トップページ > 助成の実績 > 米川・かわまちづくり事業

米川・かわまちづくり事業 /長浜まちなか地域づくり連合会(旧 長浜地区地域づくり連合会)

事業の概要

滋賀県長浜市の市街地を流れる米川は、河川環境としてだけでなく文化的、歴史的価値のある存在です。この事業では関係する地域団体や施設、地域住民だけでなく、大学などとも連携し、米川への関心を高め、美しく再生し、環境や生き物をもっと知り、川で遊び学ぶ催しを一年を通じて実施します。

2023年7月15日午前、長浜まちなか地域づくり連合会(以下、連合会)主催の米川・かわまちづくり事業を見学に伺いました。米川は長浜の市街地を流れており、観光客が多く訪れる「黒壁スクエア」のある大手門商店街からも、そのせせらぎを目にすることができます。


 

この日は米川に親しみ、学ぶ企画として、川歩き・水生生物観察会「キセキの米川で、遊ぼう!!」が行われました。連合会の区域内にある長浜小学校と長浜北小学校の児童に参加を呼びかけ、親子50名が集まりました。なんと、わずか15分で定員に達したほどの人気だそうです。
集まられた親子は集合場所となる御堂前組諫鼓山(かんこざん)町家に集まりオリエンテーションを受けました。連合会会長 辻正明さんからのあいさつでは、米川に親しんでもらう一連の事業を通して「米川を自分たちのまちの自慢できる川にしていきたい」と取り組みの意義を紹介、「今日はたっぷり探検してください」と子どもたちを送り出しました。


 

人数が多いので2班に分かれての活動です。それぞれに講師として生き物の専門家がサポートされました。1班は湖北野鳥センター 所長 植田潤さんが、2班目は夏原グラントの助成団体でもあるNPO法人近江淡水生物研究所 代表理事の向田直人さんが先導されました。
準備を整え、1班から米川へ。階段を降りて米川に入る一歩目、二歩目…、子どもたちも保護者の方も慎重です。滑りにくいところ、浅いところを探しながら、足元に気を付けてそろりそろりと活動ポイントまで歩を進めました。

  
 

魚は草の影や川岸の隙間などを「ガサガサ」すると捕れやすい、など魚すくいや観察のコツを教わり、自由に川歩きが始まりました。いろんなところをガサガサして、手持ちのバケツに次々に魚やカニを入れていきました。あっという間に足取りも慣れたものになったようです。連合会からもスタッフの方が胴長をはいて同行し、一緒になって生き物探しをされていました。

   
 

連合会副会長の脇坂芳克さんから活動のきっかけについて聞きました。
市街地を流れる米川ですが、近年のゲリラ豪雨など降雨量の多い雨の時には、川の水があふれ住宅や商店に入るようなことも増えたそうです。洪水は問題ではあるけれど、日常的に暮らしのそばにある米川、「こんなふうに遊ぶ機会などを通じて、いろんな世代の人に米川を知ってもらいたい」と脇坂さん。一斉清掃の機会には、町内ごとに、川の中の藻を除去したり、ごみを拾ったりと清掃活動が行われるそうです。ただ、日常的に遊ぶような光景はほとんどなくなったとのこと「僕らの小学校の頃は毎日米川に入って遊んで帰ってきたけどね」と、魚つかみの光景を見守ります。


(カーブの川べりには止水板がある場所もありました)


(川歩きで川床を覆っていた藻が取れ流れています。川の環境改善にもつながります)

米川に親しむ人を増やそう、という一連の取り組みは、今年で5年目を迎えています。当初より、滋賀県立大学の校外講座を受け入れられてきました。子どもたちの川歩きの前には、学生たちが参加して川の中の清掃活動を行われたそうです。その他にも、米川・かわまちづくり事業では、「米川まつり」と題して川床(ペットボトル筏)あそびや、滋賀県立大学生企画の子ども向けチャレンジイベント、川の中で聞く紙芝居など、さまざまに参加できる企画が行われています。「割れた茶碗があったり、いろんなごみがあったけど、見かけにくくなってきたかな」と、川での様々な体験活動の成果か、少しずつ変化がみられるそうです。

さて、楽しく魚つかみをした後は、しっかり学ぶ時間もありました。捕ってきた生き物は、先生たちの指導のもと、種類別の水槽に分けました。



 

魚の解説は向田さんから、それ以外の生き物や水草については植田さんから、生息環境や、外来生物の場合の注意事項などが伝えられました。
この日参加者のみんなで見つけた生き物や水草は全部で19種類。ヤゴも5種類も見つかり、水生生物の中では絶滅危機増大種に指定されるスナヤツメもいました。「これがいたら生態系が豊かだということがわかります」「サワガニがたくさんいましたね。水がきれいだということです」との解説に子どもたちも熱心に聞き入りました。

   
 

夏原グラントの活動助成金は川歩きで使う備品・消耗品の他、このような観察会の資材を整えることにも役立っているそうでした。「住民だけでも実現できない取り組みなので、専門家や大学・学生さんたちなど、協力し合ってやっていっています」というのは、連合会コーディネーターの田中省吾さん。米川・かわまちづくり事業を経て、米川がもっと人々に親しまれ、地域の中でも水辺に親しむ空間づくりなど、いっそう活かされるようになれば、と展望を話してくださいました。

夏休みの間も川を楽しむ事業が続きますが、地域の団体同士のネットワークづくりなどにも取り組まれています。多様な主体の連携で、米川がますます身近な存在になることを応援しています。

コメントを残す




このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ページトップに戻る