里山の恵み、長尾山の生物多様性を感じよう! /亀岡人と自然のネットワーク
事業の概要
京都府亀岡市篠町の長尾山の生物多様性の豊かさを調べ、それが維持できるように管理団体に提案します。また、その豊かさを観察会を通して京都市や亀岡市の住民の皆さんに感じてもらいます。季節ごとに行う調査結果は、どんな生き物がいるのか、里山との関係性を記録して、観察会や我々のホームページなどで市民に紹介します。
2024年10月5日(土) NPO法人亀岡人と自然のネットワーク主催の「第2回長尾山生き物親子観察会」にお邪魔してきました。一年を通して市内にある長尾山と子ども村で虫や水辺の生き物を採取し生態系の変動など観察されています。
京都縦貫道 篠インターおりてすぐ右手の側道を進み、門が開いていれば奥まで車で入れます。
近隣の亀岡市内、京都市、大津市から親子18名の参加があり、みんなで陸と水辺の生き物を探します。
生き物を探す山は亀岡市篠にある「市民の森 長尾山」
ここは地元市民の有志が定期的に集まり手入れをされており、観察会にサポートで来られていました。
助成金で揃えた手作り「どこでも観察会セット」と虫取り網。
まずは虫取り編みの使い方などの注意と説明を聞き、一人ずつ虫かごと網を受け取ります。
一斉にかけ出し、飛び交う虫をめがけて網を振ります。今まで大人の背丈ほどで飛んでいた虫も子ども達の動きに気づいて高く飛ぶようになり、なかなか網にかかりません。
しばらくすると要領を得たようで、自分で探し捕まえて虫かごに入れられる子や、捕まえるけれど触れない子、大人と一緒に探す子などみんな虫取りに夢中になり「こんなんとれた~」と嬉しそうに虫かごを見せてくれました。
地面に転がっている丸太をのけると、米粒よりちいさなアリがいました。よく見るとアリの他にもとてもちいさく動きが早いものがいます。居候しているコオロギの仲間です。アリからご飯をもらったり、天敵から守ってもらったりしているそうです。
一旦、みんなでとった虫をグループごとに分けて観察用の大きなかごにいれます。
次に水辺用の虫取り網に持ちかえ近くのビオトープへ。ここはもと畑だったところ。子どもたちに自然と触れ合える、楽しいと思える場所になるようにと10年前に市民の方が作られた人工池です。
みんなが池に入る前に山を管理している市民の方が蛇などいないか、池の周りを点検してくださいました。
水辺の生き物を探そうと歩いていると…
ちょうど蛇が脱皮をしたところに遭遇!みんなの歓声があがります。脱皮したての皮はしっとり、ひんやりしていました。
水辺の生き物は植物が繁茂したところなどに隠れているので、池の淵を網でガサゴソと追い込んでみたり、大人の手を借りながら池の底をすくったりしました。
みんなで見つけたたくさんの虫を集めて解説がされます。
「ビオトープの水中で見つけたカマキリはなぜ池の中にいたのか?」
水中に沈んだ状態で見つけたカマキリと寄生虫との関係性を子ども達にわかりやすく説明されていました。そして寄生虫である「ハリガネムシ」を水槽から取り出し、細長い糸状の身体を結びます。「このままほっとくと固まるよ~」
しばらくすると本当に針金のように固まりました。その変化に子どもたちも驚き、触ってその感触をたしかめていました。
また「この蛙は池で生まれて山で生活しているよ」と説明があり、山に水辺があることで生息できる生き物がいることを教えていただきました。
このように両生類、淡水魚をそれぞれ主に研究されているメンバーから種類ごとに名前、名前の由来、住んでいる場所の説明をされました。その数は19種。なかには外来種の虫も含まれます。
ひとつひとつの説明がある度に「僕が見つけた!」「僕も見つけた!」「知ってる!」「この虫の頭はどっち?」と参加した子どもたちから質問や歓声があがりました。
これは以前ここで採取した虫たちを標本にしたもので、ここにも助成金が使われています。
観察会で見かけなかった虫たちも多く標本にされていました。
観察会の最後に、「みんなが虫取りしたこの場所は、今日お手伝いに来てくださった方たちが山を整備・管理してくれるおかげです。整備・管理をしてくれているからこの場所が虫たちの棲める場所になり、私たちが楽しく虫取りを出来ているんです。だからその方たちにみんなでお礼を言いましょう」と観察会で安全管理などお手伝いをしてくださった地元有志の方たちへ子ども達からお礼を言い、今日の活動が終了しました。
山を管理している有志の方は「みんな普段はサラリーマンをしながら、いろんな人に長尾山を知って来てもらうため散策コースを作り、山を整備しています。最近は虫を触れない子が増えてきているように感じる。それは虫取りをする機会が減ってきているからではないか。今日の観察会はそういった意味で共感でき、子ども達の笑顔が見られて虫に触れる経験もさせることができるのでサポートさせてもらった。」とお話しくださいました。
活動は一人で続けていけるものではなく、たくさんの人が思いを持ち、関わることで支えられていると感じました。