こんなにきれいになった!短時間だけど完全除去ができた。最後の最後まで気を抜かずにかんばりましょう!」と全員に呼びかけたので、その場のみんなが拍手しました。思わず私も拍手。
 
みなさんが一生懸命作業をされたのが、ほんの少しの時間、そこにいるだけで伝わってきたからです。
 
IVUSAの活動のようす 泥水を網ですくってオオバナミズキンバイの切れ端を集める  
IVUSAの活動のようす 網ですくった切れ端を集めているところ 
 
琵琶湖はオオバナミズキンバイが除去され、きれいに見えますが、更に網で水を濾して、ちぎれた茎を探してすくいあげて集めます。
 
IVUSAの活動のようす 次の活動場所の群落が見える 
  
しかし、もう少し奥を見ると、まだ別の群落がありました。あれば別の日に除去する予定のものです。今回の活動は、11月14日(土)と20日(土)、21日(日)の3日間の活動です。(あとで聞くと、更に12月11日にも残っている箇所で除去作業を追加して行うそうです)
 
IVUSAの活動のようす オオバナミズキンバイとナガエノツルゲイトウ 
 
ヨシを切り払ったところを歩いていると、島田さんが、「ほら、ここにもオオバナミズキンバイとナガエノツルゲイトウが生えていますよ」と指をさす方向を見てみると、足元の緑がまさにオオバナミズキンバイで、そばにナガエツルノゲイトウが生えていたのです。どちらも繁殖力の強い、特定外来生物とされてます。
 

オオバナミズキンバイ(環境省提供 環境省ホームページより)

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オオバナミズキンバイ(環境省提供 ▼環境省ホームページより) 
 
ナガエツルノゲイトウ(環境省提供 環境省ホームページより) 
  
ナガエツルノゲイトウ(環境省提供 ▼環境省ホームページより)

  
現場には、他の大学の外来植物除去の学生ボランティアも来ていて、隣で活動をしていました。
 
また、滋賀県職員も来られていました。IVUSAでは、今回の除去のためのライフジャケット、レーキ、スコップ、根っこ取りなど、県から道具の貸し出しを受けているそうです。河川や湖での活動は、行政はもちろん、さまざまな組織との協力、連携が欠かせません。IVUSAの皆さんは、何年も続けている外来植物除去の活動を通じて、行政とも信頼関係を築いていることがわかります。
 
夏原グラントの助成金は、レンタサイクルや、JR交通費、また、ブルーシート、ゴム手袋などの消耗品、備品を保管する倉庫賃料の一部などに役立っているそうです。

IVUSAの活動のようす 活動前のオオバナミズキンバイの群落 IVUSAの活動のようす 除去活動後の同じ場所のすっきりした琵琶湖  
この2枚の画像は、IVUSA事務局の金子さんから送ってもらった、作業前と作業後の同じ場所の写真です。きれいに除去されたことがよくわかりますね。滋賀県ではIVUSAの皆さんも含めて湖岸地域の市民の皆さんやNPO法人、行政が力を合わせて除去と繁殖拡大の防止に一定の効果を上げているそうです。
 
 
2014年から2016年にかけて同じく「大学生の力で外来水生植物から琵琶湖を取り戻そう」という事業で夏原グラントの助成金を受けて活動したIVUSAの皆さん。今回の助成では琵琶湖だけでなく京都の河川での拡大防止も入れた事業計画となっています。まだ京都ではオオバナミズキンバイの知名度が低く、情報を広めるためのパンフレットも作成するとのこと。
 
滋賀県の活動と並行して、京都でも拡大がまだ小さいうちに、情報を広めて防止に力を入れてください。夏原グラントも応援しています。
 

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