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朽木野鳥を守る会 /朽木野鳥を守る会

事業の概要

滋賀県高島市朽木の森林には、希少な野鳥が生息しています。かつての公園化から植生が回復していないため、野鳥の棲みかが失われないよう環境保全の活動を始めました。 鹿よけネットの設置、表土の回復や巣箱の設置、また巣箱のモニタリングなどを行っています。観察会やセミナーを開催し、広く知ってもらい、知識を深めることも計画しています。

朽木野鳥を守る会 活動のようす 集合写真

2023年6月25日、朽木野鳥を守る会が開催する「野鳥観察会」に参加して、活動の様子を取材してきました。
 
滋賀県高島市朽木には、園路、拠点施設や宿泊施設などの公園化整備がされた「朽木ふれあいの里」がありましたが2014年に閉鎖。その後、メンテナンスはほぼ行われず廃墟化していたところに、絶滅危惧種の野鳥の飛来が確認されたそうです。その時、有志により繁殖地への立ち入りを遠慮してもらうなどの活動を行ったそうです。この活動を行ったのが「朽木野鳥を守る会」。絶滅危惧種の野鳥は確認されているものの繁殖には至らず、これに危機感を持ったメンバーは、一時的な活動を発展させて継続的・組織的に活動していくとなりました。
 
野生生物の生息に必要な生態系は、本来、自然のサイクルによって維持されるものですが、公園化されたこのフィールドは、その環境が復元されていないとのことです。「最終的には最小限の維持活動で生態系が維持できる状況に戻すことが目標です」と代表の松田さんが話してくださいました。
 
今日は、朽木野鳥を守る会の、月1回の野鳥観察会です。通常の活動フィールドであるグリーンパーク想い出の森ではなく、森林公園くつきの森が野鳥観察会の会場となっていました。直線距離で6㎞ほどですが、もちろん種類にもよるけれども、鳥にとってはこの距離はどんな感じなのかなとぼんやり考えていました。
 
朽木野鳥を守る会 活動のようす 集合場所 
  
集合場所の森林公園くつきの森のやまね館です。
今日の観察会には、滋賀県だけではなく近畿や中部地方から参加している方がいらっしゃいました。長野県からも。野鳥観察が好きな方は、情報を集めて、いろいろなところを訪ねているのだそうです。
 
朽木野鳥を守る会 活動のようす 最初のあいさつ 
 
集合時間になると、今日のこれからのスケジュールや注意点などについて説明がありました。
 
特に強調されていたのが、今日観察した鳥の写真や名前をSNSなどにアップしないということです。SNSにアップすると情報が拡散され、珍しい鳥がいるからと訪れてくる人がいるのだそうです。中にはルールを守らずに入ってはいけないところへ足を踏み入れ、鳥たちの生育環境が荒らされることもあるそうです。フィールドの入り口にも注意看板が掲げられていました。
  
朽木野鳥を守る会 活動のようす 熊注意の看板 
 
「希少生物をこの目で見たい、だからその場へ行って写真を撮りたいという気持ちはわかります。それが関心を持つことのきっかけですから。でも、やってはいけないことがある。単独で訪れるのではなく、こういった観察会に参加することでルールを知ってもらえることになります。だから観察会を続けているのです。これが大切な啓発です」と、代表の松田さんが話してくださいました。
生き物だけではなく「写真を撮る」ことに熱心な方々が、周辺の迷惑などを顧みず被写体だけを見ていい写真を撮ろうとすることで起こるトラブルは、よく耳にします。観察会に、そういう意義もあったのかと改めて知ることができました。
 
さあ、出発です。
説明の時から聞こえてきていた鳥の声。なんだかワクワクします。
 
朽木野鳥を守る会 活動のようす 出発した皆さん 
 
「あ、鳴き声が聞こえた」「あそこにいる!?」と声がかかるたびに、みなさんが立ち止まって同じ方向に目を凝らしています。一緒に同じ方向を見るのですが、野鳥観察初心者には、全く何も見えません。
 
朽木野鳥を守る会 活動のようす 鳥がいた! 
 
