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西の湖自然楽校 /特定非営利活動法人 西の湖自然楽校

事業の概要

学校教育が取り組めなくなった分野の楽校教育、便利さの中で、忘れられた価値の発見、五感を使った直接体験、居場所を求める子どもの居場所づくりなどをめざし、ここに生きる人間以外の生き物のことも大切に考えて行動・実践する「シガリズム」の一環として、西の湖に残された豊かな自然を次世代につなげることに寄与します。具体的には、毎月一回、拠点となる西の湖ふれあい施設を使って、幼稚園や小学校へ参加を呼びかけ、春の星空観察、サツマイモや夏野菜の植え付け、春の水辺コンサート、ツバメのお宿ウォッチング、お泊りキャンプ、ヨシ灯り展への作品作り、ヨシ刈り体験などを行います。

西の湖自然楽校 冒険ひろばで焚火をする子どもたち

2022年11月6日の日曜日、滋賀県近江八幡市安土町にある、西の湖自然ふれあい施設(通称ふれあいハウス)に、NPO法人 西の湖自然楽校の「冒険ひろば」を訪問しました。
 
西の湖自然楽校 団体名の入ったちょうちん  
 
西の湖とは、近江八幡市にある小さな湖で、琵琶湖の内湖(ないこ)の一つです。この湖の周りは全国でも有数のヨシ群落があり、ラムサール条約の登録湿地となっています。そのほとりにあるのが、近江八幡市のふれあいハウスという施設で、西の湖自然楽校の皆さんが活動の拠点としているところです。
  
西の湖自然楽校 拠点になっている、ふれあいハウス。木造のログハウス風 
  
この建物はほとんと使用されないまま老朽化していき、市が取り壊す決定をしていました。それを聞いた地域の有志が「つぶすなんてもったいない。それなら我々に無償貸与してほしい」と市に訴えたところ、「法人格にした団体として管理してくれるのなら」という条件で使えることになり、令和元年の最初の日、5月1日に「西の湖自然楽校」をスタートさせました。そして令和3年3月3日にはNPO法人となり、今年度中にはこの施設を無償貸与してもらう予定だそう。
 
自然楽校のメンバーは、定期的に芝生広場の草を刈り、岸辺に不法投棄されたゴミを運び出し、子どもが安全に遊べる場所を作りました。
 
西の湖自然楽校 ふれあいハウスから見た広場と西の湖  
 
ふれあいハウスの2階から見たところです。向こうに見えるのは、西の湖、手前の広場には水場もあります。
  
西の湖自然楽校 西の湖の岸辺の木々 
 
岸辺の木々は、いい感じに木登りできる傾斜がついています。
 
自然楽校代表の飯村さんは「この木は、子どもたちが木登りできるよう、残しました。岸辺には産業廃棄物が捨てられていたので、とても近づける状態ではありませんでした。ゴミをトラックで運び出し、山土を入れて造成してやっと遊べるようになりました。
 
夏原グラントの一般助成一年次で助成金がいただけたのでできたことです。本当に助かりました。」と、この場所を見せながら説明してくれました。
 
西の湖自然楽校 船着き場から漕ぎ出すボート 
 
造成した部分には、こんな船着き場も作られていて、ボートで西の湖に漕ぎ出すこともできます。

西の湖自然楽校 水道でお芋を洗う子どもたち 
 
この日のメインイベントは、焼き芋。今年の春にみんなで自然楽校の農園に植え付けたサツマイモ苗が育ち、前の日に農場長の徳永さんが、今日の分を掘り出してくれたイモを焼くのです。
 
