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環境保全(竹林整備)の持続可能な視点をどうつくるか。 /特定非営利活動法人 フロンティア協会

事業の概要

京都市内の竹林を伐採・整備し、伐りだした竹を使って親子行燈づくりワークショップを開催します。環境保全、竹林整備の大切さを理解してもらい、竹の利用価値を伝えます。

2023年7月22日の土曜日、京都市右京区にあるコミュニティスペース古心庵にてフロンティア協会の「環境保全・親子で工芸、美術に触れてみよう!連続講座第1回“親子で行燈作り”」にお邪魔しました。


 


古心庵はフロンティア協会の活動拠点としているところで、JR太秦駅から徒歩10分・京福電鉄帷子ノ辻駅5分、すぐ近くには東映京都撮影所があります。普段は、小学生から近所のお年寄りや会員15人が自由に集まるスペースがあり、活動資金のために貸しスペース運営をされ、1階は塾や水彩教室など、2階ホールでは寄席や音楽ホールと様々な人が集まる場所となっています。入口の提灯と看板の文字を見ると人を引き寄せる温かみのある感じが伝わってきます。


この日は、忙しい子どもたちの時間に合わせて18時開始。今日の活動は行燈に絵付け・そうめん流し・花火と盛りだくさんです。スタッフが準備をしていると、ボランティアの嵯峨美術大学「学生サークル竹造」5人・京都先端科学大学4人が次々挨拶をしながら入って来ます。まずは、自分の名前を書いて名札を付けてから準備のお手伝い、最初に行燈を灯すためのLEDライトに電池を入れる作業をしていました。


材料である竹は、竹林の名所でもある京都市の北西地域で放置竹林から伐採したものです。フロンティア協会は環境保全としてこの地域で20年間竹林整備を行っています。社会が竹からプラスチックに急速に変容し、伐採された竹は、一部の竹細工などを除いてチップか竹炭などに利用されるだけで、その他は朽ちるのが現状となっています。以前の活動は、ブーメランや竹トンボなどを作っていましたが、みんなで参加できるものではなかったので、親子で「行燈」を作ることで「竹」の整備だけで終わらず、持続・伝承できる活動に取り組んでいます。


第1回講座7月16日は行燈の骨組み作り、形や大きさに違いがあります、自分が作った行燈が解るように名前が付けられていました。


水彩画山本充さんから「好きな色絵具を選び、筆や指で好きに絵付けをしてください」と説明を受け、子ども達は迷いなく色を選び、描くものは事前に考えていたようで、すぐに筆を動かし始めていました。


子どもを見守り、親子での作業も見られました。
参加した親子は8組、スタッフの知り合いであるベリーダンスの先生の呼びかけで集まった親子、不登校となり古心庵のスペースの塾に通っていた高校生、近隣でお店を構えている親子など様々、みなさん右京区在住だそうです。近隣の子どもに呼びかけると人数が多すぎてスペースには入りきれないそうです。


嵯峨美術大学生の皆さんは、慣れた手つきで描き、わいわい話しながらの共同制作です。
これまでフロンティア協会は京都府向日市と連携し「竹の径・かぐやの夕べ」を20年以上、「嵐山花灯籠」は残念ながら3年前に終了されたそうですが初回から17年参画、長い環境保全活動からの繋がりで嵯峨美術大学とは産官学民の連携の関係にあります。


絵付けが終わったこどもは部屋を出て、コミュニティスペースにある大きな黒板にお絵かきをはじめていました。来訪したこどもが自由に描いているようで、よく見ると代表の徳丸さんの似顔絵がありました。


2階貸しスペースへ案内いただきました、階段は竹細工。


2階貸しスペースの天井は低め、木目がきれいな落ち着いた場所でした。
ここは、音楽ホールとしてコンサート、東映京都撮影所の役者さんが練習にと利用されることもあるそうです。


2階窓から見た、そうめん流しと花火の会場です。
隣は踏切で線路沿いの場所、すでに準備は整っています。


そうめんの準備をしていたスタッフ五十嵐さんは近隣在住で、「ここは?」と古心庵へ。古心庵にきて人とのつながりが好きになり、ほぼ毎日来ているそうで、現在はメインスタッフとして活動しています。


出来上がった行燈の下にLEDライトを入れ好きな場所に置いていきます。


電気を消すと、神秘的な空間となり、各々が携帯で写真を撮っていました。


暑い一日、ここで水分補給時間を取り熱中症対策。
そうめんつゆを入れるコップに自分の名前を書いて休憩をかねています。


そうめん流し開始!
こどもたちはつゆに薬味を入れ、竹の中で流れてくるそうめんをお箸で上手につかみ、集中していたのか無言で、おなかいっぱい食べていました。


「このような機会がないと他大学と交流できる場がないんだよ」と徳丸さん。
片づけをしながら大学生は自然と集まり語り合っていました。
京都先端科学大学と繋がるきっかけは、心理学科の上松先生が地域の子どもたちの拠り所を作るために一緒に行燈を作ってもらえないかと声をかけられたのが始まりだったそうです。今年の夏休みは上松先生とゼミ生20名が大学近隣の小学生50人を募集し一緒に行燈づくりをします。


最後は、線香花火で締めくくりです。

制作した行燈は、10月7日(土)京都で最も古い神社と言われる木嶋神社(蚕の社)の宵祭りで、「親子で灯りを灯し」の展示をすることになっています。徳丸さんは「暗い神社を照らすには200~300個の行燈が必要になるので近隣にも声をかけ行燈を増やし、親子や若者が神社に集まる場として変革したい!」と語られました。

次回は、8月18日プラスチック製作所でマイクロプラスチックとは?顕微鏡でマイクロの世界を観察予定。子どもに見たことのないものを見せることで、考え方が変わっていく!
比較することで、竹の良さを改めて知ることができるといわれていました。


参加されていたお母さんは、「太秦の地域は広く子どもが多くて住みやすい、地元が好きでリターン者が多く地元の繋がりが深いところ、新しい方は入りにくいところでもあるので、古心庵は私たち(新しい方)を地域と繋げてくれる場所となっています」とお話ししてくれました。
代表の徳丸さんは、伐採した「竹」に和紙を貼り行燈を作り、竹のそうめん流しでお箸を使い食することで、 「いつの間にかおやこで6次産業の体験をし、環境保全に参加していた」と知ってもらいたいと話されていました。
「竹」に触れ知ることで、伐採した竹の付加価値を知り文化の伝承として、次の世代へと多くの方に拡がることを願っています。

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