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けいはんな記念公園における里山管理事業 /コナラ会

事業の概要

京都府相楽郡精華町に位置する、けいはんな記念公園は関西文化学術研究都市の建設を記念して整備された「日本の里の景色」をテーマとした公園です。希少種などが残された公園の環境を、公園の職員とコナラ会が協力して、生物多様性と利用者の安全に配慮した公園づくりを目指します。具体的には月に7回程度、下草刈りや間伐などの里山管理を行います。

コナラ会の活動のようす画像 記念撮影

2022年6月9日木曜日の午後、京都府相楽郡精華町にある、けいはんな記念公園にコナラ会の皆さんの活動を訪問しました。
けいはんな記念公園のMAPや詳しい情報は▼こちらのサイトから見られます。近鉄京都駅から新祝園駅へ。そこからからバスに乗り公園前バス停で降りると、1995年に平安建都1200年記念事業としてオープンした、24.1ヘクタールの面積を持つ京都府立公園に着きます。
 
公園は芝生や竹林などの無料区域と、回遊式日本庭園「水景園」とため池周囲に里山の自然を残す「芽ぶきの森」との有料区域に分かれています。
  
コナラ会の画像 芽ぶきの森の看板 
 
この「芽ぶきの森」の手入れを行う11名のボランティアが、コナラ会の皆さんです。
 
けいはんな記念公園全体の管理を委託されている植彌加藤造園㈱と協力して、第1、第3、第4火曜日と毎週木曜日に集まって作業を行っているそうです。
 
コナラ会 職場体験の中学生の受け入れ、あいさつする皆さん   
この日は、近くの中学校から職場体験の生徒が3名、作業に加わりました。コロナ禍で教育関係から校外学習などの申込が増えたそうで、けいはんな記念公園でも、2019年頃から校外学習受け入れに力を入れて行こうという方針になり、当時年間約180名くらいだった受け入れ数が、現在は約650名にも増えているとのことです。
 
作業は公園の散策路の整備です。下草が茂っているので、それを鎌で刈り取り、刈った草を集めて道を歩きやすいよう、きれいにします。
 
鎌での草刈りなど、生まれて初めてという3人は、軍手をはめて鎌を受取りました。
  
コナラ会の会員でもあり、公園職員の稲本さんから草刈りの注意点を聞いた後、中学生は1名ずつ別れ、コナラ会のメンバーに指導を受けながら作業に取り掛かりました。紺色のポロシャツが稲本さんです。

コナラ会 公園の丘陵へ登る階段を草刈り 

未舗装の階段道をのぼり、草を刈ります。

人生の大先輩であるコナラ会の皆さんは、中学生が一緒に作業をする場面に、心なしかウキウキされているように見えました。

コナラ会 中学生も一緒に草刈り中 
 
思い思いの場所に散って、草刈り中です。
 
コナラ会 赤いテープの印 
 
草や木の中には、赤や黄色のテープが結ばれているものがありました。
 
稲本さんに聞いたところ「今回は手で刈っているので大丈夫ですが、草刈り機でうっかり刈ってしまわないよう、大切に育てたい植物に印を付けています。コナラ会の皆さんは『この木は残して』『刈らないよう注意』など、印を付けているんです。」とのこと。
なるほど、草刈り機は効率がよい代わりに、一気に全部を刈ってしまうので注意が必要ですね。
 
コナラ会 草刈り中のメンバー 
 
しばらく作業を続けたら、休憩を取り水分補給タイム。
 
コナラ会 休憩中 
 
中学生にも「部活動の時間と、草刈りと、どっちがしんどい?」「知らん間にスクワットになっとるやろ?」など、気さくに話しかけて、笑いが絶えません。
 
午前中も整備作業を行っておられるはずですが、全く疲れを見せない皆さん、本当にお元気です。
 
コナラ会 刈った草をブルーシートに集める 
 
休憩が終わってからも同じ場所の草刈りを続け、きれいになったので刈った草をシートで集めます。
 
 
集めた草は運んで道の脇に固めて置いておきます。中学生も積極的に仕事をしていました。

コナラ会 作業後、きれいになった階段 
 
作業が終わった後の散策路。
すっかりきれいになりました。
 
コナラ会 中学生が丸太を置きに。 
 
不要な丸太は、重ねて置いておきます。
すると、次第に朽ちていき、木が大好きなカミキリムシやその他の昆虫が集まってきて、またその昆虫を目当てに集まってくる生き物がいるそうです。
 
