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琵琶湖辺の田園地域にて脱炭素型の暮らしの実践(環境再生型農業とCSA) /碧いびわ湖

事業の概要

滋賀県守山市の農地で、環境再生型農業を行います。主体は子育て世代の仲間で、不耕起・土壌表面の植栽被覆・混植密植などの原則をもとにした野菜づくりを、講師を招いて学びながら実践します。

碧いびわ湖の活動のようす 畑のピーナッツの収穫ににっこり

2023年10月8日、日曜日の朝、特定非営利活動法人碧いびわ湖(以下、碧いびわ湖)の「元気が湧きでる農園」学習会に伺いました。場所は滋賀県守山市、ファーマーズ・マーケット「おうみんち」近くの農園です。遠くから見ると草が茂っていて、とても畑には思えませんでした。
 
ちょっと雲行きが怪しい空のもと、参加者の皆さんがそろうと、碧いびわ湖 常務理事の根木山恒平さんからの挨拶と今日のスケジュール、作業内容についての説明がありました。
 
碧いびわ湖の活動のようす 根木山さんのあいさつ 
  
「この農園は、自然再生型(リジェネラティブ)の農法で野菜を栽培しています。土を耕さないというのが大きな特徴で、農薬も肥料も使用しません。、また単一の野菜ばかりではなく、果樹なども含めたくさんの種類の植物を植えています。周辺の畑とは、見た目も全然違っています。
  
最初に60種類くらいの野菜や果樹の種を蒔いたり、苗を植えました。混植・密植と言って、いろんな種類を混ぜて植えて、密になって育ってきます。人間に有用な植物ばかりでなく、雑草も生えてきますが、雑草も含めて、植物の光合成により太陽光を浴びて、空気中の二酸化炭素を吸収し養分がつくられ、それが植物の根をつたって土の中に送られ、土が肥沃になっていきます。人間が土を耕さない代わりに植物の力で土を豊かにするという考え方の農法です。
 
今日はニンジン、落花生を掘り、その空いたところに冬野菜の苗を植えたいと思います。それが終わったら、薪ストーブでご飯を作ります。マッチを擦ってみたい人は声を掛けてください」。
 
それから、参加者とスタッフの皆さんの自己紹介。地元守山市のご家族、ほかは周辺の市、京都、大阪からのご参加がありました。子どもたちは小学校低学年が多く、中には中学生も。
 
碧いびわ湖の活動のようす 農業指導の松平さん 
 
今日、指導をしてくださるのは、大学で学びながら非常勤講師として教え、県内在住のご自身も滋賀県近江八幡市内の「耕し歌ふぁーむ」で農業を営む松平尚也さんです。
 
「皆さん、手袋(軍手)をはめて、手とスコップで掘ってください。ニンジンには、大きいものと小さいものがあります。大きいものを掘ってください。ニンジンの葉を探して、掘ってください。もともと水辺の植物ですから、大根などとは葉っぱが違っています」。
 
松平さんの説明を聞いてから、それぞれが思い思いの場所に散って、ニンジンを探して掘り出しました。
 
碧いびわ湖の活動のようす 畑からニンジンを掘りだす 
 
ちょっと見るだけでは雑草ばかりに見えますが、よーく見ていると、いろいろな野菜の葉っぱがあるのがわかってきました。背の高い植物と低い植物を取り混ぜて植えてあるそうで、背の高いもの(例えばトマトなど)には、竹で支柱が作られています。
 
碧いびわ湖の活動のようす 掘り出されたたくさんのニンジン 
 
皆さんが掘り出したニンジンは、どこに隠れていたのか、どんどん増えていきました。
 
碧いびわ湖の活動のようす 畑の落花生の葉 
 
引き続き、今度は落花生を掘ります。
これが落花生。落花生が生えているところを初めて見る、という人ばかりでした。私も初めてなのでワクワクしました。この葉っぱの下には、落花生がたくさん!
 
碧いびわ湖の活動のようす 掘り出した落花生 
 
根っこの部分にたくさん豆が付いて出て来ました。掘り出したご家族はにっこり。
 
碧いびわ湖の活動のようす ジャガイモの苗 
 
松平さんの「ニンジンと落花生を掘った後の穴には、ジャガイモか白菜の苗を植えてください。穴は、少し掘って、赤ちゃんを寝かせるように、優しくギュッと植えてくださいね。
 
ジャガイモは、芽を上にして10センチ以上深く土を掛けてください」というお話に、皆さんニンジンの跡を探して苗を植え始めました。
 
碧いびわ湖の活動のようす 自分で掘ったニンジンをかじる子ども 
 
「ニンジンは収穫したてを生で食べることができます。クリアな味がしておいしいですよ。よかったら洗ってかじってみてください」という根木山さんの呼びかけに、大人だけでなく子どもたちもニンジンをかじってみました。
 
私も少し食べてみたのですが、いつも買っているニンジンより香りが高く、味も野生的で少し苦みがありました。
 
お子さんの中には、丸々一本食べた子もいました。畑で自分が掘った野菜を、すぐに食べるなんて体験、きっと初めてだったことでしょう。
 
碧いびわ湖の活動のようす 野菜苗の植え替えをする子どもたち 
 
子どもたちは熱心に野菜苗の植え付けや植え替えに取り組んでいました。
 
碧いびわ湖の活動のようす 薪ストーブでご飯を炊く 
 
そうするうち、二台の薪ストーブを使って、ご飯と味噌汁ができあがりました。
 
碧いびわ湖の活動のようす 大きなお釜からご飯をよそう子ども 
 
大きな釜から自分でご飯をよそいます。
 
碧いびわ湖の活動のようす 味噌汁とゆで落花生とシソの実 
 
味噌汁と塩ゆで落花生、そして畑から摘んできたシソの実。これがお昼ごはんです。味噌汁の中には、みんなで掘ったニンジンが入っています。なんとも素朴なお昼ごはんですが、滋味たっぷりでおいしい。子どもたちも次々とお代わりをもらいに行っていました。
 
碧いびわ湖の活動のようす 持参された飲み水タンク 
 
水道がないので、ここでは飲料水は貴重品です。水を大事にする体験も大切ですね。
 
碧いびわ湖の活動のようす 感想を一人一言 
 
ご飯が終わったら、全員で感想を一言ずつ。

「いろんな種を蒔いて、雑草もいっぱいという方法があるのを知りました。」
「いろんなカタチの人参があって面白かった。」
「人参とか洗ったり、むしを捕まえたり楽しかった。」

子どもたちも楽しい時間を過ごせたようでした。

根木山さんの締めの挨拶。「人参は葉のほうに栄養があるので、持って帰って食べてみてください。この畑では、環境破壊を起こさない自然再生型(リジェネラティブ)の農法を実験的に行っています。研究者によって科学的な検証もなされているので、私たちもそれを学びながら、実践して、試行錯誤していきたいと思います。また、人間という生き物は進化の過程で長い時間、自然の中で狩猟採集生活することで生きてきた歴史があります。この畑で土とふれあうことによって、子どもの生きる力を育むことができると思います。この畑でいっしょに親子の時間を過ごしていってもらえるといいなと思っています。」



これからの畑がどうなるのか、楽しみに見守りたいと思いました。

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