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伊吹山三合目 豊な植生を守る獣害防止金属柵設置事業 /ユウスゲと貴重植物を守り育てる会

事業の概要

滋賀県米原市の伊吹山の三合目には、ユウスゲをはじめ、貴重な植物が確認されています。しかし、近年はシカによる食害が問題となっています。そこで、経年劣化しシカの侵入リスクが高くなった樹脂製ネットを撤去しシカの食害を確実に防ぐとともに冬の強風や積雪にも耐久性のある金属柵を設置し貴重な植物を守ります。

8月25日にユウスゲと貴重植物を守り育てる会(以下「育てる会」)の伊吹山三合目における獣害防止の金属柵設置作業の取材に伺いました。7月に予定されていた作業は、土砂崩れの影響で延期されていました。シカによる食害によって起こったそうです。当日朝、旧伊吹山ゴンドラの山麓乗り場に集合して、三合目の設置場所まで車に分乗して向かいました。育てる会のメンバー以外にも、隣接集落の団体「弥高さつま会」からの参加もあって、総勢17人での作業です。

 

作業日の2日前に少し設置作業が行われていて、当日はこの作業の続きです。本年度の作業は約100メートルで、事前に設置場所は草刈りを行い、ロープで印が付けられています。作業工程はいくつにも細かく分かれていて、参加者は分担して作業されます。髙橋滝治郎会長から作業内容全般の説明があり、参加者の役割分担をします。

 

活動説明の風景
 

それぞれの持ち場に分かれて作業の開始です。ロープに2メートル間隔に印が付けてあり、ロープに沿って支柱設置から始めます。支柱を立てられるように、まず、ドリルを使って穴を掘ります。

穴掘り
 

その穴に杭を入れて穴を広げます。
支柱を打ち込み、支柱をフックでつなぎます。

 

穴に杭を入れて穴を広げる
 

支柱を打ち込む
 

支柱をフックでつなぐ
 

金属柵を支柱に固定し連結します。
金属柵と地面との隙間に金網を張ります。
ステンレスの結束バンドで金属柵、金網を支柱に固定します。

金属柵を支柱に固定し連結
 

金属柵と地面との隙間に金網を張る
 

ステンレスの結束バンドで金属柵、金網を支柱に固定
 

金網と地面に隙間がないように、ワイヤーを張り、それを固定するために1メートル間隔でアンカーを打ち込みます。

アンカーを打ち込む
 

隙間があると、シカの侵入を容易にし柵を壊される危険性もあるそうなので、ていねいに作業をされます。こうした一連の流れで作業は順調に進んでいきます。

 

これまで育てる会では、伊吹山三合目のユウスゲを中心とする貴重な植物保護のため、獣害防止ネットを設置してきました。2012年に設置した樹脂製ネットは経年劣化でシカに破られたりシカのアタックなどで支柱が折れることが多くなり、今回の金属柵設置となりました。この日の作業では、古くなった樹脂製ネットの撤去もあわせて行われました。

古いネットの回収を行う 古くなったネットの回収作業

 

休憩時間に髙橋さんに他の保護地の案内をしていただきました。ユウスゲの開花期は終わりに近づいていましたが、所々開花しているものもありました。

ユウスゲ ユウスゲ
 

シカの食害による被害は深刻で、三合目から山の上の方をみると、地肌が剥き出してなっていて、7月の大雨では植生が失われ保水力をなくした山の斜面から大量の雨が一気に流れ落ち、麓の集落に土砂災害をもたらしました。登山道もあちこち崩落があり、シカ対策は喫緊の課題となっています。

ユウスゲと山肌が見えた伊吹山斜面 山肌が見えた伊吹山斜面
 

伊吹山頂付近の花畑は有名ですが、三合目の植物も貴重で、育てる会では保護地の草刈りも行っており、貴重な植物が復活したそうです。「登山客に復活した植物を見ていただて喜んでもらえるとやりがいがある」と髙橋さんはおっしゃいます。

保護地の面積も広く、日々の作業は大変ですが、育てる会の日々の活動が伊吹山の貴重な植生を守っています。

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