コナラ会 ため池 
 
けいはんな記念公園は、ため池(永谷池)の周囲をぐるりと散策路が通っています。
 
確かに里山の林の景色ですね。
 
コナラ会 引き上げるところ 
 
道具などを手に持ち、手押し車にシートを乗せて、撤収です。
 
コナラ会 最後列で道を掃いていくメンバー 
 
最後は道を掃き掃除していくメンバーが。
毎週、コナラ会の皆さんが整備活動をされているからこそ、この里山の自然が心地よく訪れた人を迎えてくれるんですね。
 
コナラ会 道案内看板 
 
途中、ところどころに看板があり、道案内してくれます。
 
「バリアフリールート」はここ数年で更新された、幅2メートル弱の園路です。傾斜はあるものの、これなら車いすでも通れそうですね。
 
コナラ会 看板のそばの杖置き場 
 
看板の横には、周囲の山を登るコースを歩く訪問者のために杖の置き場もあります。杖が一か所に固まりがちなので、こうして帰りながら運んで、どこも杖が同じようになるように調整されているそうです。
 
コナラ会 コナラ会の活動紹介の看板 
 
稲本さんによると、「無料と有料の区域を合わせて年間65万人くらいの訪問者があります。
コナラ会の皆さんが整備活動をしている『芽ぶきの森』には年間約8万人が入場しています。広大な公園は、委託を受けている公園の職員だけではとても手が回りません。下草刈り、スズメバチの駆除、階段の補修など、次から次へ手入れが必要になります。
 
コナラ会の皆さんが遊歩道を中心に毎週整備されているからこそ、明るい森、安心な森として来場者が多いんですよ。もう少し来場者数は伸ばしたいところです。」とのことです。
 
最後に職場体験の終了の挨拶。
 
「お疲れさま」
「いつでも遊びに来てや」
 
と最後まで和気あいあいとした雰囲気のコナラ会の皆さんでした。
 
私もここでコナラ会の皆さんとはお別れして、事務所まで帰る中学生といっしょに稲本さんに公園を案内してもらいました。
 
コナラ会 公園地図の看板 
 
こちらが公園の全体図です。池のそばを通って、公園正面入り口へ向かいます。
 
コナラ会 ため池のそばで昆虫発見 
 
中学生の一人は、カマキリの幼虫を飼ったことがある、とのことで、それを聞いた稲本さんは、公園の歩道の手すりにいる小さなカマキリをすぐに発見。
 
「こういう公園の手すりは、昆虫を見つけるのにいい場所なんだよ。」と、手すりを注目しながら歩いていくと、またカマキリの幼虫、トンボと、さまざまな昆虫が姿を見せました。また、道にはトカゲも出てきました。


「周囲を道路や宅地に分断され、シカなどの獣害はありません。そのぶん、草刈りを人間がやらないといけないのでたいへんではあります。孤立林が自然として成り立つには最低10ヘクタール必要とされています。この公園で森は15ヘクタールあるので、昆虫、キノコ、動物の多様性も保たれています。以前、専門家にも調査をしてもらいました。里山は手入れしてないと、里山の環境でなくなってしまいます。生物多様性を調べ、ホットスポットと呼ばれるような公園を目指した管理を行うことで、ゆくゆくはここを研究のフィールドにしてもらえるほどの里山にしたいと思っています。
 
そのためにも、コナラ会の働きはとても重要で、今後も地道な整備活動を続けていきたいです。」と稲本さん。
 
町中に暮らしていると、子どもたちは里山の柴刈りや焚火、虫取りなどが生活と切り離されてしまいます。そんな経験ができるのも、けいはんな記念公園のコナラ会の活動のおかげです。
 
これからも、皆さんがお元気に活動を続けられ、仲間が増えて子どもたちと一緒に里山の整備を楽しむ機会が増えますよう、願っています。
 
コナラ会 ため池のカイツブリの親子 
 
かいつぶりの親子                
  
コナラ会 水景園の池  
  
回遊式日本庭園 水景園
 
コナラ会 観月橋 
 
観月橋

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