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山の手入れと地元の紹介イベントを通じた地域環境の活性化 /東草野炭焼き文化保存会

事業の概要

滋賀県米原市の東草野地域は、伊吹山の北部にあり、姉川の源流域である山間部は獣害も増え山林の荒廃は進み、高齢化、過疎化で保全活動もままらない状況となりつつあります。そこで、山の整備、樹木の植栽などの環境保全活動、地元の紹介イベントを通じた情報発信と関係人口の増加、空き家の改修と移住希望者の受け入れという3つの事業を行います。これらの事業により、山で生産したものを商品化し、体験型イベントを行うことで他地域との交流を図り、村の人口増加を目指します。

東草野炭焼き文化保存会の活動のようす画像 炭焼き小屋

2022年6月28日、東草野炭焼き文化保存会が開催するイベント「炭焼きと薪割体験ツアー」に参加して、活動の様子を取材してきました。
 
東草野地域は米原市の北部、伊吹山の北側の集落です。高齢化・少子化が進み山野の整備がしっかりとできる状況にはないため、周囲の環境が年々悪化してきています。そして環境悪化だけではなく、地域の存続も危ぶまれています。「東草野炭焼き文化保存会」は、荒廃した山野の環境を整備するとともに、地元を紹介するイベントで情報発信して、関係人口の増加と移住者の受け入れを目指して活動しています。
 
東草野炭焼き文化保存会の活動のようす画像  甲賀集会所 
 
集合場所の甲賀集会所です。
県道から曲がる交差点でスタッフの方が立って誘導してくださいました。カーブを曲がっていくところで、うっかり見落として通り過ぎていってしまいそうになりました。絶妙な立ち位置でした。
 
東草野炭焼き文化保存会の活動の東草野炭焼き文化保存会活動のようす 今日の活動の説明をする代表の法雲さん 
  
集会所の中に入り、まずは今日の炭焼き体験の説明がありました。代表の法雲さんが、炭焼きについて黒板を使って説明してくださいました。知らないことも多く、お話に引き込まれていきました。
 
今回のイベント「炭焼と薪割体験ツアー」は、近在よりも遠方から参加が多いそうです。近くにある景色や生活は当たり前、でも遠くに暮らす方にとっては魅力的ということなのでしょう。それは今回のイベントで狙っているところでもあるそうです。
 
東草野炭焼き文化保存会 山へ入っていく参加者 
 
集会所の裏から山へ入っていきます。
 
東草野炭焼き文化保存会 山道を登っていく参加者 
  
目指すは炭焼き小屋。ワクワクしながら、子どもたちも登って行きます。
 
東草野炭焼き文化保存会 炭焼き小屋外観 
 
少し歩くと、炭焼き小屋が見えてきました。少しだけ開けた場所に炭焼き小屋がありました。昔はこのような炭焼き小屋があちらこちらにあったそうです。
 
東草野炭焼き文化保存会 活動のようす 炭焼き用の木材の山 
 
今日の炭焼きで窯に入れる材木はドングリやナラで、木で5本分ぐらいの量をすぐそばまで下ろしてきてあります。実は「木を下ろしてくる」のが大変で、特に手入れが行き届かず太く育った木は重くなるので重労働なのだそうです。
 
東草野炭焼き文化保存会 炭焼き窯の中をのぞく 
  
窯口から中を覗くとこんな感じです。大人が身をかがめてやっと入れるくらいの大きさです。
 
東草野炭焼き文化保存会 炭焼き窯の中のようす。丸太がきれいに立てて並べられている 
  
中に入らせてもらいました。暗くてよく見えませんでしたが、目が慣れてくるとレンガで積まれた壁や天井、事前に入れている材木がありました。広さは6畳程。
 
子どもたちはそれ程身を小さくしなくても入れましたが、入ったとたんに悲鳴をあげて慌てて外に飛び出してきました。「クモがいた~」と大騒ぎです。子どもたちはびっくり仰天ですが、それを見ている大人たちは「びっくりするよね~」と答えながらも笑い顔でした。
  
東草野炭焼き文化保存会 みんなで協力して木材を窯へ運ぶ 
 
みんなで協力して、窯に材木を入れていきます。1人が窯の中に入り、外からバケツリレーのようにして材木を渡し、奥からすき間がないように立てていきます。
 
東草野炭焼き文化保存会 窯の口をレンガや土でふさいでいるところ 
 
みるみるうちに材木が窯の中に入っていき、沢山積まれていた材木の山がなくなりました。
窯口をふさぐためレンガを積み、隙間がないように泥で埋めていきます。これも参加者みんなで交代しながら体験していきます。
  
東草野炭焼き文化保存会 ふさがった窯 
    
こんな感じで出来上がってきました。
  
東草野炭焼き文化保存会 焚口から火をくべる 
  
焚口に火を入れます。この火が中に向かっていき窯の下部を通って、後方の煙突から煙が出てくる仕組みです。焚口の近くに壁を設置することで火が全体へ回り、焼け残りがなくなるのだそうです。
 
これから3日間焚き続けるので、近くで寝ずの番をするのだそうです。今回の参加者の中にも、寝ずの番を希望された方がいるとのこと、なかなかできない体験とはいえ、すごいことです。
  
東草野炭焼き文化保存会 薪割機で薪を割る子ども     
炭窯に火が入ったころから、今度は薪割体験が始まりました。エンジン式の薪割機です。台の上に丸太を置いてレバーを引くと、刃が前に進んでいって割れるという仕組みです。子どもたちも興味津々。スタッフの方に補助してもらいながら、せっせと薪割です。切り進んでいく感触が楽しいのでしょうか、何回も何回もチャレンジしていました。
   
東草野炭焼き文化保存会 割った薪の山     
1時間弱で積みあがった薪はこのくらいで、人力でやると1日では到底できない量だそうです。人力なら2/3できるかどうかとのことです。
   
東草野炭焼き文化保存会 手入れされた山      
炭焼きも薪割も、昔の暮らしがいかに重労働だったかを教えてくれます。
「今日の炭焼きや薪割に使った木は、あのあたりから運んできたものです」と代表の法雲さんが山の斜面を指さしてくださいました。
   
「炭窯はそれほど長持ちするものではないので、昔はいろいろと場所を変えて毎年春に炭窯づくりを始めたそうです。年間1軒で10回くらい炭焼きをしていました」とのこと。炭も薪もなくてはならない大事なエネルギー源。山での労働が暮らしを支えていたということが身近に感じられました。
 
「少しでも多くの人に山での暮らしを知ってもらい、ここに来てその魅力を感じてほしいです。その縁で移住を希望される方がいればと期待しています」。
 
参加者の中には、東京から来られている方もいました。山の暮らしに関心があるので参加したのだそうです。現在進行形で移住に動いている方もいて「まだすっかりこちらにというわけにはいかないですが、少しずつ軸足を動かしていきたいです」と話してくださいました。山での作業に携わりながら近隣との方々との関係も築いておられる様子でした。
 
過疎化が進む地域では手入れそのものがおぼつかなくなっており、対策が急務です。こうして関心のある方が外から入ってくることに、大きな意義があると感じました。
  

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