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環境学習・環境保全活動支援のための「高島の田んぼの生きもの図鑑」の作成と活用 /結いの里・椋川

事業の概要

2年間で高島市内の水田の生物図鑑を作成します。この図鑑の特徴は、地域の生物相を反映する掲載種を剪定し、種判別の容易さや精度を高めたもの、地域の生息状況に応じた希少性・指標性を記載し、保全に関する知見を高める、野外での携行性がよく汚れに強い、というものです。 

結いの里・椋川 生き物調査の撮影のようす

2022年7月10日の日曜日、午前中に滋賀県高島市マキノ町で実施された、結いの里・椋川の皆さんの生き物調査にお邪魔しました。
 
今回の夏原グラント助成事業「環境学習・環境保全活動支援のための『高島の田んぼの生きもの図鑑』の作成と活用」の生き物図鑑に使うための生き物の調査と撮影をするとのこと。
 
結いの里・椋川とは、高島市今津町の椋川地区の皆さんが中心の団体で、山里の暮らしを守り伝統を伝える活動を行っています。拠点となる、おっきん椋川交流館(高島市年農村交流施設)の指定管理業務を行いながら、田舎暮らしのワークショップなどを実施しています。
 
椋川をフィールドに選んで研究する滋賀県立大学環境科学部の学生や院生、OBと協力しながら親子向けの生き物観察会を継続して行い、2018年には地元の農業法人とも協力し、小冊子「椋川 人々のくらしと田んぼの生きもの」を作成しました。
 
結いの里・椋川事務局の是永さんは、
「夏原グラントの事業としては、範囲を高島市内に広げて、山間地、棚田、琵琶湖に近いところ、など5カ所を選定して生き物調査を行います。高島市内だと、規模としてひとまとまりの単位となり、ちょうどいいんです。椋川地区は今までのデータがありますので、現在、他の地区の生き物調査を実施中です。
 
一般的な生き物図鑑だと、地域に生息していない生き物もたくさん掲載してあり、関係ない部分も多い。だから、高島市内の生き物に限定し、また生き物調査や自然観察会などで田んぼに持って入ってれるような防水加工などを施した素材で作る予定です。
 
また、誰でもアクセスし、ダウンロードして使ってもらえるよう、ネットに公開します。」と、説明されました。
 
なるほど、田んぼの中でも防水加工(たとえばラミネート加工など。まだどのような形にするかは未定だそう)していれば、普通の図鑑と違い、田んぼに持ち込めて、生き物をつかまえながらでもページをめくって確認できますね。
 
結いの里・椋川 調査の場所は耕作放棄地の湿地 
 
車で連れてきてもらったのは、去年まで耕作していた田んぼです。獣害がひどくて今年は耕作放棄しているとのこと。調査をするメンバーのお一人が借りておられるそうです。
 
しかし、ここがいい感じにビオトープのような湿地となっているので、さまざまな生き物が生息しているとのことでした。
 
結いの里・椋川 調査のための網やバケツ 
 
これは調査のための道具です。
一部が直線になっている網、フタ付きのバケツなど。
 
結いの里・椋川 雨の中でも調査 
 
小雨が降っていましたが、調査は続きます。
 
結いの里・椋川 網の中のコツブゲンゴロウ 
 
調査担当の一人、宮崎さんがさっそくコツブゲンゴロウを捕まえた、と見せてくれました。
 
名前からして、小さいゲンゴロウなのでしょうか?コツブゲンゴロウは、一生懸命逃げようとしていました。
 
是永さんによると「調査に当たる6名は、それぞれに生き物の専門家です。環境アセスメントが本業の人や、東京海洋大学の院生で、こっちに移住して農業や漁業をしている人、椋川で10年くらい前から生き物調査を継続している人などですね。」ということです。

確かに、草むらに網を入れてガザガザする手つきが、かなり手慣れたものでしたし、すぐに生き物を見つけては、名前を言っておられます。
 
結いの里・椋川 湿地の中まで行って調査中 
 
湿地に入らず、周辺を見るだけでも、ここではすぐに虫などが見つかります。
 
結いの里・椋川 カマキリの子ども 
 
カマキリの子ども。
 
結いの里・椋川 キイトトンボ 
 
キイトトンボもたくさんいました。
 
結いの里・椋川 ヤブカンゾウの花 
  
近くでヤブカンゾウが、鮮やかな赤みのかかったオレンジの花を咲かせていました。
 
結いの里・椋川 白いトレイの上で撮影 
 
しばらく生き物を集めたら、撮影です。
図鑑には写真がとても大事。そこで、わかりやすいように白いトレイの上で撮影されています。
 
撮影が終わったら、捕まえた場所に放しておられました。
 
結いの里・椋川 調査担当のお二人と是永さん 
 
是永さん(右)と調査担当の村上さん(真ん中)、宮崎さん(左)。
 
「今日、次はどこへ調査に行こうか」と相談中です。
 
本当はもうお一人おられましたが、先に別の地点の調査に向かわれたのでここには写ってません。
 
結いの里・椋川 別の田んぼへ移動 
 
次に向かったのは、マキノ町のメタセコイアの並木道近くの田んぼでした。ここは、現在宮崎さんが耕作しています。昨年までは畑だったところを借りて水田にしているそうです。
 
今のところはまだ農薬は使ってないのだとか。
 
結いの里・椋川 田んぼの中をガサガサ 
  
さっそく田んぼの水の中をガザガザ。
 
結いの里・椋川 田んぼを調査中 
 
田んぼの上をツバメが飛び回り、周辺の草むらを歩くと、小さなバッタが飛び出します。
 
高島市のこの豊かな自然が、図鑑を通して身近に感じてもらえるようになるのだろうな、と感じました。
 
結いの里・椋川 撮影用の白いトレイに入れられたミズカマキリのメス   
ここで見つかった、ミズカマキリのメス。
 
結いの里・椋川 撮影を待つ水生の生き物たち 
 
ほかにも水生昆虫が写真撮影の順番を待っています。
  
撮影は続いていましたが、私はここで先に帰らせてもらいました。
 
図鑑作成の過程としては、今年度が調査とデータと画像の収集で、来年度が編集と印刷などの予定です。
どんな図鑑ができあがるのか、そして、どんな人たちがそれを持って田んぼに入り、どんな生き物と出会うのか、とても楽しみです。
 
できあがりましたら、このページにもリンク・紹介します。
 

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