まずは、自分の食べる分のお芋を洗い、アルミホイルで包みます。
 
西の湖自然楽校 自分でお芋をアルミホイルで包む子ども 
 
自分の焼き芋は自分で準備します。
 
西の湖自然楽校 籾がらを焼いているところへホイルに包んだお芋を並べる子どもたち 
 
もみ殻に煙突を立てて、燃やす燻炭を作りますが、その中にサツマイモを埋めておくと、30分程度で焼き芋ができあがるそうです。
 
煙の中、子どもたちが自分でイモを順番に並べていきました。
 
西の湖自然楽校 お芋を籾殻で埋めていく 
 
全員のイモを並べたら、上にもみ殻をまいてうずめていきます。
 
中学生のボランティアが、朝からずっと準備していて、焼き芋作りを手伝っています。
 
西の湖自然楽校 ドラム缶で焚火 
  
そして、今日は参加者のリクエストに応えて、焚火も登場しました。
 
西の湖自然楽校 焚火にヨシ材をくべる子どもたち 
 
スタッフの木野さんが「これをくべていいよ!」とヨシの廃材を持ってきてくれると、子どもたちは我先に焚火にくべていきます。
 
西の湖自然楽校 パチパチはぜる焚火 
 
「この木の枝を燃やしてみて!」と木野さんが生の木の枝をむしってきて、火にくべると、パチパチと威勢よく音を立てて燃えるので、まるで小さな爆竹のよう。
 
子どもたちも真似してパチパチ燃やして遊んでいました。
 
西の湖自然楽校 芝生でボール遊びをする親子 
 
すぐそばの広い芝生では、ボールを使っての遊びをする親子も。
 
西の湖自然楽校 木登りする子ども 
 
スタッフのおじさんに見守られ、ブランコや木登りをする子。
 
西の湖自然楽校 ボート遊び 
 
お父さんとボート遊びをする子。
ボートに乗る時には、ちゃんとライフジャケットを着用しています。
  
それぞれが好きな遊びをして、保護者の皆さんも、のんびりしています。
 
飯村さんは「これがやりたかったんです!」と力強く言います。
「昔、小学校でこういう遊びができた時代もありました。校庭にテントを張ってキャンプしたり、木登りしたり、自由に遊べましたよね。でも、今では全くできなくなっています。
 
だから、この西の湖自然楽校の『冒険ひろば』では、そんなことしたら危ないからダメとは言いません。焚火もボート遊びも木登りも綱渡りも、やりたい子がやればいいんです。一斉に同じことをさせることもありません。」
 
西の湖自然楽校では、毎月一回、第一日曜日の午前中、定期的にここで遊ぶ「冒険ひろば」を開催し、他にも季節ごとに星空観察会や水辺のコンサートなどを不定期で行っています。
 
そういう情報は、メンバーの中の若い方がSNSを使って広報し、あまりに大人数となると危ないので、定員を決め、事前に申込みのうえで参加してもらっているそうです。普段は参加無料で、今回のように食べ物などを作る場合には一人いくらかの参加費をもらうそうです。今回は100円でした。
 
西の湖自然楽校 ふれあいハウスで蜜柑の木のカフェが開店 
 
また、11時からは、不登校の子どもたちの応援をしている自然楽校協賛団体、蜜柑の木の皆さんが、ふれあいハウスでカフェを開いていました。西の湖自然楽校に参加している人も、ここで自由に利用して飲食できます。
 
「さあ交流しよう」というものではなく、なんとなく同じ空間にいて同じおいしいものを食べたり飲んだりしているだけ。そういう気を使わないでいられる場にしたい、と蜜柑の木の方はおっしゃっていました。
 
西の湖自然楽校 焼き芋を食べる皆さん 
 
そうこうするうち、「焼き芋ができたよ」という声が!

焼き芋には、針金で金属の番号札が付いていたので、数字を呼ばれたら、その人が取りに行くシステムです。
 
黄金色の焼き芋は、とっても美味しそう。聞くと、種類は安納芋とのことで甘いのは間違いないですね。
 
 
ボートに乗る順番を待っている幼児のお母さんにお話を聞いてみると
 
「お兄ちゃんは、ボーイスカウトと西の湖自然楽校だけ続けて、ほかの習い事はやめてしまいました。安土町に引っ越してきて数年ですが、西の湖自然楽校に参加して、安土のいいところを満喫しています」とニコニコと答えてくれました。
 
西の湖自然楽校 芝生広場と西の湖 
 
西の湖のほとりで、こんなに広々とした芝生で、のびのびと親子が遊ぶ姿を見ると「冒険ひろば」は、いい「場」になっているのだと感じました。その「場」の安心・安全・楽しさを影になり日向になり支えているのは、西の湖自然楽校の皆さんです。
 
半日ではありますが、アウトドアの太陽や風雨の中で過ごす時間は貴重です。何より、自然の中で自分の好きなことを見つけて遊ぶ経験は、これからの人生に大切なことではないでしょうか。
  
西の湖自然楽校の皆さん、子どもたちのためにこの「場」をこれからも守ってくださることを期待しています。
 

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