少ししずつ山の中へ進みながら、そして何回か立ち止まっていると・・・・「あ!!あそこ」「ほんとだ」「ほらほら!!」と。その声で、みなさん一斉にカメラや双眼鏡を構えるのでした。取材で伺ったので、カメラを構えている人をカメラで撮影していたのですが、外から見ると、なんだかへんな構図だったと思います。
 
朽木野鳥を守る会 活動のようす 上を見上げて撮影や観察をする皆さん 
   
その場で、どんな写真が取れたかを見せ合っています。
 
朽木野鳥を守る会 活動のようす 撮影した画像を見せ合う 
 
「今日は今まで撮れたことがない鳥が写せて大満足です。来た甲斐がありました」とのこと。動きのある鳥は、狙っていても撮れないことが多いのだそうです。
少し開けた場所につきました。「じゃあここで、少し時間を取りましょう。あまり離れずに、でも自由にお写真撮ってください」と声がかかりました。
  
朽木野鳥を守る会 活動のようす 草の広場  
  
この開けた場所で青い空を見上げていると、何回か鳥がすーっと飛んでいくのが見えました。もう、それだけで感激です。何の鳥かもわからず、もちろん写真も撮れませんが。
  
朽木野鳥を守る会 活動のようす 休憩する人、撮影に出かける人 
 
みなさん、思い思いにカメラを担いで移動したり、ちょっと腰を下ろして休憩したり。
休憩しているみなさんのところで、代表の松田さんが話をしてくださいました。朽木野鳥を守る会では絶滅危惧種の保護のため、巣箱の設置や自動撮影カメラの設置をしているのだそうですが、それが荒らされているのだそうです。巣箱ごと持って行かれたことや、巣箱を荒らされたことは数知れず、自動撮影カメラのコードが切断されることもあったそうです。その時撮った写真なども見せてもらいました。「え~、ひどいことする人がいるんだね」「どうしてこんなことを・・・・」といった言葉が、みなさんの口からこぼれます。こういうことが、最初に松田さんが話してくれた「知ってもらうこと、つまり啓発です」の一環なのだなあと思いました。
休憩が終わり、もう少し山へ入っていきます。
 
朽木野鳥を守る会 活動のようす 林の中の道 
 
あるところまで来たら、これ以上は危険なので上には登らないようにという注意があり、後は自由に下まで降りましょうということになりました。そうそう、そういえば熊出没注意の看板が出ていました。
みなさんとお話もしながら、ゆっくりと下へ降りていきました。
朝の集合場所に集まって、アンケートの記入です。
 
朽木野鳥を守る会 活動のようす アンケート記入中 
 
アンケートは、今日見た鳥、今日鳴き声を聞いた鳥に丸印をつけていくというものです。「○○いましたよね」「△△も」「え!?△△いた!?気が付かなかった~」「□□が見られたのが初めてでうれしかった」など、お互いが見聞きした鳥の話で、盛り上がっています。
そして最後に一言ずつ今日の感想を話して終わりました。
 
朽木野鳥を守る会 活動のようす 終わりの挨拶 
 
保護活動はその大切さや目的には大きな意義がありますが、関心がないと伝わりにくいものです。そして一部の人だけの活動であっては、その目的が達成できないものでもあります。最初の関心は違っても、少しずつでも伝え続けることで何かの気づきがあるかもしれません。劇的な変化はないかもしれないけれど、地道に伝え続けることの大切さを感じました。
 
*アンケートの場面で鳥の名前を伏せて「○○」「△△」「□□」としているのは、具体的な名前は発信しないというお約束からです。朽木野鳥を守る会のホームページで時期をずらして発表されていますので、関心のある方は▼こちらから。素敵な鳥の写真がたくさん掲載されています。
 
 

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