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有機栽培農業塾 /ふるさと保津

事業の概要

京都府亀岡市保津町で有機栽培JAS規格を準用した野菜栽培の体験農業塾を開催し、都市住民に保津町へきてもらい農業を体験してもらうと同時に生態系・環境保全について啓発します。地元丹波地域での農畜連携により物質の循環をめざします。その圃場と周辺水路における両生類との共生を実現します。

水車がまわる保津町八ノ坪の「保津川すいたん農園」にて、有機栽培で野菜をそだてる農業体験塾を開催されています。どなたでも気軽に参加できる「農業入門編」であり、野菜については多品種少量栽培にチャレンジしながら、できるだけ地球にも人にも優しく、地域の有機資源を循環活用することを目指しておられます。


2023年8月20日の日曜日、今年度4回目の農業体験塾が行われるということで京都府亀岡市保津町八ノ坪にある農園を訪ねました。保津町はJR亀岡駅の北側に位置し、早くから市街地化した駅南側とは対照的に、のどかな田園風景がひろがる古くからの集落で、保津川下りの乗船場や最近では2020年にサンガスタジアムが開業したことでも知られています。


農園の場所は、駅から徒歩15分ほどのとても便利な場所にあります。特急電車も停まるJR亀岡駅の北口を出て巨大なスタジアムを右手に見ながら道なりに進み、保津川に架かる保津大橋を渡ってすぐ右手の大きなビニルハウスが目印。


車で向かう場合でも保津大橋を渡ったところの河川敷にある広大な無料駐車場を利用できますので、こちらもとても便利です。


この日も朝から大変な猛暑。午前9時の集合時間の少し前に農園に到着すると、すでに10名ほどの方々が下準備の作業をされていました。



まずは副理事長の吉田さん(写真右)、同じく副理事長の中野さん(写真左)にご挨拶。
この日はご不在だった理事長の石川さんを含めたお三方は古くから保津町に住まわれていて、別に主業を持ちながら先祖代々の田畑の守りをされてきた第2種兼業農家とのこと。


この農業体験塾は、保津町自治会のまちづくり事業「すいたん農園プラン」の一環として2011年にスタートして今年で12年目。保津大橋の開通、JR嵯峨野線の複線化、保津川の拡幅ならびに河道整備、田畑の圃場整備といった近年の保津町周辺をとりまく環境や交通の大きな変化をきっかけに地域の活性化を図るもので、都市との交流や生きものとの共生、自然や文化の伝承を目的とされています。


こだわりとして、地域の牛糞や木質を堆肥に使用するなど地域循環型農業を実践されています。また、以前はCO2放出削減の取り組みとして地域の放置竹林を伐採し生成した竹炭を堆肥に混ぜて畑に埋設していましたが、京都府による伐採費用の補助が終了したため、現在は竹炭の埋設に代わる取り組みを模索中とのことです。


開始時刻の午前9時、すでに作業をしていた人も一旦手を止めて集合、本日の体験予定について吉田さんから説明がありました。当日作業予定を記載したプリントの配布があったり身振り手振りの実演があるなど、とても丁寧でわかりやすかったです。

有機栽培の技術は地元農家の大江さん(写真右)に指導を仰いでいます。大江さんは他府県からの移住者で、ご自身の生産・販売活動の傍ら、「亀岡オーガニックアクション」という市民有志のネットワークを立ち上げ、亀岡駅北農地をつかって有機田んぼづくりや各種の勉強会、情報交換などを行っています。


会員は市街地に住んでいる方ばかり。京都市内から電車で来ている方もいました。夫婦で参加している方、小さいお子さんやお孫さんと参加されている方、家庭菜園が手狭になったので入会された方、農学研究の延長で有機栽培を学びに来られている方など様々です。


会員にもお話を聞くと「とても親切に教えてくれる」「貸農場は沢山あるが農業体験の場は貴重」「予め下準備が行き届いていて作業が簡単」「身一つで来れるので手軽」など好評の声。


開催情報として、基本的に毎月1回、土曜日もしくは日曜日の午前中2時間ほど。開催日以外でも農園へ出入りして作業することも可能だそうです。
体験の際の持ち物として必須なのは水分と帽子、長靴くらい。そのほか必要な材料類や農具類については用具庫のビニルハウスの中に一通り用意されており、これらの購入費には助成金で賄われています。


土の付いた手を洗い流そうと用水路に手を入れると目の覚めるような冷たさと透明度に驚かされます。



同団体理事の大西さん(京都先端科学大学バイオ環境学部教授)によると、この水は愛宕山を水源とした地下水から流れ着いたものだそうで、良質な水のおかげで亀岡の田畑は両生類や昆虫、微生物の宝庫になっており、特に蛙の一大生息地として有名とのことです。


大西さんからは、自然破壊の歴史的背景や地域事情、現代の水生生物にとって田畑がいかに貴重な生息空間(ビオトープ)になっているかなど、とてもわかりやすく解説していただきました。たしかに、昔はいたるところに水たまりなどの水辺があって沢山の蛙やアメンボがいるのが当たり前の光景でしたが今はほとんど見かけなくなりましたね。


この日の作業としては、夏藩きとうもろこしの定植作業、秋冬野菜の種まき作業、サツマイモのつる返し、サトイモの追肥、ナスの更新剪定などを行い、10時半ごろにはすべての作業が終了しました。


通常の作業時間は2時間ほどですが、この日は暑さを考慮しての時間短縮とのこと。
再び集合し、作業の振り返りと次回の予定について吉田さんから短いお話があって解散。みなさん「おつかれさまでした」。



取材を終えて、みなさん親切で話しやすい方ばかり。朗らかに会話しながら自然の中で土に触れて流す汗は本当に心地よく格別でした。全国的にみても特急駅から歩いて行ける農業体験は希少だと思いますし、お手軽に自然を楽しみたい方や非日常を楽しみたい方にはもってこいです。ぜひ沢山の方に保津町を訪れて”トカイナカ”を体験してほしいですね。




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