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花背の森ガタリ~土地に根ざした学びの場 /林業女子会@京都 花背支部

事業の概要

京都市左京区の花背地区で、広く参加を呼びかけて親子で地域の暮らしを体験してもらう「花背の里山あるき」を毎月定期開催します。また花背地域の土地に根ざした四季暦(植物、農事、食文化)の冊子作成のための植生調査を6回程度実施します。植物の同定には、連携関係にあるNPO法人自然観察員京都連絡会に依頼します。林業女子会@京都 花背支部のメンバーも取材し、冊子を作成します。

林業女子会@京都 花背支部 花背の杉の巨木

2022年10月18日、京都市左京区の花背へ、林業女子会@京都(花背支部)の皆さんの活動に訪問しました。
林業女子会@京都(花背支部)は、昨年度までの2年間、夏原グラントファーストステップ助成を受けていて、2022年度から一般助成を受けています。
 
今回の助成は、「花背の森ガタリ~土地に根ざした学びの場」という事業です。内容としては、親子で地域の暮らしを体験してもらう「花背の里山あるき」を毎月定期開催し、また花背地域の土地に根ざした四季暦(植物、農事、食文化)の冊子作成のための植生調査を実施するというもの。訪問したのは、その植生調査のうちの一回でした。
 
植生調査の植物の同定については、NPO法人自然観察員京都連絡会に依頼をしていて、訪問した時も林業女子会@京都(花背支部)からは代表の川勝さんのみで、他は全員が自然観察指導員京都連絡会のメンバーでした。
 
林業女子会@京都 花背支部 集合場所 
  
朝10時に、花背地区の井ノ口橋あたりに、メンバーが乗り合わせた車が集合し、私も含め全部で13人となり、そこから広域基幹林道に車で入りました。
 
この林道は普段は一般車両通行禁止となっています。林業女子会@京都(花背支部)代表の川勝さんと親しい関係にある林業家の方が通行を許可してくださっているので、特別に入ることができるそうです。入り口と途中に鍵のかかったゲートがありました。
  
林業女子会@京都 花背支部 林道の切通し  
こんな切通しが連続している林道です。
 
かなり上のほうまで登ってきて、目的地に到着しました。
 
林業女子会@京都 花背支部 見渡す限りの山の連なり 

林道からはるかに山々の重なりが眺められます。京都の山の深さを目の当たりにしました。
 
林業女子会@京都 花背支部 地図を確認中  
川勝さんたちがスマホの地図でこれから行くところを確認しているところです。
 
携帯電話の電波が入らないあたりなので、地図はあらかじめダウンロードしたのだとか。
 
林業女子会@京都 花背支部 林道からハシゴで山へ 
 
ここからいよいよ山に入ります。

いきなりハシゴ。急傾斜を慎重に登ります。
  
林業女子会@京都 花背支部 坂道を上る 
 
かなりの傾斜があり、滑りそうになりながら登っていきます。
  
林業女子会@京都 花背支部 倒木をくぐって進む 
 
倒木をくぐり、細い道を歩きます。
 
林業女子会@京都 花背支部 森の中の杉の巨木 
 
しばらくすると、見えてきました!とんでもない巨木です。
 
今回のお目当ては、この杉の巨木だったのです。
 
じっくり撮影しようと立ち止まると、
「まだ、こんなもんじゃないから、先へ行きましょう」と出発を促されました。かなりの巨木ですが、これ以上の巨木がこの先にあるようです。
 
途中にも巨木がありましたが、まだ先へ進みました。
 
そして遂に目的の巨木に到着しました。
 
林業女子会@京都 花背支部 最も巨大な杉 
   
翌日調べてみると、地図には「花脊の天然伏状台杉(はなせのてんねんふくじょうだいすぎ)」として地図に掲載されていました。
  
また、京都市のホームページ「京都市情報館」によると、アシウスギ(ダイスギ)という種類で、京都市指定・登録文化財-天然記念物に指定されています。個人の持山に生えているので、勝手に訪れることはできない、とも書かれています。
  
林業女子会@京都 花背支部 存在感がものすごい杉   
周囲を柵で囲ってありますが、倒木などで柵の役目を果たしていません。訪れる人は稀なようすです。
  
この巨木が最も大きいのですが、周辺にも多くの巨木が残されていて、巨木群としての存在にも圧倒されました。
 
巨木の見学が終わると、メンバーの皆さんは思い思いにあたりの植物の同定に取り組みます。本当に植物の好きな方の団体なのだ、と感じる光景でした。
  
林業女子会@京都 花背支部 森の中で植物の観察中   
林業女子会@京都 花背支部 楓の葉を同定中の清水さん 
  
「これはハウチワカエデ?ヒナウチワカエデ?」
メンバーから聞かれ、自然観察員京都連絡会の代表の清水さんが、同定中。
  
写真を撮って記録する方はもちろん、メモを取りながら植物を確認する方も複数見られました。
  
林業女子会@京都 花背支部 紫色のキノコ 
   
キノコも多く見つかりました。
  
林業女子会@京都 花背支部 地面のドングリ 
  
ドングリもあちこちに落ちています。
  
とても自然豊かな山です。
   
林業女子会@京都 花背支部 キノコ観察する皆さん 
 
下山しながらも、キノコや植物が見つかると、さっそくみんなで観察タイムが始まります。
 
そうすると、何気なく山を歩いているだけでは見えなかった、さまざまな植物やキノコが、ひとつひとつ名前を持った存在として見えてきます。子どもたちにもそんな経験をしてほしいな、と思いました。
  
林業女子会@京都 花背支部 差し入れのホット珈琲 
  
そのうち、少ししぐれてきたので、急いで下山し、麓の林業家の方の小屋で雨宿りしながら、お弁当を食べさせてもらいました。
 
そこへ、林業家のご家族がホットコーヒーを差し入れてくださいました。肌寒さも感じる小雨の天候で、ホットコーヒーは体に染み入る美味しさでした。
 
先ほどの天然伏状台杉についてのお話などを聞かせてくださったのですが、
 
その山主である林業家のご家族によると、あの巨木群は以前とても有名で、一時期にはお休みの日に観光バスで人がやってくる観光地だったそうです。
 
「曲がっているから、林業の人は敬遠する、だから残った」とも。確かに、木材としては使えそうにない曲がり方でした。しかし、人間の寿命をはるかに越えて今を生きる杉は、命の持つ力、そして自然の力を見せてくれる存在として貴重です。
 
自然観察指導員京都連絡会では、この方の山の畑の特定外来生物の大反魂草(オオハンゴンソウ)の駆除活動を行っています。メンバーの皆さんとの会話で、林業家のご家族と信頼関係が築かれていることがよくわかりました。
 
最後に林業女子会@京都(花背支部)の川勝さんに、今回の助成事業についてお話を伺いました。
 
「今日のように花背地区の植物について植生調査を重ね、自然と共に生きてきたここに暮らす人の林業などの生業や暮らしと共にある自然のことを聞き取り冊子にまとめ、花背地域を訪れる人、子どもたちにも親しんでもらえるような活動にしていきたいです。」
 
今日出会った天然伏状台杉も、冊子で紹介されることでしょう。
 
花背地区に来たのは、他の活動訪問も含めて3回目です。川は清く、山は深く、人の暮らしが自然とともにある地区なので、冊子のできあがりが楽しみです。
 

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