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小さなびわ湖水族館オサカナラボ運営と河川環境への働きかけ /近江淡水生物研究所

事業の概要

滋賀県長浜市の長浜駅前にある、えきまちテラス長浜の1階に、小さなびわ湖水族館が設置されており、その維持管理を委託されています。その設備内でのイベントを企画・実施します。長浜市内を流れる米川の環境を、現在の設備を利用しながら改善して魚や水生昆虫がもどってくるよう整備していきます。

近江淡水生物研究所の活動のようす とれた生き物を集めて分けて記録しているところ

2023年6月25日、日曜日のお昼前に、滋賀県長浜市のえきまちテラス長浜の一階、「小さなびわ湖水族館オサカナラボ」に伺いました。今日はNPO法人近江淡水生物研究所(以下、近江淡水生物研究所)の皆さんが定期的に行っている、建物のすぐ近くの米川で生き物調査の日なのです。

 

近江淡水生物研究所のえきまちテラス長浜の一階、「小さなびわ湖水族館オサカナラボ」
 

近江淡水生物研究所の活動のようす えきまちテラス長浜のストリートピアノ
 

ロビーにはストリートピアノが設置され、奥まったところに滋賀県の淡水生物の水槽が並べられていて、入場無料。びわ湖や日本の環境で育つ魚をテーマに、規模は小さいながらも水生の生き物を身近に感じられる展示です。
駅から数分、水生生物に親しむには絶好のロケーションでもあります。

この「小さなびわ湖水族館オサカナラボ」の管理・運営を委託されているのが、近江淡水生物研究所です。(管理のようすは以前の「未来生物学研究所」活動レポート▼こちらから

絶滅危惧種に指定されている野生のメダカ(ミナミメダカ)や、ニゴロブナ、ギンブナ、ゲンゴロウブナの3種類が見られる水槽など、まさに滋賀県ならではの展示ではないでしょうか。

 


 

代表の向田直人さんに案内され、水族館から歩いてすぐの米川へ向かいました。こんな駅前の街中を流れる川に、どれだけ生き物がいるのでしょうか?ちょっと心配な気持ちもありました。

 


 

白くて背の高い蔵の下の石垣には、既にメンバーが集まって、胴長を身に着けて網を持ち、調査を開始していました。
この白い蔵には、春の「長浜曳山祭り」に使われる曳山の一つがが格納されています。

 

近江淡水生物研究所の活動のようす 米川の橋の下で魚を探すメンバー
この調査は、定期的に同じ地点で、どんな生き物が何匹捕まえられるかを記録しているものだそう。メンバーは思い思いの場所に散り、網を水底に入れ、いわゆる「ガサガサ」でどんどん生き物を捕まえていっています。

 

近江淡水生物研究所の活動のようす 米川の水面と川底
 

あちこちに、道から水面近くに降りるための石段が設置されています。昔の暮らしでは、川が生活ととても近い存在だったのが石段だけでもわかりますね。私も石段を下りて、水面近くから写真を撮りました。すぐ下に見える川底には、すいすい身をひるがえす魚の群れが見えました。ドブ川のような、嫌なにおいは全くしません。

 

近江淡水生物研究所の活動のようす 米川を通りかかる人に声をかけられる
 

大人が何人も川に入って作業をしていると、何度も道行く人から「何がとれるんですか?」と声を掛けられました。「アユとかとれますよ!」とメンバーが答えると、皆さんびっくりされています。

 

近江淡水生物研究所の活動のようす とれた生き物を集めて分けて記録しているところ
 

しばらくすると、皆さんがつかまえた生き物を持って集まってきました。種類別に分け、数を数え、記録紙に記入していきます。「今日はウツセミ(カジカ)が多いな。」などの声が聞こえてきました。

そこに乱入したのが、小さな男の子。水の中の生き物にさわるのが楽しくてたまらない様子です。他にも小学生の男の子二人組が、興味深そうにのぞき込んできました。魚に興味津々です。メンバーの皆さんが口々に「さわるのが怖くないの?すごいな!将来有望だよ」と、長期的視野に立ち喜んでいました。

近江淡水生物研究所の活動のようす とれた生き物
記録が終わったら、ほとんどの生き物は元の川に放してやります。しかし、珍しい生き物がいたら、小さなびわ湖水族館で展示をするそうです。

 

近江淡水生物研究所の活動のようす 米川の川底の石をデッキブラシでこすってきれいにしています
 

記録が終わったら、デッキブラシで川底の石をゴシゴシとお掃除。琵琶湖一斉清掃の日に、川のゴミはきれいに拾われていたためいつものゴミ拾いはやめて「苔を覆う泥を除去したら、苔が元気にならないかな」という実験的な取り組みだそうです。

 

近江淡水生物研究所の活動のようす ブラシで磨いた後の川底
 

ブラシでみがいた後。赤い石の色が比較的鮮やかに見える気がします。

 

11時から始めて、12時前にいったん解散です。14時からは、少し離れた「さざなみタウン」(長浜市図書館に併設された貸し会議室や、他の機関の事務がある複合施設)での「長浜MLGs CAFÉ」を近江淡水生物研究所が主催して開催されます。

近江淡水生物研究所の活動のようす 「長浜MLGs CAFÉ」のチラシ
こちらは、「小さなびわ湖水族館オサカナラボ」に置いてあったチラシです。

今回は、近江淡水生物研究所の理事でもあり、未来生物学研究所の代表でもある、原口 大生さんの「地域特有の種の保存 ~ハリヨのDNA研究から見えてくるもの~」というお話です。

 

近江淡水生物研究所の活動のようす 「長浜MLGs CAFÉ」今回講師の原口さん
向田さんからの紹介のあと、原口さんのお話が始まりました。原口さんの本業は、長浜バイオ大学 バイオサイエンス学部 バイオサイエンス学科助手です。まずはDNAとは何か、やさしく説明してもらったあと、DNAを見て生き物を当てる4択クイズもありました。

DNAを調査するためには、魚の尾ビレを切り取るそうですが、それでは魚へのダメージが大きいことから、排せつ物や体の欠片などの含まれる水を汲んで、その中のDNAを調べる「環境DNA調査」が代わりに使われることも増えているそうです。

滋賀県のハリヨのDNA調査の話題の後、皆さんのフィールドである米川での環境DNA調査の結果データも見せてもらいました。その結果を見ながら、近江淡水生物研究所の皆さんは、長い調査体験に基づいた推理などをされるので、多様な切り口での検討がなされ、話が尽きませんでした。

 

江淡水生物研究所の活動のようす 「長浜MLGs CAFÉ」
 

長浜MLGs CAFÉは、毎月第4日曜日に、テーマを毎月変えて環境保全や生物多様性について学びを深め合う目的で開催されているそうです。当日、近江淡水生物研究所に入会(年会費千円)すれば、1回300円の参加費が会員として無料になる、ということです。気軽に専門家のお話が聞ける学習会なので、小学生のお子さんの夏休みの自由研究など、ヒントがもらえるかもしれませんね。

活動報告や小さなびわ湖水族館、ストリートピアノを使ったミニコンサート、長浜MLGs CAFÉなど、楽しい催しについて、最新情報は、▼こちらからどうぞ。

近江淡水生物研究所の皆さんは、「魚が好き」という気持ちで動いている、というのが見ていてとても伝わってきました。生活の中から自然が遠のいてしまった現代に、私たちを川や湖へと導いてくれる活動を続けてくださることを期待しています。

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