里山有効利用による地域活性化と名所作り /Stay Forest(ステイ フォレスト)
事業の概要
滋賀県長浜市にある大依山の登山道を整備し、ハイキングコースや、森の遊び場を作ります。他団体との連携により、交流イベントなども開催します。

Stay Forestは長浜市旧浅井町にある大依山中腹の「八丈岩」とその登山道整備等に活動されている市民団体です。年間通した登山道整備や他団体と連携した森遊びの活動をされるとともに、ふもとの大門町集落の古民家を多目的に使える交流拠点「森のハジマリ」として整備し、様々な体験活動などを実施されています。
訪問したのは2024年11月23日(土祝)。この日は午前中にツリーイング、午後から竹ランタンづくり、夕方から紅葉ライトアップを実施されるという里山でのアクティビティを満喫できる1日でした。
取材には午後から伺いました。
森のハジマリを会場に、参加されたみなさんが真剣な表情で竹ランタンづくりに取り組まれていました。
Stay Forest代表の伏木剛さんにお話を聞きました。森のハジマリは、伏木さんが八丈岩周辺の里山整備を始められたころ、ちょうど空き家バンクに登録された古民家で、作業拠点として購入されたそうです。折しもコロナ禍、様々な活動が止まる中、毎日コツコツ2年がかりでリフォーム。シロアリで傷んだ基礎材の更新、庭も整地、土間を拡充して…素敵な拠点となった森のハジマリでは、体験活動の他、伏木さんご夫婦作の木製雑貨の販売や、レンタルスペースとしても活用されています。
リフォームの記録がミニ写真集になっていました
Stay Forestの活動は、2020年から始まりました。現在、雑木林のプレイエリアとなっている里山とその周辺を、地主の方の許可を得て、森遊びができる場所として整備し始めたことが始まりです。八丈岩は、そこから40分ほどの登山を経て辿り着く巨石ですが、地元出身の奥様、梨絵さん(副代表)も子どものころから眺めながらも登ったことがないスポットでした。活動開始当初、八丈岩までのルートは倒木などでなくなっていたと言います。整備を始めて間もなく、梨絵さんが地元の方に案内してもらいながら登ってみたところ、眼下に広がる眺望に「こんな素晴らしい場所なのにもったいない!」と感動し、本格的にルート整備に取り組み始めたそうです。
整備を進め1年をかけてルートが開通。登山情報サイト「YAMAP」へも登録し、じわりじわりと登山者が増えてきていると言います。整備にあたっては市の補助金活用や、そのための伐採に関する相談、許可申請などの手続きを進めた他、地域の総会でも整備プランを説明、八丈岩を名所として人の流れを生みたいという伏木さんの熱意とともに、来訪者が増えることでの懸念についても包み隠さず相談し了承を得るなど、関係主体の理解も得たうえでの活動であったとのことです。
登山口の表示
登山ルートもわかりやすく整備されている
梨絵さんの母校の小学生による登山体験も叶った(※)
八丈岩からの素晴らしい眺望(※)
伏木さんは、旧浅井町には以前から来訪者が目指すような場所が少ないことを指摘。美しい里地景観が魅力の草野川流域に何か訪問スポットがあれば地域や商売も盛り上がるのに、との思いがあったとのこと。地域を盛り上げる拠点として八丈岩や周辺の森遊びがよりにぎわうことを思い描き、継続した整備活動に取り組まれています。
登山口すぐに広がる森の遊び場
取材日午前中に行われたツリーイング体験(※)
ツリーイング体験 木の上から(※)
取材当日、森のハジマリでは小学生から大人までが竹ランタンづくりに集中していました。立派な竹に図案を貼り、ドリルで穴を空けると、花や花火、波型など美しい絵柄が仕上がります。まずは古民家の暗がりで灯りを入れてみて、そして日が落ちた夜からは紅葉プレイエリアの木の下に飾りLEDの小さい灯りを入れました。美しい仕上がりに皆さん手ごたえを感じた様子でした。
夕刻、雑木林の広場にも手際よくライトが設置され、少し色づき始めた木々が浮かび上がりました。
伏木さんに活動の課題についても聞いてみました。活動当初、八丈岩へのルートづくりの作業は多くのメンバーが関わっての活動となったそうですが、開通後にも継続している活動には5人ほどの仲間が集うくらいで、仲間や賛同者を広げていくことが課題だそうです。ライトアップイベントにも、近隣の方を中心にもっと多くの方に集ってもらいたいという思いをお持ちでした。
仲間や活動のネットワークを広げるために、近隣での里山整備活動をしている団体とも交流したり、子育て支援の団体や、エコツーリズムに取り組む団体などと連携し、登山や森遊びの場所提供、八丈岩までのハイキングなどの活動の場を提供されています。体験の場を探している団体はいろいろある、と伏木さん。今後は、ツリーイングも取り入れたり、ハイキング以外でも森を使った遊びが体験できることをコンテンツとして活動の発信力や集客力を上げていきたいと構想しておられました。
森の広場のライトアップ(※)
ライトアップ 日が落ちると色づき始めた木々が浮かび上がった(※)
長浜市内の里山保全等の活動団体に声をかけ、里山サミットも主催された同会。様々な連携を作りながら、楽しく、気軽な森遊びの場として、さらに充実されていくことを応援しています。
メンバーの方が作成した「八丈岩」の竹ランタン
12月 紅葉も盛りとなり森の広場が黄色く染まる(※)
訪問日よりも後が紅葉のピークだった(※)
(※)団体提供写真