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「わきの山」における持続可能な里山利用にむけたゾーニングの検討および実施 /公益財団法人 京都市環境保全活動推進協会

事業の概要

京都市立明徳小学校の学校林である「わきの山」は、かつて地元地域の山として利用されていましたが、現在は周辺の宅地化などで竹林化など管理上の諸問題が持ち上がっています。京都市環境保全活動推進協会では、近年、獣害を受けているチマキザサを保全するための柵の設置や下草刈りを行ってきましたが、全体的なゾーニング計画やその方向性についてはまだ方針が決まっていません。今回は助成を受けて周辺のゾーニング計画を決めるためにヒアリングや勉強会、小学生向けのプログラム実施、キノコ栽培で落葉樹の利用体験、竹林整備、報告会・座談会などを実施する予定です。

公益財団法人 京都市環境保全活動推進協会の活動のようす画像 チッパーで竹を粉砕中

2022年6月25日、京都市環境保全活動推進協会が取り組む「『わきの山』における持続可能な里山利用にむけたゾーニングの検討および実施」の活動で、フィールドの整備をされるとのことで訪問してきました。
「わきの山」は京都市立明徳小学校の学校林で、京都市の北部、京都市市営地下鉄の終点駅・国際会館から、15分ほど歩いたところにあります。淀川水系高野川の源流域(岩倉川)にあり、クリ・クヌギなどの落葉広葉樹や、複数のタケ・ササ類が生育しています。
  
公益財団法人 京都市環境保全活動推進協会の活動画像 フィールドである、わきの山   
今日の主な作業は、刈ったササをチップ化すること。そして、斜面の草刈りをするとのことです。梅雨明け間近の湿度が高めの気候ですが、雨の心配がなく作業に取り組めます。
まずは今日の段取りをメンバーで確認します。
    
公益財団法人 京都市環境保全活動推進協会の活動のようす画像     
この場所に置いてある竹と、まだ刈ったまま置いてある竹を下ろしてきてチッパーで粉砕します。階段を登った上に置いたままになっている竹もかなりあるとのことですが、まずはここから。
  
公益財団法人 京都市環境保全活動推進協会の活動のようす画像 竹を運ぶ    
チッパーは業者へ依頼しています。トラックに載せられチッパーが来ました。大きな樹木でも粉砕できる大型のものです。まずはクレーンで引き上げ
   
公益財団法人 京都市環境保全活動推進協会の活動のようす画像 チッパーをクレーンで降ろす    
積んである竹の近くまで運びます。
  
公益財団法人 京都市環境保全活動推進協会の活動のようす画像 チッパーを竹のそばまで動かす    
チッパーでの粉砕はかなりの大音響だそうで、業者の方のお話では1km離れたところから「うるさい」との苦情が来たこともあるそうです。みなさん、思わず周りを見渡しながら、苦情がきたらちゃんと説明しなくてはと心構えをしておられました。大きな音に備えて、耳栓も用意しています。
  
公益財団法人 京都市環境保全活動推進協会の活動のようす画像 耳せん     
エンジンがかかりチッパーでの粉砕が始まりました。
1km離れていても苦情が来ることもある音と聞いていましたが、実際聞くと、その大きさにびっくりしました。鼓膜に直接音がぶつかってくる感じで、機械の振動も加わって体がずんずん押されているような気持になりました。
   
公益財団法人 京都市環境保全活動推進協会の活動のようす画像 竹を砕くチッパー    
粉砕されてチップになった竹です。大小の違いはありますが、太い竹が見事に細かくなっていて、やはり機械の力は大きいなあと思いました。
   
公益財団法人 京都市環境保全活動推進協会の活動のようす画像 粉砕された竹が手にのっている   
チッパーが次々と大きな音を立てながら竹を砕いている横で、上に置いたままにしていた竹を、階段から滑らせて下ろしてきています。下ろしてきた竹の量はかなり多く、最初から下に置いてあったものより多かったぐらいでした。
  
公益財団法人 京都市環境保全活動推進協会の活動のようす画像 チッパーのそばに竹を運んでくる   
チッパーでの竹処理が終わり休憩を取った後は、斜面などの草刈りと粉砕された竹を周囲へ撒くことになりました。どのあたりの草刈りをして、チップとなった竹をどこへ運ぶか相談です。
  
公益財団法人 京都市環境保全活動推進協会の活動のようす画像 わきの山のどこへ粉砕した竹を運ぶか   
それぞれ自分ができること、気になることの作業へ取り掛かります。
斜面の草刈り。
 
公益財団法人 京都市環境保全活動推進協会の活動のようす画像 背丈ほども茂った草を刈る   
粉砕した竹チップを運びます。
  
公益財団法人 京都市環境保全活動推進協会の活動のようす画像 粉砕した竹をまく   
上に登っていく階段にも撒きました。
  
公益財団法人 京都市環境保全活動推進協会の活動のようす画像 階段にまかれた竹のチップ 
  
京都市立明徳小学校の学校林である「わきの山」は、近辺に住む方々にとっては薪や食べ物を採りにいったり、子どもの頃よく遊んでいたりした、思い出深い里山なのだそうです。しかし手入れがされなくなると鬱蒼と生い茂る木々で暗くなり、近寄りがたくなってしまいます。これをなんとかしようと、京都市環境保全推進協会と小学校や近隣の方々とでの、里山再生のための取組が始まりました。今日のこの作業にも、小学校の先生方がたくさん参加されていました。
「子どもたちに、身近にすばらしい自然があること、それを誇りに思ってほしいと思っています。そのためにもタケノコを掘ったり、生き物を見つけたり、あるものを使って工作をしたりなど、ここで楽しいことを経験してほしいです」と校長先生がお話してくださいました。「でも今はまだ危ないところも多く、安心して子どもたちが来られる状態ではありません。整備を進めて、子どもたちと一緒にここで早く楽しみたいです」とのことでした。
  
夏原グラントで助成される事業では、このわきの山の土地利用履歴調査や植生調査を行い基礎資料としたうえでゾーニングを行い、小学校の子どもたちが有効に活用できるように、また地域の方々が気楽に立ち寄れる里山として整備を進めていく予定となっています。
  
公益財団法人 京都市環境保全活動推進協会の活動のようす画像 伐採の進むわきの山の森  
  
「整備を進めていくと、ずいぶんと明るくなりました。そして雑木を伐採していくと桜が見つかりました。ゾーニングの案の中には桜も入れています。この桜も新たなわきの山の魅力となればと思っています」とは、京都環境保全推進協会の担当者、重原さんの言葉です。
 過去と今の植生を調べ、あるものを活かしながら整備を進めていくという真摯な姿勢が伝わってきました。
 子どもたちや地域の方々が立ち寄り、この場所で楽しむ姿が見られる日が来ることも、そう遠くないことのように感じました。

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